図で語れる人になろう―インフォグラフィックスのすすめ

掲載日:2018年5月21日

情報を分かりやすい図で表現する手法、インフォグラフィックスが注目されている。「関心はあるけれど、自分は絵が苦手だから無理」という人も、できるところから図で語る習慣を身につけてみてはいかがだろう。

「インフォグラフィック」や「インフォグラフィックス」でネット検索すると、魅力的な事例を紹介するページやまとめサイトなどにヒットする。
インフォグラフィックスは、広報、カタログ、マニュアル、新聞、地図、WebサイトのUIデザイン、街や施設のサインなど、あらゆる場面で活用されている。

とはいえ「インフォグラフィックスって何ですか?」という人もまだまだいると思う。
言葉としては知っていても、何かとても難しいもの、専門家でないと作れないものだと思っている人もいるだろう。

インフォグラフィックスとは

インフォグラフィックスの定義はさまざまあるが、言葉だけでは表現仕切れない事柄やデータを図解によって表現する手法、あるいは、図解されたものと捉えれば良いだろう。従来から使われていたダイアグラム、チャート、グラフ、地図、年表、ピクトグラムなども、インフォグラフィックスの一種だとされている。

インフォグラフィックスは、読み手の理解を手助けしたり行動の指針となるものである。
そのために、以下の要素が求められる。

・読み手の目をひくこと
・直感に訴えること
・物事の関係や時の流れなどで絵物語を作ること

現代社会にインフォグラフィックスは必要

インフォグラフィックスは、複雑に進化した現代社会の中で、私たちが物事を把握したり、円滑なコミュニケーションを進めたりする上でとても有効なものだ。

JAGAT印刷総合研究会「デザインで情報を可視化する〜インフォグラフィックスの動向」(2017年9月開催)では講師の永原康史氏が大量情報社会におけるインフォグラフィックスの重要性について次のように語った。
「デジタルデータの量は飛躍的に増加し、すでに人間が理解できる限界を超えてしまっている。しかし、人間には感じる力がある。今後、インフォグラフィックスの目的は知ることから感じることへと変化し、それをサポートするために、古来から培われてきた物語る力の必要性が増すだろう。」(「JAGAT info」2017年10月号より)

同じく講師の木村博之氏は、インフォグラフィックスの可能性について
「例えば匂いや味、理念なども表すことができる。」(同上)
と語った。

以下の記事も参考にされたい。
「データを視覚化するさまざまな手法」
「インフォグラフィックスはなぜ必要か」
「伝えたいことは、図で表してみよう」

誰もが実践できるもの

インフォグラフィックスを極めるのは一朝一夕にできることではないが、誰もがその人の能力に応じて実践できるものでもある。

2018年2月のpage2018ではワークショップ「インフォグラフィックスの基礎と活用法」を実施した。
さまざまな職種の参加者が、2時間という枠の中でグループワークを行い、プレゼンテーションをまとめることができた。
どのような条件であっても、伝えたいという気持ちがあれば、インフォグラフィックスの実践は可能なのだ。

インフォグラフィックスの実践その一歩

まずは物の見方を身につけることが必要だ。
前述の木村氏は「インフォグラフィックスを理解するためには、実際に考え、手を動かすことが必要だ。普段から場所の移動、時間の移動、視点の移動などを意識し、あらゆる角度から身の回りを観察する習慣を身に付けてほしい。」と説いている。(「JAGAT info」2017年10月号より)

図で表現する技術については、例えば日常のメモに図に取り入れてみることから始めてみてはどうだろう。
会議のメモを、文字の羅列ではなく、矢印や囲みなど図形も取り入れて書いてみる。
仕事の流れをチャートに表してみる。
メンバーの予定をカレンダー風にまとめてみる。

また、丸、三角、四角、直線の組み合わせだけでも物の形を表すことができる。なぐり書きのような絵であっても、案外伝わるものである。

丸、三角、四角、直線で描けるもの

日常的に図で表現してみることで、物事の関係や流れが整理できたり、全体を立体的に捉えることができたりする。それは人々の間で共通認識を養うことに役立つ。また発想の豊かさにつながり、新たなアイデアの源泉にもなる。

JAGATとして、今後もインフォグラフィックスとは何か、どのようにしたらその考えと手法を身につけられるのか、さまざまな形で研究し、情報を提供していきたい。

(JAGAT 研究調査部 石島 暁子)

関連ワークショップ

インフォグラフィックスを活用した企画書制作
2019年3月8日(金)13:00-18:00
講師:講師:木村博之氏(チューブグラフィックス 代表取締役)