レコード人気再燃 から考える、五感に訴える力の重要性

掲載日:2015年11月17日

昨今、アナログレコードの人気が復活しているという。CDに音楽鑑賞の主役の座を奪われてから30年以上、今や音楽はそのCDではなくダウンロードしてスマホで聴く時代に、である。

 

2014年8月にオープンした「HMVレコードショップ渋谷」は、およそ500㎡の店舗内に、約8万点のレコードが並ぶ。また吉祥寺駅近くにある「クアトロラボ」は、5,000枚を超えるアナログレコードを中心とした音盤のコレクションを聴きながら、ゆったりと飲食を楽しめる。今年11月1日に、オープンから1周年を迎えたこの店をプロデュースしたのは、ファッションビル大手のパルコが展開するライブハウス「クラブクアトロ」だ。

 

人気再燃のきっかけは、2012年に発売されたビートルズの復刻レコード。これによりレコードの魅力が見直され、ジャズやロックの名盤の復刻版が相次いで発売された。それにプラスして、1万円前後で購入できる再生機器が発売されたことも大きい。上述のHMVでは、このプレーヤーと一緒にレコードを買い求める人も多く、手軽に聴けるようになったことで、レコードを聴いた事の無かった若者の利用も増えているという。こうした需要の増加により、今年に入ってからは福山雅治やAKB48などの人気アーティストが相次いで新作をレコードで発売し、レコードの生産枚数はすでに昨年を上回っている。

 

とはいえ、なぜ、今レコードなのか?レコードにあって、音楽配信サービスに無いものの一つがジャケットだ。絵画のようなデザインが気に入って、文字通り「ジャケ買い」でレコードを買っていた学生が、そのままレコードの温かみのある音色に魅了されるケースもあるという。

 

だからと言って、時代はレコードだ!と声高に訴えるのは時期尚早だし、ひいてはデジタルに置き換えられてきたアナログの逆襲が始まる、と言うわけではないだろう。実際レコードの生産枚数は、ここ数年、対前年比1.5倍で増加しているものの、全盛期だった1970年代の0.5%にも満たない。しかし作り手の思いを体現する美しいデザインのジャケットや、針を落としたり、A面とB面を入れ替えたりする「面倒臭さ」を経た上で音楽を聴くという部分は、デジタルの便利さの裏側に潜む無機質さと対極にある魅力ではないか。そしてこのようないわゆる五感に訴える魅力は、印刷物にも十分あてはまるのではないか。

 

JAGATとしても、これまで表面加工の重要性をテーマにした研究会を行ってきたが、今後、page2016のカンファレンス・セミナーでも、印刷物の五感に訴える力をPRしていきたいと思う所存である。

(CS部 堀 雄亮)

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