インターネット広告の成長に潜む懸念材料とは 

掲載日:2017年12月14日

JAGAT大会2017では特別講演として中央大学ビジネススクール 大学院教授 田中洋氏を招き、「成長するためのマーケティング戦略―勝てるブランディングとは」を行った。デジタルとアナログというトラディショナルメディアが融合する時代におけるブランドの作り方について講演いただいた。講演ではブランド戦略を紹介する前に、現在のデジタルメディアとテレビ等トラディショナルメディアの状況について触れた後、豊富な事例を上げながらブランドの作り方について紹介した。

インターネット広告費が伸びているが、インターネット広告がそのまま順調に伸びていくかについては若干疑問が出ている。テレビなどの広告出稿からデジタルシフトを行った世界的に展開する大手企業でデジタル広告費の削減という現象が起きている。その理由は、デジタル広告の不透明さによるもので、アドフラウド(広告詐欺)が問題視されているからである。広告主が広告に対する出費が本当に正確に使われているかに疑いを抱き、デジタル広告費の削減に至っている。

アドフラウドは深刻な問題になっており、有名企業の偽のウェブサイトや、テロリズムやポルノサイトなど、広告主が喜ばないようなサイトに広告が多く掲載されている。あるいは、広告が掲載されたとしても非常に小さかったり、広告が全く読めないような状態で消費者の目に触れないような形で掲載されたりしている。

アメリカのピクサレートが発表したデータによると、アドフラウドの被害は日本が突出して大きい。デスクトップPCのプログラマティック広告の全インプレッションの81%がアドフラウドだと指摘している。しかし、トラディショナルなメディアのほうがすべてよいということではない。テレビは20代、30代の特に若い男性の視聴が少なくなって、若い人に届かせたいブランド広告ではデジタルも使わなければならない。

現在、デジタルが一見すると一本調子で伸びているようだが、その一方ではデジタルとトラディショナルメディアとの間のせめぎ合いも行っているという状況である。

ブランド戦略ついては、その構造はコミュニケーション、マーケティング、経営の側面があり、この3つの施策が融合して、統合できていないとブランドはできないとしている。
強いブランドを作るためには主に、
1.構想
2.イノベーション
3.浸透
の3つのポイントがあるとして、ディズニーやスターバックス、無印良品やダイソン、エスエス製薬ドリエルなど実際の事例を紹介しながら解説を行った。

この講演内容については『JAGAT info』12月号で紹介しているので、ぜひご一読ください。

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