お客様のニーズに常に目を向けて

掲載日:2014年8月21日

※本記事の内容は掲載当時のものです。

事業紹介インタビュー:お客様のニーズに常に目を向けて 

 

リョービ株式会社 取締役 執行役員 グラフィックシステム本部長 石井浩司氏に聞く

 

リョービは、ダイカストで培った精密加工技術、生産技術をベースに、エレクトロニクスやデジタル技術を融合させることで、印刷機の高速化・自動化・省力化を実現してきた。取締役 執行役員 グラフィックシステム本部長の石井浩司氏に今後の展望を伺った。

 

―まず、貴社の特色について伺いたい。

石井  リョービは印刷機の製造、開発、営業・販売までに関わっている社員が現在900名超おり、すべての社員が常に’お客様が今何を求めているのか、何に困っているのか’について目を向けることを心掛けている。これは日本だけではなく、現在170カ国以上に展開している64の代理店すべてで同じ考えを共有しており、集積された情報をベースにより良い製品の開発、製造、各種サービスが提供できる体制を整えている。つまり「プロダクトアウト」ではなく「マーケットイン」という考え方を持って事業を展開しているということである。

―印刷機メーカーとしてリョービのアドバンテージをもう少しお聞きしたい。

石井  お客様に対するサポート体制が充実していることである。アフターサービスを含めたサポートは、現在日本、ヨーロッパ、アメリカにテクニカルサポートセンターという拠点を設け、リョービ独自のきめ細かいアフターサービスを実現している。お客様からもその点への高い評価を頂いている。さらに、リョービがこれから新しく取り組もうとしてこの1年ほどモニターしてきた、「リモートメンテナンスサービス」についても、中型印刷機を中心に10月から展開していく予定である。これにより、現場での問題についてスピーディで効率の良い解決が実現できると考えている。

―マーケットインということであったが、情報源となるのは?

石井  国内の営業担当者から入ってくる情報が一番大きいが、そのほかにも海外担当者が海外のお客様を訪問して得てくる情報も、リョービにとっては製品開発の大きなヒントになることが多い。国内だけの情報ではやはり視野が狭くなりがちなので、広い視野で物事を考える際は海外の情報が果たす役割は非常に大きい。そういった意味で、グローバル展開しているリョービは大きなアドバンテージを持っていると考えている。

―海外展開も広く行っているが、日本と海外でニーズに違いは? また今後の展開についてお聞きしたい。

石井  技術的な面については意外と違いはないようだ。日本の印刷技術は世界でもナンバーワンだと思うので、日本でのニーズに対応できる製品は海外でも十分対応できると考えている。
リョービの現在の国内・海外の出荷割合は3対7だが今後は海外、特に新興国への展開にも注力している。これは景気の後退が日本だけではなく海外の主要国も同様の影響を受けているためである。具体的にはBRICsを中心に、中南米、東欧、東南アジアなどへの展開は重要であると考えている。 日本で培った高い性能を持った製品を海外に広めながら、日本の印刷技術の高さも伝えられればと考えている。

―海外展開において日本以外にも生産拠点は?

石井  将来は分からないが、現在のところ日本以外考えていない。リョービの製品品質を維持するには日本で生産するのがベストと考えている。1モデルに対して1000を超えるバリエーションがあることもあるリョービの印刷機を、海外で生産しようとすると効率がとても悪くなる。それを効率良く行っていくには、機能性の高い生産体制の下でマイスター制度などを導入している日本で、非常に高度な技能者を確保しながら製造していくことがベストだと考えている。

―人材育成について伺いたい。

石井  リョービでは、全社を通じて人材育成に相当な力を入れて実行している。マイスター制度を始め、管理職コースや専門職のエキスパートコースなどを導入しているが、これらは個人の技術スキルアップだけではなく、仕事へのやりがい、働きがいといったモチベーションアップにも役立っている。これらの制度の下で、社員が日々印刷機の開発、製造に従事しているので、お客様に安心して使っていただける、高品質で信頼性の高い製品投入が可能となっている。

―環境対応について、リョービの取り組みは。

石井  あらゆる場面でのリサイクルなども当然実行しているが、例えば機械の検収を効率良く実行して時間を短縮したり、部品加工においては、刃物を変えるなどして部品加工時間の短縮をしたりということで、CO2の削減に取り組んでいる。
それから、この「広島東工場の第2工場」の大きな特長である環境に対応した空調設備でもCO2削減へ貢献している。第2工場は、「限りなき挑戦で、世界のお客様と共に成長する」をコンセプトに2007年9月より本格稼働し、延べ床面積が1万9300m2、1階が組み立て・検収、3階が部品組み立てと組み立て用部品倉庫を備えている。2階は、組み立て・検収を上から眺められる見学通路になっている。地下に空気を通すクールチューブを設けて、自然のエネルギーを活用した省エネ技術を採用しており、温度、湿度を常に一定に保てる品質管理に優れた工場である。

―フォントについてお聞きしたい。

石井  今後は携帯電話の文字や産業用、例えば駅の発着案内表示などへのニーズに対応する機会が増えていくだろう。産業用となると、デザイン性に加え信頼性を求めて実績のあるフォント開発メーカーへのニーズが増えてくるだろうが、リョービはそのニーズにこたえることができる。また高品質な文字を要求しているデザイナーにもリョービのフォントは広く採用されている。今後も印刷機同様、さまざまなニーズにこたえていきたい。

―ユーザー会(リョービ68/75会)についてお聞きしたい。

石井  ユーザー同士で情報交換を行いたいという強いニーズがあって、リョービ68/75会は5年前に設立総会を実施し、中型印刷機のお客様を対象としたユーザー会として設立した。ユーザーの方たちに、事業のお役に立つさまざまな情報をリョービよりいち早くご提供していきたいというのがユーザー会の大きな目的である。また、ユーザーとリョービがお互いの思いや考えを出し合い、両者の関係をより強固にしていく大きなネットワークとして捉えている。

総会は年に1回実施しているが、最近は地域ごとにそれぞれの特色に合った地域情報交換会なども開催している。より細かい技術についての勉強会実施などユーザーの関心も高いようだ。

―最後にメッセージをお願いしたい。

石井  リョービはよく、「小型印刷機のリョービ」と言われる。そういう感覚を根強く持っている人が今でも多いが、現在出荷している印刷機の半分以上は「中型印刷機」である。これまでも各県の印刷工業組合の方々がこの広島東工場を見学されたが、見て驚かれる方が非常に多い。小型印刷機で培ってきたノウハウは大事に生かしつつ、リョービのイメージを変えていくことに今後もっと力を入れていきたいと考えている。drupa2008に参考出品した、’枚葉オフセット印刷機用LED-UV印刷システム’搭載の「RYOBI 525GX」の開発や大型印刷機「RYOBI 1050」への参入などは、そういった考えの表れである。

広島東工場の見学についてはご要望があればいつでもOKなので、経営者だけではなく工場長や社員の方など、いろいろな人たちにぜひリョービの今を体感していただきたい。

リョービ株式会社
グラフィックシステム本部管理部
〒726-0002 広島県府中市鵜飼町800-2
TEL 0847-40-1600 FAX 0847-40-1601

 

(2008年11月)

(印刷情報サイトPrint-betterより転載)