実技試験の採点基準

DTPエキスパート認証試験は、学科試験と実技試験(課題制作)で構成されている。実技試験は、学科試験終了後に指定されるWebサイトより「素材」をダウンロードし、指定期間内(2016年3月試験時点で約4週間)のあいだに「制作指示書」と「作品(印刷用データ)」を作成し、指定のWebサーバーにアップロードする。

課題制作は、「素材」と同時に配布される「制作の手引き」に従い、制作を行う。

実技試験の主旨

「制作指示書」と「作品(印刷用データ)」の作成は、アプリケーションの操作能力やデザインだけでなく、DTPに関する業務で指導や管理を行うために必要な能力が問われる。

但し作品(印刷用データ)は、特に優れたデザインセンスを求めているわけではない。

DTPに関する業務で指導や管理を行うために必要な能力

①デザイン(設計と指定)、製版や印刷への配慮
紙面設計と紙面の全要素について、製版や印刷工程の特性を考慮し、的確かつ詳細な設定や指定に関する指示を行う能力。

②DTPシステムの理解
DTPに必要なシステムとして、ハードウェアやソフトウェアの環境設定を理解し、効率的かつ合理的な指示を行う能力。

③ワークフローと段取り
複数の作業者や工程間、業務が滞りなく進む段取りと、明確な指示を行う能力。

実技試験では、上記の能力を踏まえ、提出物を採点し合否を判定する。DTPに関連する業務に対し、統合的でシステム的な作業を前提としているため、コンピューターを使用したワークフローが前提となる。

「制作指示書」の条件

実技試験の「作品(印刷用データ)」は、旅行パンフレットやマニュアルなど、実際の業務で作成するものであり、具像化しやすいものである。しかしながら「制作指示書」については、必ず実務で用いられるものでないため、具像化しにくい傾向がある。

「制作指示書」は、作成者が指示を与える立場として「制作方法を第三者が継承するために必要な各種設定や手法、工程、注意事項などを記したもの」のことであり、単に作業手順を記した書類とは異なる。「制作指示書」の目的は、作業者に関わらず一定レベルの品質を保つことが可能であり、効率的な制作業務を遂行できる作業計画や段取りなどの設計に基づく制作工程や詳細設定を正確に伝達することである。

したがって「制作指示書」は、提出する作品(印刷用データ)のみの指示以外の記載が必要となる。B課題の場合、「制作の手引き」で示される複数の都市に対する制作を想定した指示の記載が求められる。

「制作指示書」の記載する内容について「制作の手引き」では、「目次」を表紙に記載し、下記の項目にて「制作指示書」の内容を構成するよう示されている。

実技試験の採点基準は、「目次」で記載する項目が、「制作指示書」に求めている内容の一例である。項目を踏まえ、内容詳細を記載することで、全体構成として問題のない「制作指示書」が作成できる。

【目次】

  • 制作上の留意点
    制作意図、標準化と効率化への配慮、原稿量の増減に対応するレイアウトの維持など。
  • 受注内容
    受注先、制作物、仕様、納品形態など。
  • 制作環境
    ハードウェア、ソフトウェア、環境設定、ファイルの授受に関することなど。
  • 制作手順
    スケジュール、全体のワークフローと画像処理に関するワークフロー、分業体制など。
  • 標準化と効率化
    再利用可能なテンプレート(フォーマット)に関すること。
  • 紙面設計
    シリーズ物として、レイアウトを継承しテキストの増減に対応した設計(統一事項、自由裁量など)。
  • 紙面構成要素(パーツ:素材、部品)の詳細指定
    第三者が他の都市を作成するために必要な紙面構成要素(パーツ)の指定。
  • その他
    画像処理のワークフローでは、倍率変更や解像度変更、プロファイル管理、USM等の指示が求められる。紙面設計では設計図により、シリーズを通して具体的に紙面構成要素(パーツ)を配置するための再現性が必要になる。

採点基準の項目

「制作指示書」
①設計:制作上の留意点、制作環境、制作手順、紙面設計、標準化と効率化など。
②要素:受注内容、紙面構成要素(パーツ)の詳細指定など。
③表現:制作指示書の構成、可読性や正確性、指定用語の使用法など。

「作品(印刷用データ)」
①レイアウト:配置、バランス、製版や印刷への適性など。
②文字/組版:書体(サイズや種類)、組版、表組、文字校正、文書構造の表現など。
③画像/色:写真や図版の処理、彩色、配色など。

上記項目が採点の基準項目である。この項目に対し第三者が理解できる「表現」による記載が求められており、「制作指示書」と「作品(印刷用データ)」の整合性や、提出条件に合致していることが、基準を満たす前提となる。

実際に、複数の採点官により、これらの項目を基に採点が行われている。

その他の留意点

  • 他の受験者(過去の受験者も含む)による提出物の複製であると判断された場合、複製した受験者だけでなく、基となる提出物の作成者も無条件で失格となる。また、文字組や画像など、紙面構成要素(パーツ)を流用し殆ど処理を加えていない場合や、基本となるレイアウトの流用とみなされる場合についても不正な複製と判断する。
  • 過去に受験した際に、提出したものと同じ制作物を提出することはできない。「制作指示書」や「作品(印刷用データ)」が、過去データの一部を使用している場合も失格になる。実技試験では、該当期のダウンロードデータである「制作の手引き」と「素材」を使用しなければならない。これらを使用していない場合は、条件違反で失格となる。
  • 「制作指示書」と「作品(印刷用データ)」の整合性がない場合は、減点の対象となる。
  • 完成した「作品(印刷用データ)」のキャプチャー(画面コピーや作品そのもの)を設計図やレイアウト指定に使用してはならない。ワークフロー上の設計及び指定の順序と異なるため、設計が行われていないと見なされ失格となる。
  • デザインセンスを判定する試験ではないが、課題印刷物に求められる役割を果たすことに支障のあるデザインは、不適切なデザインとみなされ減点の対象となる場合がある。
  • 実技試験の採点は、学科試験の結果と関係なく行われる。実技試験が不合格の場合、学科試験の結果にかかわらず不合格となる。
  • 「制作指示書」「作品(印刷用データ)」提出の際は、制作の手引きに各々指定されている形式に適合していない場合、減点の対象となる。

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