2.書体の変遷(3)

掲載日:2014年9月15日

※本記事の内容は掲載当時のものです。

書体の起源:2.書体の変遷(3)

 

(3)隷書の時代(漢)

漢代になり隷書が正書体となる。篆書は曲線と整斉な形で構成し実用では不便な書体であった。秦代にも篆書とは別様式で,簡易な略書体として隷書が出現し通用している。直線的で速記に適して工夫されたのが隷書であり,楷書に近い字体である。金石碑文に使用され後世に残されている隷書の代表書体はこの時代のものが多い。

*隷書とは隷書には古隷と八分に分類されている。隷書の特徴は横画と左右の払いにリズムをつけ,波打つように筆を動かせてはねだす。波磔と呼ぶが一種の美的表現である。横画に基調があり,横に広い扁平で安定感のある字形である。

◎隷書には古隷―初期のもので波磔が無く,篆味がある。 八分―波磔があり,「八」の左右に広がる意から通称,八分と呼んでいる。印刷書体の明朝体などは,隷書体の字体が影響している要素が多いように考える。

*章草とは漢隷の八分は波磔を含むので速書には不適なのだろう。隷書の字体を省略した行草字体であり,いまの草書体の基になる。隷書から草書への過渡期の書体である。

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 (印刷情報サイトPrint-betterより転載)