New NormalとAfter-Coronaを考える

掲載日:2020年8月12日

新型コロナウイルス感染症の拡大により、我々の日常、社会は大きく変化した。経済も大きな打撃を受け、まさにコロナ不況で多くの企業が苦しんでいる。世の中、当面の間は非接触が新標準になりつつありリスク低減のため、なるべく手を触れないシステムに移行していくだろう。非接触という新しい生活様式(New Normal、新常態)を取り入れたサービス、ビジネスが注目されている。

After-Coronaに残るもの

従来、サービスの大半は、提供者と利用者が対面する、人と人のつながりによって成立していた。しかし、しばらくは、あらゆる分野で非接触サービスが求められる。もしかすると常態化するかもしれない。こうした変化に柔軟に対応できるよう現サービスを見直し、お客さまに働きかけていくことも重要だ。この新しい生活様式のうち、コロナ克服までの一時的な生活様式(With-Corona)なのか、それともコロナ後も定着する生活様式(After-Corona)なのか見極めもたいせつだ。
新しい生活様式は、従来の様式とは大きく異なるため戸惑うことばかりだ。できればコロナ後は、やりたくないものが多い。しかし、コロナ後も残るかどうかは、それが合理的なのか、効率的なのか、ということで決まる。合理的ではない、効率的ではないものは消え去る。とくに非効率なものは、次第に淘汰され、必要なものだけがAfter-Coronaに残る。

企業人にとって具体的な取り組みは、在宅勤務(テレワーク)など、時間・空間節約型の勤務体系だ。今まで、出社する必要がなくても一堂に集まる必要があった。もちろん、在宅勤務は家庭内の環境(Wi-fi含む)など課題もある。が、通勤時間とストレス、会議時間の短縮などを考えると生産性向上にも大きく貢献するので、社員にも企業にもメリットが大きい。
製造工程においてもデジタル化をすすめ、効率化、省人化をするべきだろう。そこでは、 一人がいろいろな業種(業態)を扱い、処理できるようにすることが重要だ。それにより一人当たりの生産性向上が実現できる。デジタル化やAI、ロボットのサポートにより、製造現場で働く人員5人のところ2人にするなど考える必要がある。

対面営業、サービスの変化

対人間のコミュニケーション方法も変化する。たとえば、生命保険会社は営業職員(生保レディ、20万人超)の(企業飛び込み)販売を主力にしてきた。が、コロナの影響により対面営業自粛を余儀なくされた。お客さまへの義理、人情、プレゼント(GNP)を強みにしていたので、オンライン対応にも工夫が必要になっている。
オンライン名刺交換も活用されていくだろう。日本では年間30億枚の名刺が交換される。こうした日本の名刺文化が転機を迎えている。欧米では、SNSを活用する流れもある。
また、印鑑のためだけのオフィス往来も課題の一つだ。せっかくテレワークで、効率化を実現できても押印のため出社になっては合理的ではない。脱ハンコのために電子署名サービスや電子契約なども拡大しそうである。アドビの調査では、テレワーク時に紙書類の確認や押印のため6割以上がやむなく出社した経験があるという。政府も改革作業を早めているので、電子決済による迅速承認によってビジネスのスピードアップも期待される。

物流業界でも、置き配という非接触サービスが一般的になった。コロナ禍の影響により利用が拡大した。あの日本郵便でも、置き配サービスを実現し始めている。なお、新たな置き配サービスとして、置き配バッグとスマホアプリを使った物流システムは、二重鍵構造で保険も提供されているのでサービス拡大が見込まれる。また、葬儀業界では、SNSやメールでお悔やみページが共有できるオンライン参列も始まっている。
世の中は、より一層の変化を続けている。イノベーションの原点は、既存のもの同士の新しい組合せで生まれる。どうしても、目の前にあるものを組合せる傾向にあるが、まったくの想定外にあるものが重要らしい。

(西部支社長 大沢 昭博)

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