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企業資産とキャリアデザイン

企業の経営者や人事担当者に人材について伺うと、

  • 設備が競争力になった時代は終わり、人材の優劣がビジネスのポイントになる
  • 社員が成果を出せるようなパフォーマンスを支援して意欲を高めて業務に取り組んでもらいたい

といった声が多く聞かれる。

正社員1人に投下される年間の教育研修費が高水準で維持され、また好業績会社の年間教育研修費は平均の1.2倍であるなど人的資源への投資が活発であるという統計結果も出ている。
このように、今後のビジネス展開のキーワードを「人材」としている企業が目立つ。

経済活動のグローバル化や情報通信技術の進展など社会・経済の急速な変化に伴い、企業が従業員に求める能力は、刻々と変化している。従業員個人の観点から見ると、職業生活のキーワードとなるのは「キャリア形成」であり、主体的なキャリア形成への取り組みも不可欠となっている。

企業の方向性と従業員個人の取り組みをどう結び付けたらよいか。参考に厚生労働省主催の「キャリア支援企業表彰」2012年のベスト10企業のテーマを挙げると、

  • 人が資産
  • 人こそが最も大事な経営資源
  • 個人の意思・意欲・成長を会社の成長につなげる
  • 会社と社員がともに成長していく
  • 日本一の人育て会社による社会変革
  • 人材育成こそ中小企業の生き残る最善策

など、従業員個人の成長が会社の成長に欠かせない位置づけるテーマが列挙されている。このことから、個々のキャリア形成が企業や社会の活性化に直接作用すると捉えられていることが分かる。

「キャリア形成」とは、一般に「時間的持続性ないし継続性を持った概念としての『経歴』『経験』『発展』『関連した職務の連鎖』を通して職業能力を形成していくこと」とされている。

個々のキャリア形成とはいっても、企業の経営方針やポストの能力要件にあてはまるかどうかという問題がある。また、社内の既存体制の中だけでの評価基準に従っていて、自らの長期安定化した雇用が維持可能であるのかどうかという問題もある。先行き不透明な時代に、従業員個人として意欲はあっても能動的な行動には出にくいかもしれない。

だからこそ企業には、目標管理の原則として定義されているように、組織目標と個人目標の達成すべきゴールへのベクトル合わせが求められる。

このベクトル合わせに、実質的な力量が身に付く「資格」という仕組みを活用していただきたいと思う。
資格そのものは、企業横断的な評価制度であるため、従業員個人の士気の向上、客観的な指標によって達成度を確認することができる。社内的評価に繋がることになれば、従業員満足 (Employees Satisfaction)の向上にもつながる。

ここで重要なのは、この資格の仕組みが取得のみを目的とするのではなく、取得のプロセス自体が職業能力の向上、キャリア形成として定義されるところの「関連した職務の連鎖」へのプロセスとなるように設計された資格でなくてはならないということである。

エキスパート資格の学科範囲の広さと、実業務を想定した実技試験の意味の1つがここにある。JAGATは、今後のメディア産業の展開や関連職務の連鎖を想定し、人材育成と個々のキャリア形成の礎となるプログラムを提供している。

JAGAT 資格制度事務局 丹羽 朋子

関連情報

※本ページの内容は掲載当時のものです。

クロスメディアエキスパートへの道 part1

クロスメディアエキスパート認証試験の受験に向け、その攻略手段を考える。

クロスメディアエキスパート認証の条件

クロスメディアエキスパート認証試験は、マークシートによる択一式の第1部試験と、記述による第2部試験で、共に70%以上の正答率を求められる。第1部試験では、150問のうち105問以上の正答数が必要であることを指す。
第1部試験の合格基準を満たすためには、クロスメディアエキスパート認証試験カリ キュラムに記載されている、コミュニケーション概論、経営概論、情報技術概論の3つのカテゴリーに掲載されているキーワードについて、基本的な内容を理解しているか否かにかかっている。さらに、新聞や雑誌、インターネットにより、最新の技術動向や情報システムを活用したサービス内容等を把握することが合格基準を越える鍵となる。

