研文社社長の網野勝彦氏にDTPエキスパート、クロスメディアエキスパート試験に取り組んだ経緯と今後の社員教育について話を伺った。
「クロスメディアエキスパート」タグアーカイブ
【企業インタビュー:株式会社木万屋商会】お客様との会話の中から 企画提案のポイントを
木万屋商会(本社東京都中央区日本橋)は、ビジネスフォーム印刷を主力事業とする老舗のビジネスフォーム印刷会社である。主力事業に加えて新規事業を企画開発する部門を立ち上げ、クロスメディアエキスパート取得を積極的に推進している。 続きを読む
クロスメディアは業態変革の基本テーマ
(寄稿)クロスメディアエキスパート認証試験取り組み企業に聞く 続きを読む
『JAGAT info』2016年12月号
■経営者インタビュー
軽いフットワークでお客様の困りごとの相談相手に
―オフセット印刷を基盤に印刷周辺サービスへも注力―
いばらき印刷株式会社 代表取締役社長 椿本 学氏
■特集
エキスパート資格を通じた人材育成
株式会社研文社/大昭和印刷紙業株式会社/株式会社木万屋商会
■特別企画
pageカンファレンス・pageセミナーが示す印刷ビジネスの実態と未来
■page2017
印刷パートナーゾーン出展社紹介
■マーケティング情報
印刷ビジネスの2016年を振り返り、2017年を展望する
■技術トレンド/クロスメディア
「あしたの売り上げ」をつくるためのソーシャルメディア
■技術トレンド/グラフィックス
インクジェット技術の基本と先端技術
■Education
新入社員の育成は入社前の準備から始めよう
■エキスパート資格
広がるDTPエキスパートの役割
■メディア業界動向
最近の欧州新聞製作事情 厳しい環境の中、デジタル化への取り組み進展 井上 秋男
■森裕司のデジタル未来塾
美しい組版を実現するために
■デザイン・トレンド
グッドデザイン賞と印刷・メディア
■DTPエキスパートのための注目キーワード
HDR 野尻 研一
■クロスメディアエキスパートのための注目キーワード
課題解決のためのメディア提案の基礎 影山 史枝
■デジタル印刷最前線
小ロット対策と用途開発を両軸にデジタル印刷戦略を推進
株式会社金羊社
■JAGAT近畿大会2016開催報告
印刷の強み、弱みを意識した「顧客への価値提供の考え方」
『DTPベーシックガイダンス』発行のお知らせ
『JAGAT印刷業経営動向調査2016』発行のお知らせ
印刷界OUTLOOK/JAGAT中部大会2017のお知らせ/キーワード2016
新入社員研修のご案内/第47期DTPエキスパート認証試験のお知らせ
ニュースラウンジ/印刷経営ウオッチング/『印刷白書2016』発行のお知らせ
2016年12月15日発行 A4判
【有資格者寄稿】多角的視点で動向を捉える人材がビジネスチャンスをつかむ
エキスパート資格制度活用は人材育成の「はじめの一歩」。有資格者の声をお届けします。 続きを読む
映像とクロスメディアビジネスには 必須の内容が盛り込まれている
クロスメディアエキスパート認証試験合格者に聞く
株式会社パレイド真辺 庄帝氏 代表取締役
株式会社パレイドは映像を中心に、グラフィック・ウェブ・アプリ開発などクロスメディアビジネスに取り組むクリエイティブエージェンシーである。以前、印刷会社にてクロスメディア事業を率いていた真辺庄帝氏が独立し、2015年2月に設立された。クロスメディアエキスパート(以下、CME)資格を取得したことで現在のビジネスにどのように役立っているのかを真辺氏に聞いた。
CME試験を受験したきっかけをお聞かせください。
真辺 以前、印刷会社にアートディレクターとして在籍していましたが、独立してデジタルコンテンツを軸としたクロスメディア事業を立ち上げたい、と当時の社長に相談しました。「それなら、社内ベンチャーのような形ではどうか」ということになりました。そこで、クロスメディア事業部という名前で組織を立ち上げることになりました。
5 月頃から構想を開始し、10 月から事業部をスタートするとなった時、社長から「クロスメディア事業を立ち上げるのだから、CME の資格を持っていると格好が付くだろう」と言われました。
既に試験日が間近になっていましたので、まず、JAGAT のテキストの過去問題を確認しました。学科問題については弱点を把握することができましたので、そこを集中的に勉強することができました。分らなかったところは、改めて言葉の意味から調べ、関連用語も含めてエクセルの表に書き込むという方法で勉強しました。当時は、ネットワーク系やマーケティング理論が苦手でしたので、この分野について深く勉強するきっかけになりました。
企画書の書き方は、正直、傾向と対策が分からなかったので、取りあえず与えられた案件に対して自分なりに企画書を作っていくという、今までどおりの仕事のやり方で、何とか合格することができました。
CME 資格取得によって得られたことは何でしょうか?
