【クロスメディアキーワード】ロジカルシンキングとMECE

掲載日:2016年11月18日
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ロジカルシンキングとは、一貫しており筋が通っている考えや説明の仕方などを指す。

ゼロベース思考

環境変化の激しい現代では、1 年前の当たり前のことが今日に通用しないことがあり、前例の修正だけでは解決できない場合がある。そのため、過去の情報は白紙に戻して考えることが重要になる。ゼロベース思考は、ロジカルシンキングにおける思考のうち、「既成概念を取り払い、一から最善の答えを見つけ出す」といった考え方である。

フェルミ推定

フェルミ推定は、前提や推論の方法の違いにより結論に誤差が生じる可能性も指摘されているが、調査が困難な分野の想定顧客や市場規模について仮説を立てる上では有益であるとされている。統計資料が手元にない問題について、幾つかの手がかりを元として論理的に推論し、短時間で概算する手法である。

MECE

一貫性があり筋が通っている考え方や説明の仕方などは、「MECE(Mutually Exclusive and CollectiveExhaustive)により実現する。
「MECE」とは、マッキンゼー(McKinsey &Company)の提唱した物事を分解し構造化する概念であり、「モレなくダブりがない」を意味している。ロジカルシンキングの技術の中で、「MECE」は非常に重要な考え方となる。「MECE」の活用により、物事の全体像を正しく把握することができる。構造化した考え方に「モレ」がなければ、ロジカルシンキングにより導き出されたすべての要素に対して思考することが可能になる。さらに、分解されたそれぞれの要素に重複がないため、それぞれの分析が容易になる利点もある。解決が難しい大きな問題に対する際、小さな問題に分解することで、解決が容易になる。

構造化と切り口

「MECE」は、構造化する際の分解で非常に重要な役割を果たす概念である。「物事」を「MECE」により分解する際には、「切り口」が重要になる。通常は、対象となる一つの物事に対し、「切り口」は複数存在する。そのため、「目的」や「主題」に適した「切り口」を選定する必要がある。しかしながら、複数の「切り口」を混在させることで、「モレ」や「ダブり」が生じやすくなる。
また「モレ」や「ダブり」のほか、「MECE」により分解した要素に対する優先順位付けも重要になる。「切り口」の発見は容易ではないが、「グルーピング」を利用することで「切り口」が発見しやすくなる。「MECE」による代表的な「切り口」は、「相対する概念(「賛成」や「反対」、「A である」「A ではない」など)」「短期、中期、長期などといった尺度に対するいくつか区切り、物事の起点から終点といった順序による適度な区切り」「男性と女性、動物と植物など並列している物事による区切り」といったものを挙げることができる。しかしながら、これらの「切り口」に縛られることで先入観に陥ってしまうことや、本末転倒となる階層までの細分化にとらわれてしまうことに注意が必要になる。

ロジックツリーとピラミッドストラクチャー

「MECE」は、「ロジックツリー」や「ピラミッドストラクチャー」として表現されることがある。「ロジックツリー」と「ピラミッドストラクチャー」は、ツリー構造になっており並列するボックスが「MECE」になっていることなどから、よく似ている。
「ロジックツリー」は「トップボックス」として最終的に解決すべき命題を定義し下位の階層へ原因や手段などを展開する「トップダウンアプローチ」で考察される傾向が強く、「ピラミッドストラクチャー」は最終的な主張を頂点に置き下位の階層にその論拠を展開させる「ボトムアップアプローチ」により考察される。

フレームワーク

フレームワークとは、枠組みのことを指しロジカルシンキングでは、一般的に「MECE」によって分類され、さまざまな問題について考察する際の「切り口」となる。フレームワークの一つである「MECE」を活用することで、問題に対する表現や物事の分類などを行う際に、モレやダブリをなくし大きな視点で問題を捉えることができる。さらに、問題パターンに応じた定型的なフレームワークとすることで、思考の際に効率化が図れる。
フレームワーク活用の留意点は、情報を整理するだけでなく論理的に整合させるということが挙げられる。フレームワークは、情報を整理するためのツールであり、利用すること自体を目的化しないようにする。
留意点を踏まえることが、経営分析やマーケティング戦略策定などで、仮説の設定においてフレームワークが役立つ可能性を高める。

JAGAT CS部
Jagat info 2016年1月号より転載