「伝える」と「伝わる」の大きな違い

掲載日:2016年6月8日

人間が複数存在する家庭や職場では、情報伝達が必要になる。ここで伝達ミスが発生すると家庭はもちろん企業では取り返しのつかない事態になることもある。とくに印刷物の多くは、オーダーメイド製品のため常に情報伝達の正確性には注意が必要だ。
たとえば、プレゼンテーション(以下、プレゼン)は、情報伝達手段の一つであり、相手に何らかの情報を提示して理解、納得してもらうための行動である。どんなに良い意見や提案でも相手に伝わらなければ意味がない。プレゼンというと大勢の前で話をするケースを思い描くが、1対1の対話においてもプレゼン要素は重要だ。
また、「営業が使うもの」というイメージが強いが、社内会議や稟議決裁、報告の場面でもプレゼンのノウハウは大いに活かすことができる。すなわち、プレゼン力が向上すると意思決定が早くなるので、仕事全体の効率も良くなる。

よくあるプレゼンの問題点

prezenたとえば、専門用語であることを忘れて使用してしまうことがある。業界や自社特有の用語でも、普段よく使っているのでついつい使用してしまう。また、漢字の音読み、3文字アルファベットなど相手に伝わらないケースも多い。
また、聞き手には理解する「間」も必要だが、話し手は黙っていることに臆病になり、ときに沈黙を言葉(「えー」、「あのー」など)で埋めてしまうことが多い。
さらに、伝えたいことが数多くあるため、できるだけ多くの資料と言葉で伝えようとする。しかし、情報が多すぎて結果的にはほとんど伝わらないケースも多い。

「伝える」と「伝わる」の違い

他人の話というのは、何かと「聞きたくない話」が多いものだ。基本的に、「話し手が言いたいこと」と「聞き手の聞きたいこと」は異なる。したがって、言いたいことを一方的に言うのでは伝わりづらいのである。ふと、振り向かせるような切り口と配慮(あるある!感)も必要だ。
どの程度聞いているかのバロメーターは、聞く姿勢とわかりやすさで決まる。それに加え、「共感」が重要であり、共感の果たす役割は大きい。

プレゼンの重要要素

プレゼンには、相手と環境要因が伴う。次に話し手、内容、伝える方法だ。誰が何を言うかで決定する。まずは、自分(話し手)を知ることが大切だ。他人のことはよく分かるが、自分自身が一番見えない。恥ずかしいかもしれないが、自分の見られ方を客観的に評価してもらうことも重要である。自分自身が見えればコントロールが可能になり理想に近づくのである。
あとは、プレゼンの構成である。伝えることをピラミッド型に整理しておくと、論理構成が理解でき、枝葉を省略できるため時間調整も容易になる。

プレゼン能力が求められる印刷業界

お客さまへのプレゼン等における準備完了とは、資料完成時のことではない。シミュレーションなどもしておかないと、資料の間違いや不整合などに気づかないのである。プレゼンの練習も計画に入れることが重要だ。
今後のビジネスには、ますますスピードが要求される。ITをはじめ生産レベルがどんなに向上しても、意思決定(肯定、否定どちらも)スピードが向上しないと、ビジネス全体のスピードは上がらない。まして、印刷業は社内外を問わずコミュニケーションが重要なので、なおさらプレゼン能力が求められる業界だ。

(西部支社長 大沢 昭博)

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