「JAGAT印刷産業経営動向調査」より、オフセット枚葉印刷機の保有・更新状況について紹介する。
JAGATが毎年、会員企業を対象に実施している「印刷産業経営動向調査」は、業績・戦略・設備投資・製品需要など多岐に渡る設問から、中小印刷会社の経営実態を多面的に分析するものである。
2024年度の調査結果からオフセット枚葉印刷機の保有状況、更新需要について一部を紹介する。本調査回答企業の平均従業員規模は135名、1社当たりの平均売上高は27.3億円であり、中堅クラスの印刷会社が中心である。オフセット枚葉機の保有状況についての回答企業は90社、総保有台数は327台、1社平均保有台数は3.63台であった。
図1は、保有しているオフセット枚葉機の導入時期(稼働年数)の経年変化を示したものである。導入時期が10年以上前、言い換えると減価償却を終えて耐用年数を超えている印刷機の比率は、2010年には40%弱だったものが年々上昇し、2024年には過去最高値の68.5%となっている。一方で、過去3年以内に更新した印刷機の比率は2017年に10%を下回って以降8%~9%台が続いている。

図2は、3年以内に限定して取得と廃棄の台数を比較したものである。2016年まではほぼ取得台数が廃棄台数を上回っていたが、2017年を境に廃棄台数の方が取得台数を上回る状況が続いている。

図3は、今後3年以内に取得予定のオフセット枚葉機の仕様ごとの台数である。
取得予定の台数は毎年減少傾向にあるが、今年度調査の特徴は、すべて菊全判機で半裁以下のサイズは1台もなかったことである。恐らく調査開始以来はじめてである。
各種自動化対応などで生産性が上がった最新鋭機を導入することで、オフセット枚葉機の台数を集約するとともに、半裁以下のオフセット機に適性のあるロットはデジタル印刷機へのシフトが進んでいくことを示していると思われる。印刷現場の高齢化、人手不足への対応という側面もあるだろう。

詳細は、2025年9月末発刊予定の印刷マネジメントブックを参照ください。
また、2025年9月30日には経営力調査結果の報告セミナーを開催します。
(研究・教育部 花房 賢)