『印刷白書2026』では、印刷産業そのものの現状を数字で捉えるだけでなく、印刷会社が生み出すものがどのように変化しているかをデータと事例で分析している。
Introduction[印刷白書の現在地]
JAGAT刊『印刷白書2026』では、第1章 Introduction[印刷白書の現在地]を新設し、JAGAT事業と本書の全体像を文章とインフォグラフィックで解説している。
印刷産業の役割が「情報の伝達とものづくり」から「顧客ビジネスの支援」へと広がった背景には、社会や産業の変化がある。デジタル化によって情報の伝達手段は大きく変わり、生成AIの普及によって情報やコンテンツを生み出す環境も変わりつつある。一方で、情報が大量に生み出され、瞬時に拡散される環境では、本当に伝えたい相手に情報を届け、理解してもらい、記憶や行動につなげることが以前より難しくなっている。環境対応や人手不足、コスト上昇といった課題も、印刷産業の事業のあり方に変化を求めている。
こうした中で、重要なのは、印刷という技術を使って、顧客や社会のどのような課題を解決し、どのような価値を提供するのかという視点である。印刷会社には、従来の印刷物を受託して生産するだけでなく、顧客の目的を理解し、企画、制作、デジタル、加工、物流、マーケティングなどを組み合わせながら、新たな価値を生み出すことが求められている。
『印刷白書2026』は、このような印刷産業の変化を、データと事例の両面から捉えることを目指している。あらゆる産業を顧客とする印刷産業は、多様な産業との取引を通じて社会と密接に関わっている。そのため印刷産業だけを見るのではなく、印刷製品がどのような産業で使われ、顧客側は何を求めているのか、また印刷会社がどのような技術や事業領域へ展開しているのかを合わせて見る必要がある。
『印刷白書2026』は、印刷産業の規模や市場動向を示すだけの資料ではない。産業、市場、技術、顧客産業、経営という異なる角度から印刷を捉え直し、それぞれの変化がどのようにつながっているのかを読み解くことを意図している。
白書である以上、客観的なデータに基づいて産業の現状を示すことは重要である。一方で、印刷白書は一般的な統計資料や報告書とは異なり、印刷産業で何が起きているのかを読み物として理解できることも重視してきた。データを並べるだけでは見えにくい変化を、専門家による考察や具体的な事例と組み合わせることで、印刷産業の現在とこれからを立体的に捉えるために、UD書体による見やすい図版や、独自に作成した図表も数多く掲載している。
(JAGAT 研究・教育部 吉村マチ子)
■関連情報
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『印刷白書2026』発刊記念セミナー
2026年11月10日(水)13時30分-17時。


