受注依存型組織から提案型組織へ〜印刷会社のデジタルメディア戦略

掲載日:2016年12月23日
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印刷企業がデジタルメディアビジネスに取り組むには、受注依存型組織から提案型組織へと変革することが求められる。

受注依存型組織からの脱却

電通が発表した「2015年日本の広告費」によると、近年のインターネット広告の進展・拡大は顕著であり、テレビの次に大きな媒体となっている。印刷業界を取り巻く環境においても、これらの影響が年々大きくなっている。

企業やさまざまな団体の情報発信手段が印刷物だけということは、現在でほとんど皆無に近い。つまり、Webやモバイルと印刷メディアを使ったクロスメディアコミュニケーションが日常的となっている。
印刷メディアだけに着目しているとマイナス志向に捉われてしまうが、印刷周辺のデジタルメディアビジネスの成長が著しいというプラス面に向き合うことが必要だろう。

従来の印刷企業は、典型的な受注産業であった。顧客から課題を与えられ、それを解決することで顧客の信頼を勝ち得てきた。
しかし、受注依存型の組織では、このようなデジタルメディアビジネスに柔軟に対応することはできない。顧客が望んでいる結果は何かを見抜き、本当の課題に向き合うこと、そして課題を解決するコミュニケーション戦略を構築すること、つまり提案型組織であることが必要である。

このような能力を育成する手段として、JAGATはクロスメディアエキスパート試験を実施している。この試験はインターネットメディア、マーケティング、ITの知識を問うだけではない。
メインの論述試験では、架空の企業に関する与件文を読み込み、顧客の課題や要望を洞察し、それらを解決するためのコミュニケーション戦略の提案書を作成する。

実ビジネスにおいて、単独で、制限時間内で提案をおこなうことはないだろう。知恵を出し合い、ディスカッションを重ねること、組織の総合力を使うことで、優れた提案を生み出すことができる。
しかし、試験では140分という制限時間内に顧客の状況を把握し、課題を読取り、1人で提案をまとめるという能力が試される。そのため、個人の提案能力、総合力を問われることになる。
個々の提案能力を磨くことが、受注依存型の組織から提案型組織への変革の第一歩となることだろう。

今後のデジタルメディア戦略に何が必要か?

現在、企業がキャンペーンを実施するとき、または新製品・新サービスを発表するときのプロモーションが印刷メディアだけということはない。パンフレット、カタログなどの印刷物の他、Webやモバイルデバイス、ソーシャルメディア、動画、プレゼン用のスライドショーなどが用意されるだろう。

印刷会社に求められているのは、顧客の真のニーズを見抜き、説得力のある提案能力であることは疑いないと言える。

(CS部 千葉 弘幸)

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