[情報システム]4-1 コンピューター

コンピューターは、「入力」「出力」「演算・制御」「記憶」といった機能を持つ装置として構成される。その種類や特長、用途などを理解する。

4-1-1 データ表現

  • コンピューターは、「0」と「1」による2進数でデータの処理を行う。2進数による表記は、人による識別が困難なため、2進化10進法(BCD:Binary Coded Decimal)や16進法(Hexadecimal)でデータを表す。

  • データの最小単位は「bit(ビット)」であり、1Byte(バイト)=8bitである。「Byte」は2の8乗(8bit)であり、10進数で表す場合は256までの数字を表現できる。

  • 画像データのカラー表現(階調表現)では、8bitや16bitといった単位が用いられる。8bitは256階調、16bitは65,536階調の表現が可能である。

  • 文字表現では、0~255までの数値を文字に割り当て処理を行う。漢字を表現する場合は、2バイト(2の16乗=16bit)必要である。

  • コンピューターで扱う情報量は膨大なものとなり、その単位も大きな桁数を表すものが使われている。1KB(キロバイト)は1,024Byte(2の10乗)、1MB(メガバイト)は1,024KB(2の20乗=1,048,576Byte)、1GB(ギガバイト)は1,024MB(2の30乗=1,073,741,824Byte)、1TB(テラバイト)は1,024GB(2の40乗=1,099,511,627,776Byte)である。

  • 伝送速度とは、一定時間内に転送が可能なデータ量を表す。1秒間に転送できるデータ量を表す際には、「bps」の単位が使用される。

  • bps(bit per second)は、通信の際に使用される単位である。1秒間に何bitのデータ転送が可能であるかを示す。実効速度(スループット)は、実質的なデータ転送量や処理量を表し、一般に実効速度は伝送速度よりも遅くなる。

4-1-2 構成

  • コンピューターには、I/O(Input/Output=アイオー)と演算、記憶などの機能がある。I/Oは、入力機能と出力機能を指し、通信機能もI/Oのひとつとされる。

4-1-3 機能

  • 入力機能とは、外部からコンピューターにデータを送信することである。文字信号を送信する「キーボード」、入力位置の指示を送信する「マウス」、画像情報を送信する「イメージスキャナー」や「デジタルカメラ」などがある。

  • 出力機能とは、コンピューターから外部にデータを送信することである。文字や図形、映像などを表示する装置として「ディスプレイ」があり「モニター」とも呼ばれる。また、「プリンター」や「プロッター」は紙へ、「イメージセッター」はフィルムへ、「CTP(プレートセッター)」は刷版にデータを出力する装置となる。

  • 演算機能では、コンピューターが命令を解読し、CPU(中央処理装置)で演算処理を実行する。広義のCPU(中央処理装置)は、命令を実行するために使用する主記憶も含めた装置を指す。

  • 記憶機能とは、コンピューターで処理するデータやプログラムを格納する機能のことである。CPUから直接アクセスできる主記憶は、半導体メモリーにより構成される記憶装置である。補助記憶装置(ストレージ)とは、フロッピーディスク、ハードディスク、光ディスク、フラッシュメモリーなどを指し、外部記憶装置とも呼ばれる。

4-1-4 インターフェイス

  • インターフェイスとは、コンピューターと周辺装置を接続するために必要な、回路や装置を指す。パラレルインターフェイスとシリアルインターフェイスがあり、それぞれの方式の原理や種類、特長、用途などを理解する必要がある。

4-1-5 入力装置

  • 入力装置とは、人がコンピューターに直接的に接触するマン・マシン・インターフェイスである。人にとって「理解しやすい」「覚えやすい」「疲労しにくい」「効率的である」などといった要素が求められる。

  • キーボードのキー配列は、「JIS配列」や「親指シフト配列」「50音順配列」などといった複数の規格がある。

  • ポインティングデバイスは、人為的にコンピューターに対する座標位置の指示を行う装置を指す。代表的なデバイスとして、「マウス」「トラックボール」「デジタイザー」「タブレット」「タッチパネル」などが挙げられる。

  • デジタルカメラは、コンパクトカメラから一眼レフカメラまでさまざまなものがあり、レンズや絞り機構を指す光学系と、受光素子とメモリーを含む画像演算回路や記録装置などといった電子系により構成されている。

  • イメージスキャナーは、通信や記録のために画像や文書などを電子化し静止画像情報化する装置である。画像情報をOCR(Optical Character Recognition)を利用し、文字データ化する際にも使用される。

4-1-6 出力装置(プリンター)

  • プリンターには、「インクジェット方式」や「電子写真方式」、「熱溶融転写方式」、「昇華熱転写方式」などがある。

  • 「インクジェット方式」は、微細な粒子にしたインクをポンプや電気的な力により紙に噴射し付着させる印刷方式である。出力する画像の濃淡を制御することが可能なプリンターもある。大きなサイズにも対応可能であり、色材の選択範囲が広い。

  • 「電子写真方式」は、一様に帯電させた感光層に光を当てることで潜像を形成し、感光層にトナーを付着させて現像し、紙などに転写する方式である。感光ドラムへの潜像を形成するために、レーザーやLEDを使用する。

  • 「熱溶融転写方式」は、微小な発熱体素子が配列されたプリンターヘッドをインクリボンと紙に押し当て、ヘッドの特定素子を電気により加熱し、インクを溶かして紙に転写する方式であり、解像度は300~600dpi前後である。

  • 「昇華熱転写方式」とは、昇華性染料を塗布したインクシートを熱し、昇華した染料を専用用紙に付着させて印刷するものを指す。ヘッドを加熱する加減により、転移する染料の量が変化するため、連続階調表現が可能である。

  • 液晶ディスプレイ
    – 液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)は、液晶を利用した表示装置であり、画質の安定性とちらつきのなさを特長とする。RGBの3原色のフィルターを各画素上に配置している。液晶自体は発光せず、ディスプレイの背後からバックライトを投射し画面を明るくする。
    – 液晶の配列や駆動方式により、TN(Twisted Nematic)方式やSTN(Super Twisted Nematic)方式がある。視野角が狭いため、角度によりコントラストや色が変化してしまうことが弱点とされていたが、広視野角・高画質技術のVA(Vertical Alignment)方式やIPS(In-Plane Switching)方式の採用により改善された。

  • 有機ELディスプレイ
    – 有機EL(Electro-Luminescence)とは、有機物質に電圧をかけると光る現象のことで、これを用いたディスプレイ。有機物質自体が発光するため、バックライトが不要で映像を鮮明に表現することができ、視野角による色の違いや映像の応答速度が遅くなることもない。
    – 構造がシンプルで、薄く軽い製品をつくることができる。近年、液晶ディスプレイに替わって、大型テレビやスマートフォンで採用されることが増えている。

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