ページ物印刷物企画 [原稿チェック] 4. 文字原稿の内容チェック

掲載日:2014年9月18日

※本記事の内容は掲載当時のものです。

アナログ博物館:ページ物印刷物企画 [原稿チェック]

 

4. 文字原稿の内容チェック

 

[組版指定]

組版とは文字を並べる時のテクニックであり,それは一定の規則に基いて行われます。だいたいどのDTPソフトも似たような組版指定のメニューがあります。何も指定しないとワープロと同じような単調な紙面にしかならず,文字ブロックにどのような雰囲気をもたせるかを 設計しなければ読みやすい本にはなりません。

文字をどのようなスタイルで組んでいくかの組版指定がないとDTP作業は始まりません。基本的な組方はすでに決定していても,さらに見出しの大きさ,挿入の仕方,字割・字下げなどを細かく決める必要があります。組版指定の主な項目は次のようになります。

[本文の指定項目]

本文部分は基本組とも呼び最低限次のような項目を指定します。

(1)タテ組・ヨコ組

本の企画内容に合った選択をしますが,新聞雑誌など一般の目に触れるものは圧倒的にタテ組が主流です。ヨコ組は教科書やマニュアルでは主流ですが一般書では特殊組版ともいえます。編集・校正の分野でも,ヨコ組はタテ組より難度・料金とも高いとされています。 一般的にタテ組の本を右開き本,ヨコ組を左開き本といい,面付・折りがまったく違ってきます。

(2)文字の大きさ・書体

文字の大きさの基準は,用いる文字組版装置により以下のような違いがありました。
・活字=号数とポイント制
・手動写植=級数制
・電算写植=級数とポイント制
・ワープロ・電子組版機=ポイント制(級数対応もある)

DTPは基本的にはポイント制ですが,メニュー・ダイアログで級数指定できるものもあります。
コンピュータでは単位の換算は容易ですが,慣例的な級数とポイントの換算表はあくまで近似値であることから,例えば字詰が長くなると行長にズレが生じることがあります。そのため寸法を確認するには実際に文字を流して検討して下さい。とりわけ組版とレイアウト指定を級数指定でしたものを,あとでポイント換算して,近似値として作業を進めるようなことはやめましょう。また同様に,レイアウト用紙が活版や写植,ワープロ組版用に作られたものであれば,流用するのは問題です。

書体についても,あらかじめ出力をする印刷会社側で保有している書体・フォントを知っておき,それ以外の書体と区別しておきましょう。

印刷会社側にフォントがなくても,文書に埋め込み(エンベット)をして印刷会社に渡せるフォントがありますので,新書体情報はデザイン以外に使い方をつかんでおくことが,大切です。自社が新書体を導入するときなどは,関連しているところにマメに情報提供をすることも忘れないで下さい。

(3)1行の文字数

日本の組版は,文字ブロックを「何字詰×何行」というとらえ方をしていましたが,DTPは任意のボックスに任意の文字サイズで指定するやり方ではじまり,今日は両方が混在した指定方法があります。
つまりDTPでは必ずしも1行の文字数を考慮しなくても作業できますが,読みやすさという点では字詰は最初に考えておかなければなりません。
字詰は多すぎても,少なすぎても文章が読みにくくなります。最大字数をタテ組では45~50字程度,ヨコでは35~40字までにすると良いといわれています。新聞などに使われる最小字詰は15~18字程度とされていますが,これらは本の大きさ,文字の大きさ,写真と文字の関係や人の好みの問題もあり,一応の目安ということで理解してください。

(4)行と行の間

行間といいますが,写植では文字の大きさに行間を足した行送りという言葉と指定方法がとられていました。行送りと行間の違いが混同されていないかをチェックしなければなりません。またDTPでは文字の大きさの何%の行間をとるかという指定もあります。

(5)字と字の間

日本の組版では基本的にはですが,行間・行送りと同じ考え方で,字間・字送りという指定もあります。字と字の間をあけないで組むベタ組とツメ組は,字と字が重ならない程度にツメて組むことで、パンフレット・カタログなどの販促用ツールの印刷物ではツメ組は常識となっているようですが,書籍・雑誌では本文をツメ組することは少ないようです。(リード文などはツメ組が多い)。

ツメ組の方法はさまざまあり,DTPソフト単体でできるものの他に,専用ソフトを使うものもあり,それぞれ結果が異なります。ツメ組の指定はテストをふまえた上で行なうのがよいでしょう。

(6)句読点

一般的にはタテ組はテンとマル,ヨコ組はコンマとピリオドという組み合せになるでしょう。しかし最近はヨコ組でコンマとマルという組み合せも多くみられます。

(7)1ページの行数と段落・段間

基本組・基本レイアウトが決まっているということは,行数・段数・段間 がすでに決まっているということですが,実際には,入稿する各ページごとにレイアウト指定紙が必要です。文字原稿と同時にレイアウト指定紙があるものについては,行数・段間・段数にしたがってページ・メイクアップをできますが,基本組は決まっているものの,レイアウトが未指定である場合には,基本組にしたがって棒組をし,初校と同時にレイアウト指定を完成してもらい,再校時にページ・マイクアップをする方法をとります。

(8)ブラ下げ

タテ組で句点や読点(「。」や「,」)が行末にきた場合,版面の下に飛び出して組むことをブラ下ゲ組といいます。活版時代の行末処理の方法が写植組版にも形式的に踏襲されているものですが,得意先によってはブラ下ゲ組を基本にしていることもあり,確認が必要です。ただし,1行の字詰の少ないものや段組は,ブラ下ゲにしないものです。横組でブラ下げをする場合もみうけますが,やはり段組や字詰の少ない場合は不細工な仕上りになります。

[その他]

本文中にはいろいろな約物・記号・数字・欧文が混在してきます。それぞれの種類や書体・大きさ(全角もの・二分もの)などが統一的に指定されているかどうか確認してください。

その他,図表類の指定,写真のキャプション(写真・イラストの説明文/Captions)の指定,ノンブル・柱の指定などについても統一がなされているか確認しましょう。図表類については図表の大きさと中に入る文字の書体・大きさとともにケイ線の太さの確認も必要です。

[禁則処置]

文字組で,約物や記号などが行の頭や行の終り(行頭・行末)にきたり,行末から行頭にまたがったりすると,読みやすさを損なったり誤解を生じたりします。また組体裁上も好ましくないものになります。このほか,約物や記号が連続して出現する時には字送りを調整する必要が生じます。
これら特定の文字を「禁則文字」といいますが,禁則文字が行頭・行末にこないよう,また行頭・行末にまたがらないように調整することを「禁則処置」といいます。
DTPでは禁則ルールをプログラム上で制御できますので,どのように自動的にさせるかを指定しなければなりません。

 

(印刷情報サイトPrint-betterより転載)