JAGATが認定された「事業分野別経営力向上推進機関」とは?

掲載日:2017年9月29日

当協会は、本年8月18日付で「中小企業等経営強化法」(平成28年7月1日施行)に基づく「事業分野別経営力向上推進機関」に認定された。

中小企業経営強化法で「固定資産税の軽減」「金融支援」を強化

平成28年7月に施行された「中小企業等経営強化法」とは、労働力人口の減少、企業間の国際的な競争の活発化等の経済社会情勢の変化に対応し、中小企業・小規模事業者・中堅企業(以下「中小企業・小規模事業者等」という。)の経営強化を図るため、事業所管大臣が事業分野ごとに指針を策定するとともに、当該取組を支援するための措置等を講じる法律である。この法律により、中小企業・小規模事業者等は、経営力向上計画を策定し計画の認定を受けることができれば、機械及び装置の固定資産税の軽減措置(3年間1/2に軽減)や金融支援(低利融資、債務保証等)の特例措置を受けることができる。計画策定に関しては、従来に比べ手続きが簡素化され、実質2枚程度の申請書を提出するだけで済む。これらの支援措置は、キャッシュフロー的にも直接的なメリットがあるため、活用する価値は高い。

製造業の指針は「現場の改善」「販路拡大」「ITの導入」等

経済産業省は印刷業が該当する製造業の指針を掲げている。主な項目として「多能工化及び機械の多台持ちの推進」「継続的な改善活動の奨励」「実際原価の把握」「海外販路の構築」「他事業者連携による受注機会の拡大」「設備投資の拡大」「ITの導入」がある。指針に基づいた印刷業の課題をあげれば、印刷、製本オペレーターの多能工化や、現場の改善活動などが該当する。また、原価の見える化によるコスト管理は「継続的な改善活動」、マーケティング力の向上による売り上げの拡大で「販路や受注機会の拡大」を目指す経営力向上計画の策定が可能であろう。

JAGATが認定された「事業分野別経営力向上推進機関」とは

事業分野別の指針の普及や人材育成の機会を提供
中小企業等経営強化法第26条に基づき、事業分野指針が定められた事業分野において、主務大臣によって認定される機関である。2017年9月15日現在では自動車関連、情報通信、観光等の13団体が認定されているが、印刷業界ではJAGATが初の認定機関となる。認定機関として今後JAGATが取り組むことは、製造業の指針を基に印刷ならびに周辺業界に属する中小企業者等の経営者層および従業員に対して、事業分野別指針の普及や人材育成の機会を提供し、業界全体の経営力向上の底上げを狙うことである。
現在認定を受けている団体は、自動車関連、情報通信、観光等でまだ少ない。他業界に先駆けて、印刷業界の公益法人であるJAGATが認定を受けたことで、印刷業界の積極性をアピールしていきたい。そして、国や業界外へ印刷業界全体のプレゼンスを高める一助になれば幸いだ。

CS部 塚本直樹

■中小企業庁ホームページ:

中小企業等経営強化法に基づく「事業分野別経営力向上推進機関」の認定について
http://www.chusho.meti.go.jp/keiei/kyoka/2017/170828kyoka.htm

JAGATが経済産業省より業界初の「事業分野別経営力向上推進機関」として認定