真辺 SWOT 分析などの基礎的な知識や論理的思考をしっかり勉強する良いきっかけになりました。その結果、お客様に「デザインはこうした方が良いです」とか、「メディアプランニングについてはこうした方が良いです」などと説明する際に、ロジカルに説明する癖がつきました。当時在籍していた印刷会社では、「提案できる会社になろう」という目標を持っており、暇さえあれば企業を研究し、自主提案するということはやっていました。
現在の会社の社員に対しては、どんな教育を考えているのでしょうか?
真辺 「この業界で食べていくのなら、CME の知識は基本になる」と社員にはいつも言っています。資格を取得することでたくさん仕事を受注できるということではなく、持ってないレベルであれば仕事は取れないということです。今の会社には10 人のメンバーがいて、全員がクリエイターです。代表の私ともう一人のデザイナーが、営業を兼任しています。会社としては、CME、またはプロモーショナルマーケターの取得者には、毎月4000 円の資格手当を出して取得を奨励しています。受験費用も支給しています。
クライアントの目的は、イベントやキャンペーンによってセールスの実績を上げたいということに尽きます。どの場所・どの分野のセールスを強化するか、どんな手法でどんな材料を用意するのか。その費用がいくらでどのくらいの効果が見込めるかということを伝えるのが企画書・提案書になります。イベントがあれば、ブースのアイキャッチ用の映像を作りましょう。その映像にナレーションを入れると商談用の映像に使えます。さらには、映像の素材を使ってカタログを作りませんかという、3 つの流れで提案することもできます。イベントが終わった後でも、「その映像は営業用やウェブサイトに流すこともできます」と言えば、コンテンツのマルチユース提案になります。少ない投資でより多くの効果を上げる、つまりROI を上げることができます。そういう考え方ができるのが、CME であり、ビジネスに生きてくるのです。
セールスプロモーションのビジネスをするのであれば、ウェブや印刷、イベントなどあらゆるメディアや手段を活用しなければなりません。営業マンなら特にこういう分野をしっかり勉強すべきです。業界用語や専門用語を知らないのは、受注する以前の問題です。
また、デザイナーにはデザインの意図をきちんと説明すべきだとよく言っています。クライアントに説明するときには、フィーリングではなく、理論武装しなければなりません。例えば「ターゲットが40 代50 代だから、漢字を使ったグラフィックの方が響きます」という言い方が必要です。ターゲットがどこの誰で、5W1H とか、何がゴールなのかを意識することで、デザインも変わってくるのです。そういう考え方が身に着くので、CME はデザイナーにもメリットがあるものなのです。
真辺さんから見たCMEの意義は?
