印刷業定点調査 各地の声(2018年8月度)

掲載日:2018年12月24日

8月の売上高は+1.6%。3カ月連続プラスは2015年9-11月以来のこと。今回調査のさまざまな指標に増加傾向が見られる。

地域別では、首都圏(+2.5%)は2カ月ぶりのプラス。首都圏は苦戦傾向にあったが増加に転じる月が出てきた。名古屋圏(△1.4%)は2カ月ぶりのマイナス。2017年12月以降は減速傾向にあり、全国で最も安定的な印刷需要がある地域という位置付けからは後退している。大阪圏(+5.5%)は3カ月連続のプラスと好調。2017年の春以降はインバウンド需要などの経済波及の恩恵で過去数年にない売上高の高さが続く。

業種・業態別では、商業印刷(△1.5%)が3カ月ぶりのマイナス、折込チラシ構造不況の影響は大きいが、チラシ以外は増えているとの声が聞かれる。種々の公的統計を見てもチラシの減少幅ほど商業印刷は落ちていないことも、チラシ以外の増加を示唆している。
東京に多い出版印刷(+7.3%)は2カ月連続のプラス。2017年10月以降はほぼプラス圏で堅調に推移しているが、出版印刷の割合の高い印刷会社が減ったことも考慮する必要がある。地方に多い総合印刷(+1.8%)は3カ月ぶりのプラス。印刷需要の回復基調が地方にも波及し始めている。紙器・事務・その他(+3.8%)は3カ月ぶりのプラス。商業印刷以外の各印刷物に復調の気配が見られる。

規模別では300人以上(△0.5%)が5カ月ぶりのマイナスに転じた。逆に100~299人(+1.0%)は7カ月ぶり、50~99人(+2.4%)は2カ月ぶり、30~49人(+0.8%)は4カ月ぶり、30人未満(+0.4%)が2カ月ぶりのプラスとそろって好調。

【印刷会社経営者の声】

長野:総合

人が採れ、人が辞めない経営を考える。働きやすい環境を整備すること、社員の貢献や意欲を評価して会社の底力を上げてゆくこと、会社と社員双方の成長と幸せを本気で目指している会社は人が集まり活気があります。人事戦略プランを実行しましょう。

岐阜:総合

営業担当者全員で地元のご当地検定を受検した。事前勉強したことで、地元産業に関する理解が深まった。今後の営業活動にきっと生きると思う。

大阪:商業

得意先の発注日程やロットが変化し、細分化されてきた。例年のように秋口に集中することもなくなって、通年、平準化する模様。これを機に内製化が進められるかも。

和歌山:商業

台風21号による被害で、約3日にわたり停電した。当然印刷機械も稼働できなくなったが、協力会社・地元同業者にお世話になり、なんとかお客様に迷惑をかけることがなくて済んだ。この場を借りてお礼を申し上げたい。

岡山:商業

西日本豪雨被害の間接被害を受けました。顧客が減少することとなり、自然災害のリスクをひしひしと痛感します。BCP取り組まなくてはなりませんね。

(『JAGAT info』 2018年10月号,印刷経営ウォッチング,p60-61より抜粋して要約)