デジタルマーケティングと融合する印刷の新たな可能性

掲載日:2018年8月24日

2018年のJAGAT地域大会の皮切りとして、去る6月29日に「JUMP東北2018」を宮城県印刷会館(仙台)にて開催し、東北地区有力印刷会社の経営者を中心に30人が参加した。

講演プログラムは、森沢彰彦JAGAT副会長(モリサワ)によるご挨拶の後「JAGATからの報告」でスタートした。
最初に藤井建人JAGAT研究調査部部長より「印刷ビジネスの最新動向」の解説があり、続いて郡司秀明JAGAT専務理事が「印刷ビジネスはこう変わる~“アライアンス”&“デジタル×紙×マーケティング”」と題し、これまで印刷業界が信じて疑わなかった認識・常識が、実は既に大きくずれて来ているという前提にたち、世の中の価値観の大きな変化を、新しい常識から、印刷ビジネスの新しいビジネスチャンスを作る必要性を説いた。

コーヒーブレイクを挟んで、(株)グーフ代表取締役CEOの岡本幸憲氏を招き「デジタルマーケティングと融合する新たな紙の可能性」と題し特別講演を行った。

岡本氏はまずデジタル印刷について「そもそもPODって誰が作った言葉? デジタル=多品種小ロットと定義したのは誰? 結果デジタルは儲からないと誰かが言い出し、印刷業界は社会の動きに反しデジタルvsアナログ、オフセットvsPODと対立構造で捉え、サービスを製造視点で見ることしかせずにデジタルの未来や可能性をきちんと議論してこなかった」と問題提起をした。

マーケティングの世界では、デジタル化でコミュニケーションのダイレクト化はますます加速し、オムニチャネルが進む。したがってオムニメディアが必要となる中で、デジタルと組み合わせた紙の施策は効果があることが実証されている。
また、紙メディアの能力・実力も、紙を見た時の脳の反応は、ディスプレーを見たときのそれより2倍強いという科学実験結果や、DM開封率の調査などで高く評価されている。ということでこれらを“デジタル×紙×マーケティング”で大きな成果を出している国内外の具体的な事例を紹介し、デジタルと繋がることで紙のアドバンテージが高まることを裏付けた。

マーケッターやブランドオーナーたちは、デジタルメディアだけの限界を認識しており、プリントメディアでさらに高いROIをセレクティブに実現したいと思っている。
そうした中で、印刷会社は、“契約・取引内容”としてSLAを意識できるか、サービス会社になりたいか。“コスト・請求方法の課題”として、都度発注から契約を意識する、クラウド型経済モデルの理解と実施。“テクノロジーへの対応”としてアジャイルでビジネスの変化とスピードに合わせる。自社でできないことはパートナーと組んで。などの課題とチャンスポイントを解説した。

さらに「今一度デジタル化される社会・市場の未来を想像してみよう」と、どんどんコネクト(つながる)するデジタル、vs(敵視)の感情を捨てwithのための知識を持つ、など製造のデジタル化ではないデジタル社会の本質を考え、デジタルで勝てる組織・チーム作りを訴えた。

最後に「デジタルに大きい小さいは関係ない」「地方だからできないはない!小さいからできないもない!」「“CONNECT”is“GROWTH”」の言葉で講演を締めた。

JAGAT地域大会は、基本的に同等の構成で、中国・四国(9/11広島)、九州(11/17福岡)、近畿(11/30大阪)、中部(2019/1/24名古屋)へと続く。

(CS部 橋本 和弥)

【関連情報】
JUMP中国・四国2018 9月11日(火)開催(広島県印刷工業組合会議室) 
JUMP九州2018 11月17日(土)開催(福岡印刷会館)