真辺 今、印刷だけで終わるビジネスはほとんどありません。印刷物を作るなら、同時にウェブに展開されることがほとんどです。つまり、印刷の仕事を受ける時、誰かがそれ以外のビジネスを受けているのです。それを受注できるようにするには、何を勉強すべきか。その内容がこの資格にはあると思います。私の会社でも、展示会に出展することがあります。そこで名刺交換して、これといった方々にはDM として紙の資料を送ります。展示会を見に来る人には、他の企業からもたくさんメールや電話が来ているはずです。だから、コストや手間をかけてもDM を送る意味があるのです。DM を送って届いたタイミングを見計らって電話をするわけです。そういうことが人間の心理を考えたセールスプロモーション、メディア戦略なのです。CME で5W1H に相応しいメディアを選択するということを学んでいるので、なぜ紙が大事なのかを理論的に説明できるようになります。
CME の勉強をすると、今まで見えていなかった景色が見えてきます。紙媒体でもウェブや映像ビジネスでも、その周辺にいろいろなビジネスチャンスが秘められていることが見えてきます。だから、ウェブを作っているお客様に対して「こういう紙媒体があると効果が高まります」と提案することができるのです。
JAGATinfo 2016年7月号より転載
【クロスメディアキーワード】プロジェクトとPMBOK
クロスメディアキーワード【第3回】
プロジェクトは、主に組織の戦略計画を達成する手段として実施され、管理手法としてPMBOKが活用される。
組織とプロジェクト
組織において定常業務が継続的・反復的であるのに対し、プロジェクトは独自の製品やサービスを創造するために実施される有期的な業務である。
多くの組織にとってプロジェクトは、その組織における通常の業務範囲内では対処できない要求に応えるための手段である。プロジェクトは組織のあらゆる階層 で実施され、1人から数千人規模の場合もある。アライアンスやジョイント・ベンチャーなどでみられるように、組織の境界を超える場合もある。
プロジェクトの特性
プロジェクトの特性の1つである「有期性」とは、どのプロジェクトにも明確な始まりと終わりがあることを意味している。プロジェクトと定常業務の目的は本 質的に異なり、プロジェクトの目的は、その目標を達成して終結することである。継続的な非プロジェクト型定常業務では、ビジネスを持続させることにあるの が普通である。
さらに、プロジェクトの特性の1つとして、「段階的詳細化」がある。段階的とは、「ステップを追って進め、継続して着実に 内容を追加すること」を、詳細化は、「注意深く詳細に練り上げ、完全に作り込むこと」を意味している。製品やサービスの特性は、プロジェクトの初期段階で 大まかに定義され、プロジェクトチームが成果物をより良く、かつ、より完全に理解することに従い、明確で詳細なものとなる。
PMBOK(Project Management Body of Knowledge)
PMBOKは、プロジェクト活動を管理するための基本的な考え方、手法をまとめたガイドであることから、ガイドに従うだけでは、様々なビジネスに使用できる具体性はないが、概要を理解することで、プロジェクト管理手法として礎として活用できる。
PMBOKとは、プロジェクトマネジメントに関する知識体系である。アメリカにあるプロジェクトマネジメント関する技法を研究している団体である PMI(Project Management Institute)がまとめている。現在は、PMBOKに従いプロジェクトマネジメントを実施することが、国際標準となっている。PMBOKの内容は、 4年に1回改訂が行われており、2012年に英語版である第5版が公開された。
管理体系の分類とプロセス
PMBOKは、プロジェクト管理体系に関する知識を9つに分類し、さらに、プロジェクトのフローを「立ち上げ」「計画」「実行」「管理」「終結」といった、5つのプロセスに区切り、9×5の中にどのプロセスで何を作成・管理すべきかを定義している。
9つの知識エリアは、日本の製造業において従来から使われてきた3つの管理項目である「品質管理」や「コスト管理」、「納期管理」に対し、「スコープ管 理」、「人的資源管理」、「コミュニケーション管理」、「リスク管理」、「調達管理」といった5つの分類を加え、それらをトータルに管理する「統合管理」 を含めたものである。プロジェクトの請負範囲や成果物が何であるかを定義・計画する分類は、スコープ管理にあたる。
