ブランディングを効果的に行うことで売れる仕組みを創る

掲載日:2016年10月14日


ブランディングの施策として紙とweb媒体の特徴を踏まえ、顧客の購買段階に合わせた売れる仕組みを構築することが重要である。

顧客の売上や集客の向上を図るために、複数の販促施策を組み合わせることが重要である。顧客に効率よく成果を提供できるだけでなく、印刷会社は複数の販促物の受注が見込める。
ブランディングは顧客視点で行っていくので販促に関してもユーザーをまず意識しなければいけない。

●ブランディングの顧客段階とは
ユーザーはお客様というひとくくりでなく、以下の段階に分けられる。

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貴社から印刷を発注している顧客も、最初は貴社を知らない状態「未認知客」からスタートしている。何かのきっかけで「見込客」「一般客」「リピート客」とステージを上げている。顧客はそれぞれの段階で、企業や商品・サービスに対して抱く感情や心理が異なる。企業はその顧客の段階に応じて、異なる販売施策を講じる必要がある。
企業の目的は、顧客単価と数を増やし、そして顧客である期間を延ばすことである。そのためには「未認知」の段階からできるだけ多くの顧客を「リピート客」の段階まで成長させる必要がある。

●顧客段階に合わせた販促施策
それぞれの段階で顧客はどのような感情や心理を抱いているのか。「未認知」の段階では企業(または商品・サービス)の存在を知られていない。次の「見込客」の段階に上げるには、企業の存在を認知及び理解を促す必要があり、そのための販促施策を講じる必要がある。
「見込客」の段階では、顧客は企業の必要性を感じていることになる。「一般客」の段階に上げるには購買意欲を喚起させる販促施策を講じる。
「一般客」から「リピート客」へ上げるには、利用し続けることでのメリットやさらなる期待を持たせる必要がある。
また、顧客段階に応じて効果のある販促媒体も異なる。
例えば、チラシは基本的には不特定多数のユーザーへ向けて発信する媒体と考えられる。すでに顧客リストを手に入れている「一般客」にチラシの施策を行うのは費用面や速報性を考えても効率が悪い。顧客リストを利用してメルマガやSNS等を使い「リピート客」へ上げていくことが効率よく成果を出すことができる。
顧客の段階を考え成果がでる販売促進を行うには、紙やWebの媒体の特徴を把握することが印刷会社に求められている。

●販促媒体を組み合わせ売れる仕組みを構築
販促媒体にはそれぞれの特徴があるが、認知度と即効性という軸で考えてみると以下のようになる。

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それぞれの販促媒体を顧客段階に応じて使い分けることが重要であり、効率よく確実に認知から購買、リピート化させることができるのである。ただし、企業が織りなすブランドの世界観を崩してはならない。極端な話だが、企業のサ-ビスカタログは清廉とした世界観で表現されているのに、Webランディングページ(LP)は、砕けたデザインだと閲覧側は混乱するし統一感がない。そうした点は、ブランドアイデンティティを軸に、各媒体の特徴を生かしつつブランドの世界観を壊さないのが重要である。
webマーケティング等の部門を新設する印刷会社も増えているが、そのような部門を持っていない印刷会社も販促施策としてワンストップでwebを提案できるスキルが求められている。
紙媒体とweb系媒体を組みわせた仕組みを構築することでクライアントに成果を提供でき、なおかつ印刷会社にとっては複数の販促物の受注をすることができる。さらに広告会社など他業種との差別化にもつながることになる。
「ブランディング×デザイン力で印刷会社のソリューション力を高める」として、全12回にわたって連載を続けてきたが、印刷会社にとっての新しい施策として活用してもらえれば幸いである。

有限会社グレイズ 小澤歩