[コミュニケーションと印刷ビジネス]5-2 工程設計

印刷物の制作工程は、プリプレス工程のデジタル化によりシームレスになっている。
全体工程を見渡した工程設計と、各工程での責任範囲を決める。
プリプレス工程では、造本、印刷・後加工の仕様に適合するように、作業の設計を行う必要がある。

5-2-1 全体工程

  • 印刷物の制作工程および役割分担は、おおよそ下記のようになる。(制作物の特性によっては、下記のほかにアートディレクターやクリエイティブディレクターが関わる場合もある。)
    – 制作工程確定(編集者・ディレクター)
    誰に向けたどのような情報を伝える制作物かを決めるとともに、その目的に即した情報の表現と演出を検討する。
    – 制作工程確定(編集者・ディレクター)
    全体工程と進行の管理をする。
    – 企画に沿った制作物の仕様設計(造本設計・紙面設計:エディトリアルデザイナー、グラフィックデザイナー)
    制作物の形状からレイアウトデザインフォーマットまで確定する。
    – 各要素の作成(原稿執筆:ライター、撮影:カメラマン、描画:イラストレーター、など)
    – DTP制作環境の準備(編集者・ディレクター・システム担当者)
    使用するアプリケーション(ソフトウェア)やデータ受け渡し方法などの環境を整える。
    – レイアウトデータの作成(DTPオペレーター)
    基本レイアウトデザインフォーマットに従って、各ページに要素をレイアウトする。
    – 校正(編集者・各要素作成者)
    校正紙を確認し、修正を的確に指示する。
    – 印刷出力用データの準備(DTPオペレーター)
    データの印刷適性を確認し、出力環境に沿ったデータ形式で準備する。
    – 色校正(編集者・各要素作成者)
    – 校了
    印刷仕様とともにデータを出力側に渡す。
    –面付け(出力オペレーター)
    印刷機にかける版のサイズに合わせて各ページを面付けする。頁物の面付けは、製本の綴じ方や折り方などの仕様によって変わる。
    – CTPまたは無版印刷へ(出力オペレーター)
    – 印刷(印刷機オペーレーター)
    – 折り(折加工機オペレーター)
    – 丁合・製本・断裁(製本機オペレーター)
    – その他

  • 端物の制作工程では、端物独自の特殊な折り加工(巻三つ折りや経本折り、観音折りなど)を必要とする場合があるので、最終加工を想定したレイアウトデザインをする。

5-2-2 制作工程管理

制作工程の計画

工程の計画・費用

  • 企画に沿った制作物を具現化するための工程を計画する。

  • 計画に際しては、実作業者が計画を継承して制作を進めるために必要な仕様設計や制作手法、作業工程、詳細設定などを制作工程表などとしてまとめる。

  • 制作工程表には一般に下記の項目が必要となる。
    – 制作コンセプト(企画意図)
    – 費用(各種費用および作業工数に基づく制作工程の数値化)
    – 制作環境(ハードウェア、ソフトウェア、環境設定、データの授受方法など)
    – 制作工程(全体のワークフローとスケジュール、各種役割分担など)
    – 制作物の仕様(造本設計や紙面設計、納品形態、必要に応じて各コンテンツの詳細指定など)
    – その他制作上の注意点(制作工程の標準化や効率化など)

工程の進行・管理

  • 制作工程の進行・管理にあたっては、指示書をわかりやすく、用語を正しく用いることにより、作業者がスムーズに業務にとりかかれることが望ましい。

  • 一連の作業管理のために、作業予定を時系列に記した進行表に基づき、各工程の制作を進行する。

  • 書籍制作においては、編集企画段階ではどのページに何が入るかを確認するためのページ割表を作成し、印刷段階ではページ順とノンブルの関係、折りと表裏の関係を明確にするために別途台割表を作成する。

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