個別の知識エリアにお いて、「コスト管理」では「コスト見積書」、「人的資源管理」では「プロジェクト体制図」や「リソースヒストグラム」といった、計画のアウトプットが作成 される。これらは相互に関連し、統合管理で各計画の整合性を保つ。「プロジェクト計画書」は、他エリアの計画プロセスで作成する計画ドキュメントと重複し ないように配慮する。
また、プロジェクト体制の構築、プロジェクトメンバーの確保、プロジェクトメンバーの育成を行う知識エリアは、「人的資源管理」である。ただし、プロジェクトマネージャーやプロジェクトリーダーといった中心人物の選任については、スコープ管理の「立ち上げプロセス」の 範疇になっている。
「人的資源管理」のアウトプットは、プロジェクトスタート時に速やかに作成し、受注業務においては、受注側だけでなく、発注側の体制についても明記する。
スコープ定義とWBS(Work Breakdown Structure)
スコープ定義(Scope Definition)とは、プロジェクトの主要な要素成果物を小さなマネジメントしやすい構成要素に分解することである。その目的は、①コスト、所要期 間、資源の見積りの精度を高める、②実績を測定し、コントロールするベースラインを決める、③明確な責任分担を促進する、が挙げられる。適切なスコープ定義は、プロジェクトを成功に導くために極めて重要である。
PMBOKでは、要素成果物によりプロジェクトの構成要素をグループとし、プロ ジェクト全体のスコープを系統立ててまとめあげ、定義したものをWBSという。の各項目には一般に固有の識別子が付けられる。これらの識別子により、コス トや資源を階層により集計する仕組みを表す。特にアーンド・バリュー・マネジメント方式を採用している組織では、WBSの最下位レベルの項目を「ワーク パッケージ」と呼ぶ。この「ワークパッケージ」は、下位のサブプロジェクトにおけるWBSとして、さらに分解されることもある。
リスク識別
リスク識別(Risk Identification)とは、どのようなリスクがプロジェクトに影響を及ぼすかを見定め、その特性を文書化することである。リスク識別はプロジェ クトの全期間で定期的に実施する。またリスクを識別するために、「リスクそのもの」と「トリガー」、「他のプロセスへのインプット」の3つがアウトプット となる。トリガーは、リスクの兆候(リスクの警鐘)とも呼ばれ、リスクが発生した、あるいは発生しようとしていることを示すものである。例として、中間の マイルストーンに遅れることはスケジュールの遅れが差し迫っているということが早期警報である。また、他のプロセスへのインプットで、リスク識別により他 の知識エリアでさらに対策を講じる必要性が明確になる。スケジュールが不完全、論理的でないなどが例として挙げられる。
コンティンジェンシー計画(Contingency Plan)は事前に、プロジェクト計画中に識別したリスクが発生した場合に適用する。前もって計画を立てておくと、リスクが起こったときの対応コストを大きく減らすことができる。
例題
PMBOKにおけるプロジェクトの定義に関する記述として最も不適切なものはどれか[解答群]から選べ。
ア プロジェクトとは、以前に同等のものが実施されたことがなく、新しく行う独自の活動である。
イ プロジェクトチームは、プロジェクトの目的を遂行するために編成され、プロジェクトが終結した時点で解散する。
ウ 1人で実行されるのは業務であり、プロジェクトではない。
エ プロジェクトでは、進行と共に具体性が増すため、初期段階では製品やサービスの仕様は、大まかに定義される。
[解答群]
①ア ②イ ③ウ ④エ
[解答]
③ウ
※本ページの内容は掲載当時(2013年10月15日)のものです。
【クロスメディアキーワード】ブログ
クロスメディアキーワード【第14回】
個人の情報発信スタイルを支えるブログは、独自のジャーナリズムを可能にし、メディアとして価値を高めている。場所を問わず情報発信が行えるリアルタイム性の強いマイクロブログも登場し、生活者の情報接触時間に大きな影響を与えている。
ブログの登場
ブログが普及する以前、個人がWebコンテンツを公開する場合には、パソコンにインストールされているテキストエディターや、専用アプリケーションを使用 し容易されていた。インターネット上のアプリケーションサービスとして提供されるブログの登場で、個人が、容易に占有的なコンテンツ展開を行えるように なった。
