業績良好な印刷会社経営者の思考とは?

掲載日:2015年9月17日

まもなく、『JAGAT印刷産業経営動向調査2015』が発売されるが、その中から『JAGAT info』9月号では、印刷会社の経営戦略最新動向についての概要を紹介している。本調査では選択式アンケートから業績良好企業の経営戦略や思考特性の特徴にアプローチしている。

例えば事業領域で見ると、現状は脱印刷(印刷業からの業種転換を目指す)との回答を選択した会社の業績が最も良いが、将来的に重視したい事業領域となると、専門化(印刷を軸に顧客の業種や生産品目を絞り込む)を志向する会社が最も業績が良かった。最も妥当と考える経営スタンスではソリューションプロバイダー、つまり顧客の課題を解決するビジネスに取り組もうとする会社の業績が良かった。このほか、自社の市場ポジションをどう位置付けているか、最も重視する売上対策ならどのような施策をとる会社か、あるいは系家者がどのような分野を得意とする会社が良かったかなど、さまざま設問から印刷会社の経営者がどのような意識や考え方、戦略を持っているところが好結果につながっているのかを探っている。

 特別企画としては、JAGAT「2015年度新入社員意識調査」より、その集計結果の報告を紹介する。2015年度の新入社員はどのような目的で仕事に臨み、どのようなスキルを伸ばしたいと考えているのか、アピールできることは何か。調査結果からは印刷業に対するイメージが変わりつつあり、営業希望者が増加傾向にあることなどから単なる製造業として見ているのではなく、印刷業が担う役割がより幅広くなっていることを感じていることが分かる。今後の人材育成や指導、採用活動の参考になると思われるのでご一読いただきたい。

 このほかデジタル印刷最前線では、パッケージ印刷に活用し、多品種小ロットをビジネス化している会社の事例を紹介している。グラビアでの大量生産から市場ニーズに応えるためにデジタル印刷機を活用して、すでに4割の仕事をこなすまでになっている。そこでは単なるパッケージ製造から商品の再発見、売るためのパッケージ提案へ進化する営業戦略があり、それを実現するためにデジタル印刷機が強力な武器、生産設備になっている。

 経営者インタビューは仙台市の笹氣出版印刷の笹氣義幸社長にご登場いただいた。印刷会社として使ってきたノウハウや信用を生かしつつも、Webファーストのビジネス展開へ転換を図ろうとする同社の取り組みをうかがった。

(JAGAT info編集担当 小野寺仁志)

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