デザインを活用したブランド構築で差別化を図る

掲載日:2021年10月12日

モノがあふれる社会の中で、機能や品質だけでなく、デザインの活用により商品の付加価値をさらに高める戦略が重要視されている。ビジネス環境の変化に対応し、競合他社との差別化を図るため、デザインに注力する印刷会社もあるだろうが、関連する知的財産権の知識と理解も重要だ。

 

デザインの重要性とプロセス

 

印刷会社は、顧客のコーポレートカラーやロゴの選定、広告、パッケージの作成やWebサイトの構築など、あらゆるデザイン業務を担える立場にある。顧客企業の持つブランド力を高めるために、ブランドコンセプトに基づいた一貫性のあるデザインでブランドイメージを表現し、説得力を持ったデザインによりエンドユーザーに正しい意図を伝え、そして信頼を得ることができる。
デザインを設計する上で、そのプロセスも重要だ。デザインは、視覚情報を通してエンドユーザーに製品・サービスの様々な価値を伝える。そのため、デザインの第一歩はユーザー層や対象の調査、そして利用実態を把握し整理することから始まる。次に調査した情報を分析し、ユーザーが求めていることを定義することだ。その後、線や色、形状や質感などデザイン要素を、ブランドイメージに沿って統一感やバランスを取りながら設計することで、顧客が求めるデザイン価値、すなわちブランド力アップに結びつく。

 


デザインと知的財産権との関連性

 

デザインは、商品表示するロゴやキャラクター、文字や図形、記号などに関する商標権や、色、模様、印刷加工の形状などについては意匠権と密接に関係してくる。令和2年4月に意匠法は改訂され、「画像」や「建物」、「内装」など保護されるデザインの範囲が広がった。
最近では、自社の技術を権利化するだけでなく、商標でブランド化し顧客に売り込む「知財ミックス」戦略が広がっている。従来の中小企業の知財戦略は、特許で自社技術の権利を守る目的が多かったが、商標も取得することで技術のブランド戦略が可能になり、販売促進に生かせるようになった。自社ブランドはもちろん、顧客のブランド構築支援として、今後ますます重要となるデザインを守るために必要な意匠権や商標権について理解し、知っておくべき知識を持つことは必須といえるだろう。

 

 

JAGATでは、ブランディングディレクターの深澤了氏と篠原特許事務所の篠原淳司氏を講師にブランディングと知的財産権の基礎知識を11月に開催する。ブランディングの基礎からブランド価値を高めるデザインやロゴ、印刷加工の表現方法とデザインの表現、そして商標権・意匠権の基礎知識からデザインや印刷加工との関係性、顧客との権利関係やロイヤリティなど事例を交えながら、わかりやすく解説する。クリエイティブディレクターやデザイナー、企画営業の方や顧客・地域のブランディング支援している印刷会社、クリエイティブと知的財産権で価値を高め、収益性を高めていきたい印刷会社の方など、自社やお客様の商品やサービスを守る手段とし、知識と理解を深めていただきたい。

 

JAGAT 加治 寛子

 

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