アナログ博物館:ページ物印刷物企画 [原稿チェック] 2. 文字原稿のチェック

掲載日:2014年9月18日

※本記事の内容は掲載当時のものです。

アナログ博物館:ページ物印刷物企画 [原稿チェック]

 

2. 文字原稿のチェック

昔は,文字原稿は直筆による手書き原稿と決っていましたが,印刷物やプリントの切り貼り原稿もあります。またすでに電子化された原稿にも,フォーマット,文字コードなどいろいろなものがあります。

1. 手書き原稿

手書き原稿は,作家であれ,記者であれ,編集者であれ,広告・広報マンであれ,人それぞれいろいろなかきグセがあり,昔から編集担当者や活字の文選工,写植のオペレーターは原稿を読むこともひとつの熟練が必要でした。入力,DTPオペレーターの読解能力に甘えて,原稿状態をチェックしないで制作現場にわたすのは混乱のもとです。いくら優秀なオペレーターでも,一般的なルールを逸脱した原稿ではトラブルのもとになり,結果的にはムダな労力を費やすことになりかねません。

(1)手書き原稿は必ず原稿用紙に書くこと

原稿用紙は一般的には400字詰が標準となっています。実際の字詰めにあわせた100字,200字,250字,300字または端数でもかまいません。ただし,1枚の原稿用紙に入る文字量が多くなると文字のマス目が小さくなり読みづらくなります。400字詰が限度となるのはこうした理由に加えて行と行の間をできるだけ余白を多く取ることで,書き込みができるようにするためです。

原稿用紙がなければ方眼紙で代替品とする場合もあります。

(2)原稿用紙にノンブル(連番)をつける

冒頭で原稿の重要さにふれましたが、原稿管理は厳重に行なわなければなりません。何でもないようなことですが原稿枚数の確認・チェックは非常に大切なことです。1枚でも欠けることのないようにする最低限のチェックが原稿の連番づけです。
また原稿の最後のページには,朱書きで「トメ」の印をつけ,このページで原稿は終わりですという相互の確認をします。この印は,お互いが確認をするようにしてください。このルールを徹底することで,最後のページに印がないときや連番が不連続のときは,脱落があることを即座に発見できます。

(3)基本は指定字詰で書く

原稿用紙には必ず5字(または10字)ごとに数字や太いケイで印をつけます。とくに雑誌用原稿では複雑なレイアウトが多いですから,1行の字数がすぐわかるようになっていると便利です。

書籍などのように,1点ごとに基本体裁が事前に決まっているものは,できるだけ仕上りの字詰で原稿を書いてもらうようにしましょう。全体のページ数や決められたページ数分に対する多少が容易にわかることから,作業前に原稿量の調節が可能となりムダな校正を減らせる場合もあります。

ページ数が多い書籍や定期刊行物に対しては,専用の原稿用紙を印刷しておく場合が多くあります。専用の原稿用紙ですと,編集やオペレーターの作業能率が向上するだけでなく,一目で他の仕事との区別がつくため大変便利です。

2. 電子化された原稿

ワープロ・パソコンのFD(フロッピィディスク)や電子メールで文字原稿が入稿されるケースの方が多くなっています。

磁気ディスクはたいへんデリケートで磁力を極度に嫌います。また,FDはプラスチック円盤の盤面に磁性膜を塗布した薄ドーナツ盤レコードのようなものですから衝撃には弱いものです。よくマニュアルなどに取扱注意が書かれていますが、それらに沿った扱いをし、持ち運びは必ずケースに入れましょう。

磁気媒体は紙ほどの信頼性はありません。万一のことを考え,原稿のバックアップ・コピーを取る習慣を持ちましょう。

磁気媒体は手書き原稿のように外観から中身を判読することはできません。原稿の内容に間違いが起きないよう,必ずラベルに用途,名称,ファイル名,作成日時,作成者などが記入されているかどうかを確認しましょう。

FDは一般にはMS-DOSのテキストファイルが主ですが、特定機種・特定ソフトでしか読み書きできない場合は,コンバートをしないとDTP作業に使えないので,どのようなシステムで入力したのかを確認しておかなければなりません。

 電子メールなどオンラインでの電子原稿の授受は、リアルタイムで受け渡しができるというメリットの他に、FDなどのようにフォーマットの互換性を気にする必要がないので、利用されることが多くなっています。

 電子メールは途中いくつも中継されて最終的な宛先に届きます。電子メールで日本語のテキストを扱うときは,メールソフトが8ビットのシフトJISコードを、7ビットのJISコードに変換して送り出します。この変換に問題があったり,伝送途中でJISコードに必要な制御情報が抜け落ちたりすると,受け取ったメールが欧文と記号の混在した文字に化けて読めない場合があります。

 また,電子メールの添付ファイルとして文字原稿を送る場合も、データをいったん変換して送信し,受信側でそれを復元するのですが、その変換方法にはいろいろな形式があり、やはり伝送途中のエラーやメールソフトの誤認識によって文字化けが起こる可能性があります。
このほか、インターネットのファイル転送プロトコルFTPを使って、サーバ経由で電子化原稿を授受する場合があります。FTPサーバへアクセスしてファイルの授受する操作はコマンド形式もありますが、今はブラウザなど画面で操作できるFTPツールを使うのが一般的です。電子メールは企業によっては容量制限をしている場合がありますが、FTPでは大容量でも問題はありません。

 いずれにせよ電子化原稿の中に、JISで定義されていない機種依存文字があると,異なる環境で再現できない場合があることには注意をしなければなりません。

 

(印刷情報サイトPrint-betterより転載)