印刷周辺ビジネスとデジタル化対応

掲載日:2016年9月9日

近年、印刷とデジタルメディア、デジタルコンテンツを連携したビジネスの需要が大きくなってきた。そのためのデジタルメディア知識の習得が課題となっている。

出版ビジネスとデジタル化対応

出版業界でも書籍だけでなく、電子出版への取り組みを始めている企業が増えている。ある出版社は、デジタルメディア出版を新しい収益源として位置づけ、紙依存からの移行を図っている。しかし、社員の中にデジタル雑誌の得意な編集者と、紙の雑誌だけしか担当できない編集者という壁が出来てしまった。長年、雑誌の編集に携わってきた社員にとって、デジタル雑誌への転換は容易ではないという現実があった。

その出版社では、デジタルメディアに関する「全社員の知識の底上げ、格差の解消」のために、社内教育をおこなうこととした。Webサーバーにテキストを掲載し、理解度をチェックするためのミニテストも実施した。教材として、デジタルメディアの最新事情を反映したコンテンツをJAGATが制作し、提供した。結果的に全社員のデジタルメディア知識のレベルアップを実現し、大いに成果をあげているという。

JAGATは、この教材コンテンツを一般読者向けに再編集し、2016年2月に「デジタルハンドブック」として発売している。

印刷周辺ビジネスとデジタル化対応

印刷ビジネスでも、同様の状況が起きている。

昨今では印刷物だけでなく、webやスマートホンで情報発信したい、動画やデジタルサイネージを使いたい、という相談を受けるケースが大幅に増えている。

かつては顧客の注文通りに印刷物を製作し、納品することが印刷会社の使命であった。現在では、キャンペーンを成功させるために、あるいは集客を増やすためにどんなコンテンツを用意し、どんな手段で情報発信すればよいか、という相談に応えることが印刷会社の使命へと変わりつつある。

仮に営業担当がデジタル関連知識に疎ければ、顧客の本当の要望や困りごとが何なのか理解できず、ビジネスチャンスを逃す可能性さえある。
言われたとおりにweb用のコンテンツや動画を制作するという手法では、顧客の本当の要望に応えることにはならない。顧客の本当の要望を理解し、最適な方法を企画提案することが求められている。

印刷会社にとって、他社と差別化をおこない、競合に勝つには、デジタル武装が必須となりつつある。

これからの印刷周辺ビジネス

一部の印刷会社では、改めて社員全般のデジタルメディア関連知識のレベルアップに取り組み、印刷周辺のビジネス拡大を目指すところも現れている。
「デジタルメディア恐怖症の社員を一人でも減らしたい」ということである。

多くの社員が共通のデジタル関連知識を持つことで、社内コミュニケーションも円滑におこなうことができる。顧客の何気ない一言から本当の要望を理解し、新たなビジネス獲得に繋がることもあるだろう。
印刷会社にとって、デジタルメディア関連知識の習得や知識武装は今後の強みとなる。

(CS部教育サポートチーム 原 淳子)

 

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