クロスメディアエキスパート取得への 取り組み

掲載日:2017年10月3日
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埼玉県印刷工業組合では、2016年度の教育研修事業の一環としてクロスメディアエキスパート対策講座の開講を企画し、6社35名の受講者を募り、全3回の対策講座を実施した。

受講後、2017年2月実施の第23期クロスメディアエキスパート(以下、CME)認証試験に受講者全員が臨んでいる。
今回の対策講座開講を推進された岩渕均理事長に取り組みの経緯と成果についてお話を伺った。

今回の資格への取り組みについて、経緯と今後の計画などをお聞かせください。

副理事長時代から、印刷工業組合のメリットは何か?ということをよく聞かれてきましたが、私としては、一番は教育と研修だと思っています。
埼玉県印刷工業組合には、下部組織として、印刷営業士会というものがあります。長年活動を続けてまいりましたが、印刷営業士に留まらず、DTP エキスパート、クロスメディアエキスパート、色彩検定、漢字能力検定でも印刷技能士や製本技能士、マイクロソフト関連資格でもよいので、印刷に関連した資格に合格した者、目指す者を集め、切磋琢磨していく場に発展させていこうと決めました。
そして、印刷営業士会を発展させ、印刷関連資格士会という形に拡大しました。その会の中で何に取り組むかということになり、各方面と協議した結果、CME を選択しました。
各社員が取り組みやすいように、参加者本人の負担を軽減し、参加企業が関連費用を負担するようにと呼びかけました。
さらに組合事務局を含めて調べたところ、取り組み内容によっては各都道府県での助成金の対象となることが分かったので、これを活用し組合として申請することで、各社の費用負担も軽減するよう取り計らいました。
より多くの企業が参加し活動が活性化されることを願っています。

対策講座、試験、合格発表までを終了した感想はいかがでしょうか?

各社の受験者の担当部門によって、得手不得手など試験への取り組みに影響する面があったかもしれません。当社(関東図書(株))についていえば、各部門の業務範囲が細分化されている傾向があります。印刷物の組版だけでなく、Web や動画、音声データなど、扱う可能性のある業務はどんどん拡がってきています。
各担当部門の業務だけに固執するのではなく、部門の垣根を越えて取り組まないとやっていけない時代だと思います。
例えばこんな事例がありました。初めはイラストを描く依頼だったのですが、さらにそれを動画にして欲しいという要望がきました。最初はすべて外注しましたが、社内にもスキルと意欲のある人が出てきて、社内でも取り組もうという話になっています。
そういった取り組みをしていると、その種の仕事が入ってくる可能性も出てきます。このような対応ができると会社として競争力がつきます。だから教育研修は大事だし、力を入れていきたいと考えています。
また、仕事の幅を拡げるという過程は、当社だけではなく、埼玉県工組の各企業も同様だと思います。仕事のスタイルは、常に変化するものです。これまでも製版カメラがなくなり、電算写植がなくなり、スキャナーがなくなり、フィルムがなくなってきました。守備範囲をどんどん拡げていかないと、ある日使いものにならなくなるということになりかねません。

印刷関連資格士会という活動は、CME 受験以外にどのような活動を予定していますか?

これからどんな取り組みをするか、どうすれば資格に合格するか、それが会社でどのように役立っているか、そういったことを発表し合うようなことを考えています。CME に合格した横山君(以下インタビュー参照)のように、合格してさらに前向きになり次の資格にも取り組もう、ということになるとよいと思います。
会社の中での仕事に役立つのもよいことですが、マーケットが縮小していますので、各自の守備範囲を拡げていくことは受験者自身の今後の活躍のために大事なことと思います。

関東図書株式会社の社員として、DTP部門所属ながらも初めての取り組みで見事合格された横山雅昭氏に、試験対策や今後の展望についてお話を伺った。

受験の経緯を教えてください。

会社より試験対策講座を埼玉県工組で実施する案内がありました。
もともとCME 資格について知ってはいましたが、難しい試験というイメージがありました。
今回は対策の研修をしてもらえるということだったので、実際に取り組むことに決めました。

対策講座の内容については、いかがでしたか?

対策講座グループワーク事前講義ののち、企画提案に関するグループワークを行いました。お互い会社も部署も違う人とのグループワークは、大変刺激になりました。また、毎回グループ分けが変わり新たなメンバーで取り組む点もよかったと思います。
最初は専門用語もわからず、意思を伝え合うのが難しかったのですが、研修を通して慣れることができました。これまで企画提案業務の経験はなく、用語なども馴染みのないものでしたが、初めて聞く用語を調べつつ、習得していきました。
対策講座以外では、社内で2 回ほど自主的に勉強会を行いました。研修に参加することで、社内でも合格したいという気持ちが高まってきたので、受講者どうしで声を掛け合って行いました。

講座の他はどのような学習法をとりましたか?

講座で配布された過去の与件や解説資料を活用し試験直前に復習しました。企画提案書の記述方法は、研修の場で要領をつかむことができたので、それ以外の解答の仕方などについて、配布された与件で練習、復習するようにしました。
実際にやってみると、提案書作成の制限時間は短いと感じました。設問の最初のほうで答える分析などから順を追って始めると間に合わないと思い、まず核となる企画書をまとめ、その後他の部分を書くなど、時間配分を考えて取り組むようにしました。この点も、配布された過去の与件等で練習するようにしました。

受験を通じて得た知識をどのように活用したいと考えていますか?

現在の担当業務は、デジタルメディアとの関連は多くありません。会社の中では企画をする部門ではありませんが、他部門の業務でも自分も参加して企画に関われるようになりたいと思います。一部門や個人ではなく多くのメンバーで話し合うような方法をとって、グループワークの経験を生かせればと思います。

(取材まとめ:CS部 丹羽 朋子)
–JAGAT info 2017年7月号より転載–