情報発信が容易となることで、文章表現能力やコンテンツ制作能力に優れたブロガーが商業的なメディアと同等の情報発信を行うこと が可能となり、新聞や雑誌の購読率にも影響を与えるようになっている。ポータルサイトやコミュニティーサイトを運営する法人が、メディアとして価値のある ブログを集め、ブログ総合サイトとして運営することにより、ブログジャーナリズムの発展を後押しした。
ブログサービスの種類
ブログサービスには、ブログ専用の有料サービスのほか、独自ドメインがないポータルサイトの無料サービス、レンタルサーバーにアプリケーションをインストールして使用するものなどがある。
アプリケーションサービスとして提供されるブログの利用は、システムに関する特別な知識や技術を求められない。コンテンツ作成については、利用できるデ ザインや機能は限定されるが、ワープロによる文書データ作成と同様で、テンプレートに従い、文章や画像を配置することで、完成させることが可能であり、多 くの人々に利用されている。
一方、レンタルサーバーにインストールし利用するブログは、カスタマイズにより、レイアウトやデザインの変更のほか、様々な機能を追加することができる が、デザインやプログラミング、システムに関する知識が求められる。CMS(Contents Management System)で構築されたWebサイトと遜色ないサイト構築が可能であり、法人が事業活動における情報の受発信手段として、利用することが多くなってい る。
ブログの機能
「トラックバック」は、ブログの代表的な機能の1つである。トラックバックとは、別のブログにリンク を設置した際に、リンク先のブログ運営者に通知を行う仕組みである。発信している情報と関係のある他のブログと、連携や交流が可能になる。また、ブログで 公開されている記事に対し、閲覧者が意見や感想を入力できる「コメント機能」も代表的である。「コメント機能」により、ブログは双方向性のあるコミュニ ケーションメディアとなる。コメント入力者の名前欄に、自身のブログURLやメールアドレスの掲載が可能であり、「誘導」や「情報収集」などが可能である といった、コメント入力者のメリットもある。
有名なブログアプリケーションには、プラグインとして様々な機能がサードパーティーとなる法人や個人から提供されており、短時間かつローコストで、多機能なシステムを立ち上げることができる。
マイクロブログ
Twitterのような文字数に制限があるマイクロブログの登場により、個人の「気付き」や「感想」、「事象」などについて、即時的な情報発信が可能と なった。また、ケータイやスマートフォンなどのモバイル端末の普及や通信環境の充実などにより、場所や時間を問わずに情報の受発信を行える状況を生み、マ イクロブログの普及に貢献した。
高度情報化社会の生活者は、様々な情報への接触時間が長くなる傾向があり、情報の受発信源であるマイクロ ブログは、メディアとしての価値が認められている。マイクロブログからコーポレートサイトやSNS(Social Networking Service)への連携や誘導が可能であることから、話題性の高い情報がマイクロブログに投稿される傾向がある。放送局や新聞社、出版社などといったマ スメディアを運営する組織が、マイクロブログのアカウントを取得し、速報性のある情報配信を行っている。
ブログの問題点
ブログの活用は、「情報発信が容易である」「更新が容易である」「SEO(Search Engine Optimization:検索エンジン最適化)対策も行える」など、様々なメリットがある。
また、様々なデメリットも存在する。ブログにより記事を日々公開すると、トップページの最新記事は、数件が掲載されるが、古い記事は掲載されない。した がって、閲覧者が過去の記事を読む可能性が徐々に低くなる傾向がある。過去の記事が「価値のある情報」であっても、専門的なカスタマイズを行わない限り、 PV(Page View)数は伸びない。
ブログによる情報氾濫
ブログの登場により情報発信が容易になったが、「価値のある情報」が常に発信できるとは限らない。安易な情報発信は、信憑性や公平性を欠く可能性を秘めており、ブランドを傷つける恐れもある。
