インフォグラフィックスはなぜ必要か

掲載日:2017年8月10日

インフォグラフィックスとは、言葉だけでは伝わりにくい情報を視覚化して伝えるデザイン手法だ。インフォメーションとグラフィックスを合わせた造語だか、海外でも通じる言葉である。

インフォグラフィックスという言葉が使われる以前からあるダイアグラム、チャート、グラフ、地図、年表、ピクトグラムなども、インフォグラフィックスの一種だとされている。

ただし、私たちがインフォグラフィックスと聞いてまず思い浮かぶのは、自然や社会の現象をわかりやすく解説してくれるイラストレーションだろう。

特に新聞の特集面に掲載される、時事問題を視覚的に読み解くチャートは、錯綜する情報を整理するのに役立つ。 最近では、Webのニュースサイトでもインフォグラフィックスが多用されるようになっている。

ニュースグラフィック – インフォグラフ:朝日新聞デジタル
Visual Data 〜データや映像で体感:日本経済新聞

百科事典、年鑑などの誌面に掲載されるチャートや年表などの多くも、複雑な事柄を理解するきっかけとなる。

インフォグラフィックスは行動の指針となる

インフォグラフィックスは、単に見て理解して終わるものではない。

例えば地図であれば、目的地までの距離、方向、ルートを頭に入れることで、より早く、効率的に、また安全にたどり着くために役立つ。

ニュースの図解であれば、世間で話題となっている出来事の経緯、相関関係などを知ることで、問題の本質は何か、あるいはその出来事と自分との関わりについて考える手がかりとなる。

ハザードマップ、非常口、避難経路の案内板などは、災害時の迅速な避難を助け、より多くの命を救うという重い役割を背負っている

このように、インフォグラフィックスの多くは、見る人の行動を促すため、あるいは行動の導きとなるために存在する。

なぜ、文字ではなく絵なのか。

社会が発展するに従って、経済活動がより大規模で複雑になり、伝えるべき情報の量も質も変化していく。

しかし、ほとんどの人間は複雑なものを複雑なまま理解することができない。
人の感覚に訴える図解は、複雑な物事のアウトラインを瞬時に掴ませることができ、その分野に精通していない多くの人々を啓蒙することができる。

またグローバル化が進む中では、違う言語や文化が混じり合うことを前提として情報を伝えなくてはならない。 その場合は、文字よりも図解の方がはるかに伝わりやすい。

歴史を振り返っても、近年までインフォグラフィックスの発展に寄与したのは、デザインの専門家ではない場合が多い。
例えばフランス革命後半に登場したナポレオンは、国家形成のために統計を重視したという。
都市交通図の先駆であるロンドン市交通局のデザインの立役者は、広報マネージャーを務めたフランク・ピックだ。
アイソタイプの創始者、オットー・ノイラートは社会経済学者であった。
いずれも、社会や経済の進歩を促すために、インフォグラフィックスを活用したのである。

インフォグラフィックスに必要なこと

インフォグラフィックスには、情報が適切に編集されていること、明快であること、間違いにくいこと、そして、人の目をひく魅力的な表現であることが求められる。

インフォグラフィックスを手がけるデザイナーには、アイデア以前に、統計や地理情報を扱うための理系の知識とセンスが求められる。

しかしそれだけでは十分ではない。社会の動きに関心を持つとともに、他者への共感、思いやりを持てるかどうかが、人の心を動かすグラフィックスにつながるのではないだろうか。

(JAGAT 研究調査部 石島 暁子)

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