印刷業の経営環境変化対応、ミドルマネージャーの経営幹部育成を考える

掲載日:2019年8月20日

益々加速 する経営環境の変化

印刷業における経営環境の変化は、益々加速している。1980年に出版された未来学者のアルビン・トフラーの『第三の波』は、印刷業界にも衝撃を与えた。人類はやがて「農業革命」「産業革命」に続く脱産業社会(情報化社会)を目にするだろうと予言した。インターネットによって現実のものとなった。第四次産業革命は、ドイツで2012年から打ち出している技術戦略「インダストリー4.0」を日本語化した産業構造変化の総称だ。特徴は、IoT及びビッグデータの活用にある。ビジネスや社会から個人情報まで様々な情報がデジタル化され、ネットワークを介して利用することで、新たな付加価値が生まれる。加えて、AIで生産・供給システムの自動化、効率化を革命的に高めようとする試みだ。

重要なことは、それは、ビジネスの答えではないということだ。

■答えのない時代の人材育成

経営コンサルタントの大前研一によれば、変化の激しい時代には模範解答はない。「答えのない時代」と称している。

また、時代はVUCA(ブーカ)と呼ばれることがある。VUCAは、1990年代に登場したアメリカでの軍事用語で2010年代になってビジネスの業界でも使われるようになった。「Volatility(変動性)」「Uncertainty(不確実性)」「Complexity(複雑性)」「Ambiguity(曖昧性)」の頭文字を並べたもので、「変化が激しく予測が難しい現代」を表す言葉として使われている。急速なテクノロジーの発展などで益々予測することが難しい状況を表している。それは、印刷業の変遷を見ても明らかなことだ。ビジネスが衰退する最大の原因はこれまでの成功体験をそのまま継続しようとするところにある。ロングセラーといわれているものも時代に応じて微妙に変化対応をしている。変化に向き合い常に発想と主体性が求められているのだ。その鍵を握るのが、ミドルマネージャーの次世代の経営幹部としての育成だ。

印刷会社におけるミドルマネージャーの育成と価値

印刷会社の多くのマネージャーは、自らがプレーヤーの場合が多い。日常業務に追われ、自社の状況を俯瞰する余裕がないことが多い。変化対応へのミドルマネージャー育成は、学ぶ時間が必要だ。知識を詰め込む学習ではなく、問うことを学ぶ学習をすることだ。

第36期印刷経営幹部ゼミナールは、研修効果を高める4つの特長を取り入れた

1)自社をテーマに7カ月間事業課題の解決策を考え抜く

2)印刷業界に詳しい各分野の専門家から体系的な知識とスキルを学ぶ

3)異業種のスペシャリストから印刷業界外の新しい価値観を吸収する

4)少人数制による講師と受講者同士の濃密なネットワークができる

変化対応、持続的な企業の発展のためにもミドルマネージャーを次世代の経営幹部として育てる機会をつくることは重要な課題だ。

CS部 古谷芸文


●JAGATは次世代の印刷経営幹部の育成機会として、ミドルマネージャーを対象にした経営幹部ゼミナールを9月13日にリニューアル開講
https://www.jagat.or.jp/archives/61871