プリンティングコーディネータの目と標準化

掲載日:2018年9月11日

製品をコントロールするプロダクトマネージャー

●品質管理は、チェックではなく、コントロールを意識する

印刷品質の定義は難しい。何故かといえば、顧客の要求品質と製造適正品質の二つの視点があるからだ。顧客の要求品質は、マーケティング視点で顧客のニーズに合わせて変化する。一方、製造適正品質は、品質規準を定め、標準作業を構築し、品質の安定化を目指すものだ。印刷製品の現況はマーケットのニーズに如何に対応するかが課題となることが多い。品質の安定化や作業の効率化も重要であるが、何より顧客のニーズを捉えた効果や価値を提供することが求められている。原稿作成、版式、アナログ・デジタル印刷機、被印刷体、インキ(インク)などを幅広いコーディネイトでの提案が求められることもある。 日本人メジャーリーガーのロサンゼルス・エンゼルスの大谷翔平選手はプロとしての仕事をしている。独自のスタイルを確立し、高い確率でエキサイティングな感動を価値として提供しているからだ。出場すれば顧客の欲求に応えている。

●プロとは何か

プロとは何か。高いレベルで安定したピンチングやバッティングが必要だ。まぐれではいけない。特にコントールが重要だ。印刷の品質管理も同様で、チェックするだけではなく、コントロールすることが肝心だ。顧客ニーズに対して品質をコントロールし、安定した価値を提供しなければならない。そのために必要なことが作業の標準化だ。標準化は、手順書をつくるだけのことではない。品質基準を設定(見える化)し、設備・素材・技法・環境・作業の規準をつくり、PDCAを回転させることで高いレベルで品質の安定化を目指すものだ。製品によるブランド化へも繋がる。

プロセスは大きく二つだ。

①顧客のニーズを捉える。(マーケティング)

②そのニーズ対して製品づくりをコントロールする。(標準化)

●プロダクトマネージャーとプロジェクトマネージャーの違い

印刷製品を顧客ニーズに対して品質をコントロールするには、プロダクトマネージャーが必要になる。プロダクトマネージャーの役割は、プロジェクトマネージャーが、「いつまでに作るか」「どうやって作るか」を管理することに対して、「何を作るか」「なぜ作るのか」を管理することだ。これが現代のプリンティングコーディネータの役割にもなる。

<プロダクトマネージャーの役割>

・発注者、エンドユーザーのニーズ把握

・技術、製造手法、素材の選択

・マーケティング(ビジネスモデル、4Pへの適応)

<プロジェクトマネージャーの役割>

・製造の効率化。計画性。

・コスト管理

・プロモーション管理

プリンティングコーディネータ養成講座第21期(JAGAT主催)は、これらの考え方でカリキュラムを重要視している。印刷製品の効果や価値を見る目を養い見識を広げる講座でもある。 様々な印刷技法、素材、作品、人との出会いの場。今年もブラシュアップして10月3日から開催する。

( CS部 古谷 芸文)

<関連講座>
【プリンティングコーディネータ養成講座第21期】