誹謗中傷ともとれる情報発信を行っていしまった場合、閲覧者の反感を高め、企業が謝罪する事例があった。また、株の取引市場に大きな影響を与え、株価が暴 落する事例もある。さらに、著名人であると偽り、情報発信を行う事例も後を絶たない。検索サイトの検索結果表示では、探している情報が見つけにくくなると いった問題も起きている。
適切な情報発信に向けて
法人が事業活動の一環でブログを活用するのであれば、自己満足的ともいえる安易な情報発信を避ける考えも必要である。
コンテンツとして表現されている事が、全てであると解釈する閲覧者を生むことも考えられ、個人や法人を問わず、意図しない「印象」をブログにより与えてし まう可能性もある。「ブログ」で表現するコンテンツは、全ての情報の中で、インターネット上にあるごく一部であり、表現する内容については、十分な検討を したうえで、公開することが望まれる。
例題
次の文中の空欄[A]~[D]に入る最も適切な語句の組み合わせを下記の[解答群]から選べ。
新聞や雑誌、ポータルサイトなど、商業的なメディアへの執筆経験者が、ブログを活用し情報発信を行うことから、新聞や雑誌に匹敵するブログジャーナリズムが生まれた。ブログの著者は[A]と呼ばれることがある。
ブログツールは、HTMLコーディングを行い、FTPによりサーバーへファイルをアップロードするWebサイト構築と比べた場合、コンテンツ更新の容易さ や、複数ので編集が可能であるという点で[B]としての側面がある。利用者の多いブログツールは、様々な拡張機能(プラグイン)がサードパーティーから提 供され、HTMLコーディングを行った場合に対し、比較的に短期間、ローコストでWebサイトを構築することができる。内容的に関連した記事コンテンツに 対し、自身の記事コンテンツへリンクを掲載する[C]機能や、RSSデータを自動生成し、訪問者のRSSリーダーに[D]を自動的に通知する機能を備えた ものもある。
[解答群]
①A:ブロガー B:CMS C:トラックバック D:更新
②A:コメンテーター B:CMS C:トラックバック D:削除
③A:ブロガー B:EDI C:トラックバック D:更新
④A:コメンテーター B:EDI C:トラックバック D:削除
[解答]
①A:ブロガー B:CMS C:トラックバック D:更新
※本ページの内容は掲載当時(2014年5月9日)のものです。
【クロスメディアキーワード】ソーシャルメディア
クロスメディアキーワード【第16回】
SNS(Social Networking Service)は、インターネット上のコミュニケーションツールとして普及し、非常に多くの会員(利用者)を有している。情報の伝達力は、マスメディア に匹敵するほどのメディアとなり、媒体価値を高く評価されるようになり、様々な事業を考える上で欠かせないツールとなった。
SNSの歴史
利用者を限定したコミュニティー型情報サービスは、1980年代のニューメディアといった言葉が使われていた頃から存在していたが、 IT(Infomation Technology)の発展により、パソコン通信からインターネット上へと移行した。日本では、ケータイの普及に伴い、ケータイSNSも発展した。
パソコン通信により利用されていた掲示板(BBS:Bulletin Board System)のようなオープンサービスでは、情報発信者の意図とは別に非難や批判が殺到する「炎上」につながる事象もあり、継続的に発展するコミュニ ケーションの妨げとなることも多かった。その後、情報発信者が、他者によるレスポンス情報の公開をコントロールできる「ブログアプリケーション」のような 機能を実現することで、コンテンツの質もコントロールできるようになった。
当初のブログは、専門知識を有する人物の情報発信を中心に、アメリカで使用されていた。しかしながら日本では、個人的な日記を公開するために使用され始め、関係者同士のコミュニケーションツールとして急速に発達した。
ブログの目的は、インタラクティブコミュニケーションではなかったことから、閲覧者の管理もコントロールできるツールとして、SNSは登場した。
利用方法の変化
このような背景の中、Facebookは実名登録を原則とし、登録者からの招待がない限り、利用することができなかった。Facebookは大学内の利用 から始まり、パーティーに参加することで、面識のない人物との出会いや、友人の紹介など、個人から集団へ向けた利用に関する機能を拡張することで、若者の 間から定着した。
