【クロスメディアキーワード】コミュニケーションとビジネス

掲載日:2016年10月19日
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コミュニケーションの種類

コミュニケーションは対象により、「対人コミュニケーション」「集団コミュニケーション」「マスコミュニケーション」の大きく3 つに分類できる。
「対人コミュニケーション」は、特定の相手を限定し電話や手紙などを活用する個対個の日常的なコミュニケーションを指し、インターパーソナル・コミュニケーションとも呼ばれる。
「集団コミュニケーション」は、講演会や会議、社内報など限定された小集団のコミュニケーションを指す。
「マスコミュニケーション」は、新聞や雑誌、テレビ、ラジオなどのマスメディアを通じた不特定多数の対象者に対して行われるコミュニケーションを指す。一般的には、情報の流れが1 対n と一方向になる。情報の「発信者」と「受信者」の接触が間接的であり、伝達の効果や反応の測定に困難を伴う。

コミュニケーション手段

文明の発達に伴い、コミュニケーション手段は進化している。進化は4 つの変革によると考えられ、「言語の使用」や「文字の登場」「印刷技術の発明」さらに「高度情報化社会」とされている。高度情報化社会では、コンピューターや情報のデジタル化、インターネットの普及などが生活者に大きな影響を与えている。

コミュニケーションの歴史

コミュニケーションの歴史は、4 つの変革で捉えることができる。ラスコー洞窟の壁画で見られるように、文字が登場する以前には、人間は壁画を描くことでコミュニケーションを図った。この頃から情報を目に見える形で表現し、コミュニケーションを行ったと考えられる。
人間は、古代からさまざまなモノに文字を書き、コミュニケーションを行ってきた。古代メソポタミアでは楔形文字、古代エジプトではヒエログリフ、古代中国では甲骨文字が発明された。文字と紙の活用により人々のコミュニケーションは飛躍的に拡大した。
15 世紀には、ヨハネス・グーテンベルグにより活版に、印刷技術を活用した絵画やイラストレーションの流通により、視覚伝達デザインの領域が拡大した。18 世紀の産業革命により情報の需要が激増し、新聞や雑誌が刊行され、不特定多数の生活者に対する情報伝達手段である「マスメディア」が登場した。
20 世紀後半には情報技術の発展によりさまざまなメディアが登場し、情報通信網であるネットワークが整備され、コミュニケーションを取り巻く環境は高度化した。IT(Information Technology)により、「数値」から「文字」「画像」「音声」「映像」など、さまざまな情報がデジタル化され活用された。さらにコンピューターネットワークの発展により、メディアによる双方向コミュニケーションが実現した。
コミュニケーションはメディアにより、「1 対1」から「1 対n」「n 対n」へと進化している。

ビジネスコミュニケーションの要素

ステークホルダーが多く関わるビジネスシーンでは、「指示」や「報告」「連絡」「相談」のほか、「ファシリテーション」「インタビュー」「交渉」「プレゼンテーション」など、さまざまなコミュニケーションが用いられる。
ビジネスシーンでのコミュニケーションには、必要となる要素が多数存在する。「共通認識」や「共通言語」の欠落は、コミュニケーションを阻害する大きな要因となる。不完全なコミュニケーションは大きなトラブルに発展する危険性を秘めており、ビジネスシーンにおいては、可能な限り排除する必要がある。円滑なコミュニケーションを実現するためには、「相互理解」と「信頼関係」が重要視される。「相互理解」と「信頼関係」を醸成するには、ビジネスシーンにおけるコミュニケーションの「要素」へ対する理解が必要になる。代表的なコミュニケーションの「要素」は、「明快性」「一貫性」「関連性」「社会性」「正解性」「簡潔性」などが挙げられる。

要素①:明快性
対象となる受信者に情報を伝達するコミュニケーションでは、情報を受信しているという具体的な意識が持てる「明快性」が必要となる。受信に対する「明快性」を持たせることで、受信者の「情報を受け取った」という意識を高め、その後の行動に影響与える効果が期待できる。また、情報の内容を具体的に表現する「明快性」も必要である。情報の要点を「明快性」のある表現とすることで、ほかの情報への埋没防止が期待できる。また、「明快性」が欠けると、情報に気付かれず無視されてしまう恐れがある。

要素②:一貫性
コミュニケーションの成立を実現するためには、「明快性」と共に「一貫性」も求められる。「一貫性」のある情報発信を繰り返すことで、内容が正確に伝わる可能性が高まる。ビジネスシーンでは、「キャッチフレーズ」や「イメージカラー」を活用することで、複数のメディアを活用した場合にも「一貫性」のある情報発信により、受信者の意識に大きな影響を与える。

要素③:関連性
情報に対する理解を受信者に促すためには、情報発信の背景や結果について「関連性」のある情報発信も必要となる。受信者の行動を推測し部分的な情報を発信するのではなく、必要な情報をすべて提示することが望まれる。指示や依頼の場合、「関連性」のある情報発信を軽視することで、受信者の誤った解釈が原因となり、目的と異なる結果をもたらす危険性が高まる。

要素④:社会性
高度情報化社会の生活者は、膨大な量の情報と複数のメディアによるコミュニケーションが強いられる。「電子メール」や「チャット」などのデジタルメディアによるビジネスシーンでのコミュニケーションは、扱われる文章の厳格な作法が緩和される傾向がある。しかしながら、「社会性」を意識した最低限の礼儀を守らないことで、受信者の気分を損なうことは少なくない。「誤字」や「脱字」「言葉遣い」の注意だけでなく、「礼儀」を中心とした「社会性」に基づく「受信者への配慮」を重要視することが望まれる。

要素⑤:正解性
「確認」は、コミュニケーションの「正解性」を高める手法として、非常に有効な手段である。誤った認識を避ける目的で「確認」を行うことにより、結果として効率的かつ効果的な意思疎通を図ることが可能になる。特に異なる業界や組織、異文化の人々とコミュニケーションを行う際には、意識的に正確に繰り返す「確認」や、理解しやすい表現による「確認」などを行うことで「正解性」が高まる。

要素⑥:簡潔性
情報の不足は、コミュニケーションの効果を妨げる原因になる。しかし、過度な情報もコミュニケーションの効果を妨げる原因になる。「聴取」や「閲読」に関わらず、情報の受信者が内容を理解するために集中力を持続する時間は限られている。したがって、受信者の集中力が持続できる範囲で、伝えるべき情報を発信することが求められる。要点を早い段階で提示し、受信者の関心が薄れる前に情報発信を終える技術が必要である。

JAGAT CS部
Jagat info 2014年11月号より転載