「多様な人材」の獲得や活用が、企業の生産性向上や人手不足解消の鍵になると言われて久しい。このような取り組みを行い、企業の価値創造につなげていくことを「ダイバーシティ経営」と呼ぶ。経済産業省では、「この『ダイバーシティ経営』に取り組む中堅・中小企業は、そうでない企業と比較して、人材の採用や定着、売上高・営業利益等の主な経営成果のすべての項目において、企業にとって効果的な結果が出ている」としている(参照リンクはこちら)。そして、その実現に向けては、(1)経営者の取り組み、(2)人事管理制度の整備、(3)現場管理職の取り組みの“三拍子”がポイントであると論じている。
他方、パーソル総合研究所が実施した「新卒就活の変化に関する定量調査」では、「『通年就活』化が進むとともに、企業にとっては採用者の『質』の課題が上昇している」という調査結果を踏まえ、「採用の“伝え方・選び方・育て方”を再設計する」ことを提言している(参照リンクはこちら)。具体的には、(i)情報発信・ブランド形成:企業の“裏面”的なリアリティを伝えられるか、(ii)採用・選考プロセスの考え方:採用プロセスを通じて内発的動機を引き出すように巻き込むことができるか、(iii)育成との接続:採用と現場がいかに連動して新人を育てられるかの3領域について、施策の再検討を促すものだ。
採用や育成といった人事・労務関連の分野は、少子高齢化が進む昨今、経営におけるウエートがさらに高まっていくのではなかろうか。そして、その時々の社会情勢に合わせ、考え方を常にアップデートしていくことも求められていよう。本誌最新号では、例年実施している「印刷産業経営力調査」「新入社員意識調査」の結果を収録している。今後の方針を策定する際の参考資料として、お手元に置いていただけると幸いである。
『JAGAT info』2025年8月号のご案内
◯特集
「2024年度印刷産業経営力調査」戦略分析
AI時代のビジネスモデル創造に向けて
拡印刷へのリストラクチャリング
藤井建人(JAGAT研究・教育部シニアフェロー)
毎年恒例の会員企業を対象にした昨年度の「印刷産業経営力調査」の結果について、8月号では戦略分析編として回答各社の経営戦略に関する分析を行う。ご回答いただいた皆様には改めて御礼を申し上げたい。
この調査結果からは、デジタルマーケティングの流れが一服し、訪問営業などリアル接点を回復する取り組みの活発化している様子が浮かび上がってきた。また、印刷工程の縮小意向が底打ちし、後加工と工場再編への投資意欲が高まるなど、印刷の再構築に向けた動きも見られる。詳しくは、本誌をご覧いただきたい。
なお、来る9月30日(火)に調査結果を報告するオンラインセミナーを開催する。本調査への回答社は2名様まで無料にて聴講が可能なので、併せてご参加いただきたい。
※セミナーの詳細やお申し込みなどは、下記URLよりお進みください
https://www.jagat.or.jp/pri250930
◯特別企画
若手人材の定着・活躍の鍵は「安定」と「成長」の両立
新入社員意識調査2025の結果から
河原啓太(JAGAT研究・教育部)
JAGATでは毎年「新入社員意識調査」を行っている。今年も東京・大阪開催のセミナーに加え、宮城・富山・石川・愛知・岐阜の各県印刷工業組合にご協力をいただき、今春印刷業界に仲間入りした新入社員の意識調査を実施した。特に若年層においてキャリア観や職場選択の基準が多様化している昨今、印刷業界はどのように人材を確保して、活躍を支えていくべきなのであろうか。そのヒントを調査結果から探る。
■『JAGAT info』最新号の目次はこちらから
(『JAGAT info』編集部)