日本のmixiでは、大学のゼミやサークルなどで、交流のために多く利用された。その後、多くのSNSは登録制となり、次第に招待が無い場合でも登録可能なサービスとなった。
登録制になってからもSNSの特徴は保たれ、発信した情報に対し誹謗中傷をされにくく、不快感や不安感の少ないコミュニケーションツールとして普及してい る。匿名でのレスポンス情報発信が可能であった掲示板とは異なり、SNSは安心と信頼ができる要素が向上したコミュニケーションツールであると考えられ る。
SNSとマーケティング
Webクローリング技術を活用することで、ソーシャルメディア上で人々が日常的に交わして いる情報や行動に関するデータを収集し、調査や分析を行うことで業界動向把握やトレンド予測、組織、ブランド、製品またはサービスなどに関する評価や評判 の理解を深め改善に活かす「ソーシャルリスニング」活動も行われており、重要視される傾向がある。
また、SNSは同様な嗜好を持つ人々の 集団と捉えることが可能であり、マーケティングの観点から、「口コミ」効果を期待したマーケティング戦略ツールとしての利用が盛んになっている。そのた め、SNSを利用する人々の相関関係をマーケティングデータとして活用するために、「ソーシャルグラフ」といった概念が生まれた。
「ソー シャルグラフ」へのアプローチは、生活者の嗜好が多様化し、大きなセグメントに対する傾向分析では、需要の発見や対応が難しくなってきた社会環境によると ころが大きい。経済が成熟した環境では、消費者行動は多様化する傾向がある。マスメディアによる品質や価格の訴求だけでは購買意欲の刺激が難しくなってい る現状も、「ソーシャルグラフ」に寄せられる期待感を後押ししている。
「ソーシャルグラフ」での話題は、消費行動に影響を与える可能性が 高い。知人からの「口コミ」情報は、マスメディアからの情報と比較した場合、倍近く信頼するといった発表もあった。小さなセグメントを対象とするマーケ ティング戦略には、「ソーシャルグラフ」の活用が重要視される傾向があり、緻密な生活者に対するマーケティング施策の重要性は、高まっていくと考えられ る。
企業によるマーケティング活動では、「多くの生活者から共感を得るようなメッセージやコンテンツ」だけではなく、「少数の嗜好を共にする集団で話題となるメッセージやコンテンツ」といった情報発信の重要性が増している。
SNSのビジネスモデル
一般的に大規模SNSは、広告収入で運用することで、生活者に無料でサービス提供されることが多い。利用目的を特定した、会費制SNSも存在するが、大規 模であっても利用者の格付けを行い、SNS上でバーチャルグッズ売買が可能なプレミアム会員を有料とした、収益モデルの確立も行われている。
利用者にとって、安全性の高いSNSでは、ゲームやアプリケーション、写真などの共有について、信頼性を担保しつつ実現できるため、SNS内での課金サービスについても利用者は増えている。
例題
次の文中の空欄[A]~[C]に入る最も適切な語句の組み合わせを下記の[解答群]から選べ。
現代社会において、SNS(Social Networking Service)は、社会的なネットワークを構築できるWebサイトを指すことが多い。初期のSNSは利用者が参加する仕組みとして、招待制のシステムを 採用する事業者が比較的多かったが、昨今では[A]が多くなった。その理由として、招待されずにSNSに参加した場合においても友人や知人を見つけやすく なったことや、招待制SNSの参加者数増加の[B]などが挙げられている。
サービスが登場した当初は、友人や知人との間で利用され、趣味や嗜好などの共通事項で関係する余暇の要素が大きかった。現在は、組織内の構成員による[C]を活性化させ、業務を円滑に遂行させるためのツールとしても活用されている。
[解答群]
①A:登録制 B:抑制 C:コンフリクト
②A:指名制 B:限界 C:コンフリクト
③A:登録制 B:限界 C:コミュニケーション
④A:指名制 B:抑制 C:コミュニケーション
[解答]
③A:登録制 B:限界 C:コミュニケーション
※本ページの内容は掲載当時(2014年5月26日)のものです。
【クロスメディアキーワード】シングルサインオン
クロスメディアキーワード【第18回】