第2部試験は、第1部試験の合格が前提条件となるが、合格基準である70点以上の点を獲得するために、与件を効率よく分析し、迅速かつ正確に5つの設問の解答をし、さらに提案書を作成する能力が求められる。
与えられる時間は、わずか120分である。時間内に、解答用紙を埋めていかなければならない。普通に解答をすすめるには、与件を読み、設問を読み、第1 問から順番に解答しいく。しかしながら、これでは効率が悪い。以下のような手順に従えば、制限時間を有効に活用することができる。

1.解答用紙を確認する

試験が開始されたら、はじめに答案用紙を見て、答案の分量がどの程度であるかを確認する。特に解答欄のスペースにより必要とされる総文字数を概算し、120分をどのように使うか検討する。
具体的な時間の使い方(タイムマネジメント)については後述する。

2.設問を読む

時間配分が決まったら、設問に目を移し、出題者がどのような内容をポイントとしているかを考える。解答欄のスペースを見れば、どの問題が重要なのかも同時に確認が出来る。
解答スペースの大きい設問は、題意を取り違えると得点が狙い辛くなるので、正確に把握しなければならない。

3.設問構造を分析する

続いて、設問構造を分析する。「第1問は与件企業の現状分析の問題だ」、「第2問は第1問解答の課題解決の問題だ」、「第3問は第2問解答の課題解決を提案概要を記述する問題だ」と見極めを行う。これによって、設問ごとの解答の重複を未然に防止できる。

4.与件を読む

設問構造分析の結果を頭にインプットした上で、与件を読む。与件のどこが重要か、ある程度、判断しながら、読み進めることができる。あまり設問とは関係な いところは速読し、設問に関係する重要な個所は精読するといった強弱をつけた読み方を心がける。これにより、頭から与件のすべての個所を精読する習慣をなくすことから、時間的に優位に解答がすすめられる。

与件を読み進める際には、与件企業の強み・弱み・機会・脅威に着目する。SWOT分析である。
試験会場にはマーカーの持ち込みが許可されている。与件を色分けしながら読んでいくと、後で判断がつきやすくなる。マーカーの色分け作業を煩雑に感じる場合は、鉛筆で与件に破線や点線、二重線、太線等を引いて区別しても構わない。自分にあう方法を選択することをすすめる。

5.与件を分析する

与件を読み終えたら、与件企業の経営 状況を簡単に分析する。
色分けしたSWOT分析の各情報をもとに①与件企業の経営上の問題点を集約し、これをもとに②与件企業の経営課題を抽出する。
経営課題を克服することにより実現する、与件企業の将来のドメインについての仮説を立て、これを設問攻略のための根拠として備える。

6.解答を書く

原則として下書きの時間はない。いきなり、解答用紙に答えを書かなくてはならない。慎重さと大胆さのバランス感覚が要求されるが、頼みの綱は、前述した設問構造の分析結果である。設問で与えられた解答スペースを完全に埋めるのは難しいものがあるが、トレーニングを積めば必ず対応できるようになる。
さらに各設問で解答していく内容が、「経営戦略レベル」や、「マーケティング戦略レベル」なのか、単に「プロモーション戦術」なのか、バランスを考えて解答をすすめることで、内容に一貫性のある解答となっていく。

7.時間管理(タイムマネジメントの方法)

答案の作成には、120分間という制限時間の中で行われる。希少な時間資源をどのように配分する時間管理(タイムマネジメント)は合否を分ける重要なテクニックである。

8.重要な設問には時間をかける

分析が終われば、原則として第1問から答えていけばよい。設問構造が頭に入っているので、解答の重複といった心配がない。ただし、各設問にかける時間には緩急をつけたい。
特に設問 1~2は、提案書を作成する上で重要なポイントとなる設問であることから、ある程度時間をかけていただきたい。得点源となる設問4にかける時間が最も重要であることはいうまでもないが、設問の関連性を捉えつつ時間配分を考慮することを心がけていただきたい。

公益社団法人 日本印刷技術協会
教育コンサルティング部
チーフコンサルタント
小林 祐一

 

※本ページの内容は掲載当時のものです。

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