コロナ禍での工夫をこらした新入社員教育

掲載日:2020年9月11日

コロナ禍で入社した新入社員たちは、例年に比べて新人教育ができているのか。また、彼らが抱える問題とは何か。それらを解決するためには、今まで以上のコミュニケーションと寄り添った関係性を築くことが重要である。

 

新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け、テレワークや在宅勤務が日常となった。働き方が変わり、職場環境や新入社員の対応などイレギュラーな状況が続く中、今年晴れて社会人となった新入社員たちは、予期せず自宅待機やテレワークを告げられ、どのように感じたのだろうか。
リクルートマネジメントソリューションズが、6月に発表した新入社員(2020年卒)に対する意識調査結果では、例年に比べ、職場内での人間関係や自己成長に不安が高まっている傾向がみられた。一方で「上司や先輩に期待すること」の回答では、傾聴・丁寧な指導・認知が年々増加しており、対話やコミュニケーションを要望していることが読み取れるが、リモートワークを強いられる中で、直接対話する機会が失われていることに対する不安が表れているのかもしれない。

 

コロナ禍における新入社員教育


自宅待機中の新入社員が感じている不安をどうのように解消したのか、そして、新入社員研修の取り組みをどのように行ったのか。
凸版印刷は、新型コロナウイルス感染拡大を受け、2020年4月1日~5月15日の期間、完全オンライン形式で新入社員研修を実施した。
まず、新入社員420人に対し、約20人に1人の割合でトレーナー(社員)を配置し手厚いサポートを行い、悩みや不安を相談できる環境を整えた。そして、通常の集合研修で行っている講義内容を動画やライブ配信で学習できるようにし、不明点など繰り返し学び、業務に関する知識を身に付けられるように対応した。また、体調管理も研修プログラムとして組み込み、適度な運動や睡眠などの管理も行い、安心して在宅で課題に取り組める環境を提供した(同社ホームページ「ニュースルーム」より)。

一方、例年ビジネスマナーや印刷の基礎知識を、外部の集合研修を活用していた中小の印刷会社では、教育機関による新入社員研修の延期や中止にともない、教育計画が頓挫し、また、在宅勤務によりOJT研修もできずにいた。そこで、通信教育やe-ラーニングを取り入れ、自宅学習に切り替え、定期的に電話やWeb会議システム行い、コミュニケーションを図るなど、試行錯誤しながらも対応に苦労していたようだ。
コロナ禍で、在宅勤務や社員の出勤を交代制にしている会社も多い中、新入社員も徐々に実務を覚え、業務にあたり始めた今日、社内で希薄となっていたコミュニケ―ションをいかに回復していくのか、また、Web会議システムなどのオンライン環境下において、いかに新入社員をフォローしていくかが大きな鍵となりそうだ。

 

オンライン教育の効果


JAGATでは、今年からオンラインセミナーと会場セミナーを併用させ、研修を行っている。オンラインセミナーでは、受講者同士のコミュニケーションがとりにくく、座学だけでは受講者のモチベーションが上がりづらいなど、セミナーの効果も得にくい。会場セミナー以上に講師と連携をとり、講座内容やカリキュラムを整え、受講者に負担がかからないような時間設定を行い、細かい配慮を行う必要がある。
これまでに行ったオンラインセミナーでは、移動時間や場所の拘束がないことから、在宅勤務の方や遠方の受講者も多い。Web会議ツールを使用して、双方向でやり取りできる特性を活かし、セミナー中に質問ができ、その場で疑問を解決したり、個人ワークで発表をしたりするなど、会場受講に近い環境で開催した。受講者のアンケートでは、「音声の乱れもなく、真剣に受講できた」、「講師に質問ができ、その場で解決しながら受講できよかった」との声もあり、好評だった。
印刷の基礎知識や実務知識など、OJT研修が難しい今、JAGATでは、今後さらに人材育成が十分にできる環境を整え、オンライン・会場セミナーと併用しながら、教育効果を高めていきたい。

JAGAT CS部 加治寛子


【関連講座】 
2020年オンラインフォローアップ研修
■印刷技術の基礎知識を学ぶ(プリプレス編)
■印刷技術の基礎知識を学ぶ(プレス・ポストプレス編)
■印刷見積り基礎講座(講義)
■印刷営業の基本プロセスと実務知識