シングルサインオン(SSO)は、認証を実現する技術の一つであり、EC(Electronic Commerce)サイトやポータルサイトで、閲覧者のアクセスコントロールを目的に利用されている。
関連する規格もあり、セキュリティーの確保を前提としたWebサイトを活用するクロスメディア展開では、必須の知識である。
クラウドコンピューティング
シングルサインオンはと関連する技術の一つとして、クラウドコンピューティングをあげることができる。
クラウドコンピューティングとは、特にインターネット経由でアプリケーションやストレージといったサービスを利用する形態を指す。
このようなサービスでは、個人に紐付くさまざまなデータがインターネット上に保存されるため、サービスを利用する際には、ユーザーIDやパスワードが必要不可欠となる。
ユーザーID(IDentification)とパスワードにより認証を行い、ログインすることでサービスを利用できる仕組みが一般的であったが、複数のサービスを利用する場合、複数のユーザーIDとパスワードを管理する必要がある。
さらにセキュリティーを考慮すると、定期的なパスワードの変更が必要な場合もあり、利用者の負担が高かった。
シングルサインオンの普及
シングルサインオンとは、従来、個別のユーザーIDとパスワードで管理されていたサービスを統合し、ユーザーIDとパスワードを一度入力することで、さまざまなサービスを横断的に使用できる機能である。
シングルサインオンにより、利用者の負担は軽減され、安全性を保つ認証が実現される。
Yahoo!や楽天などにより提供されるECサイトの認証で採用されているほか、一部のOS(Operating System)でも採用されている。
昨今は、インターネット上の複数サービスを利用する生活者が増えてきたことから、シングルサインオンが普及している。
シングルサインオンを実現するサービスは、様々なものが有償または無償で提供されている。
OpenID
シングルサインオンを実現するサービスの中で、日本国内で標準規格として普及してきているものとして「OpenID」をあげることができる。
「OpenID」は、米国のOIDF(OpenID Foundation)を代表とする団体により普及促進が図られている規格であり、利用者を問わずインターネット上で活用することができる。
発行される「OpenID」は、URL(Uniform Resource Locator)形式により構成される。
そのため、スパムメールや不正アクセスなどのリスクが少なく、認証することができる。
URL形式の「OpenID」は、専用のサーバーで管理されおり、1つの「OpenID」により、対応する全てのインターネット上のサービスで認証を受けることができる。
例題
次の文中の空欄[A]~[C]に入る最も適切な語句の組み合わせを下記の[解答群]から選べ。
インターネット上で利用者に個別のサービスを提供するために、WebサイトごとにユーザーIDとパスワードが発行されるが、利用者の管理上の不便さからサ イト利用率の低下を招くことがある。この管理から利用者を解放するシングルサインオンの方法として、一部のベンダーによりサービスが提供されたが、ユー ザーIDの認証や情報をそのベンダーのみが管理することで、他のベンダーによるサービスが取り入れられない制約があった。
その後、サイト 間での相互のシングルサインオンを実現するものとして[A]が登場した。国内においても大手ベンダーが[A]を発行し、複数のベンダーが[B]サイトを提 供している。初期の段階から複数の大手ベンダーが推進団体に加盟しており、世界で1万以上のサイトが対応している。
利用者は、[A]対応サイトを利用することで、新たにユーザーIDとパスワードを取得する必要がなくなる。
この認証技術は、対応サイトで共通して利用できるユーザーIDを持ち、[C]形式で表す。[C]形式に定められた長所の一つは、よく使われるメールアドレスの場合、アドレスの不正利用や、「盗聴」によるスパムメールが増加の心配がないとされている。
[解答群]
①A:OpenID B:ログイン対応 C:URL
②A:CommonID B:ログイン対応 C:アカウント
③A:CommonID B:セッション対応 C:URL
④A:OpenID B:セッション対応 C:アカウント
[解答]
①A:OpenID B:ログイン対応 C:URL
※本ページの内容は掲載当時(2014年5月28日)のものです。