【第24期与件:ブライダル】クロスメディアエキスパート 記述試験

掲載日:2017年11月29日
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状況設定について

あなたは、首都圏にある中堅総合印刷会社のX社に勤務するクロスメディアエキスパートである。X社は、商業印刷物やSP企画・制作、Webサイトの構築・運用のサービスを顧客企業に提供している。X社にはデザインとWebコンテンツや動画の企画・制作を専門とする系列子会社があり、グループ総従業員数は160名である。

A社提案プロジェクトについて

ゲストハウス形式の結婚式場の運営を中心としたブライダル事業を展開するA社は、X社が過去に取引を行った顧客企業である。同社のパンフレット製作やWebサイトの一部を手がけた実績もある。
営業担当者より、「A社は、顧客との新しいコミュニケーション戦略を検討している」との報告があった。そこでX社では、営業部門や企画部門、制作部門に所属する数名で、A社提案プロジェクトを立ち上げることになった。クロスメディアエキスパートであるあなたは、本プロジェクトのリーダーを任命された。
X社は、本プロジェクトにて提案書を作成し、2週間後の2017年9月10日にA社へ提出する予定である。

面談ヒアリングについて

A社について調査を進めたところ、X社の競合企業がインターネットやモバイル端末を活用した企画提案を行う準備をしているとの情報が入った。

X社は、営業担当者が中心となり、社長と販促担当者に面談(※ヒアリング報告書参照)を実施した。
A社は、コミュニケーション戦略を立案するにあたり、社外からの優れた提案を取り入れ、実施を検討する方針である。

A社ヒアリング報告書

2017年8月1日
X社 営業部 第一課
池江 里佳子

概要:A社のコミュニケーション戦略に関するヒアリング調査
日時:2017年7月27日 10時~12時
対応者:北島 浩介社長、平井 紀正GM(営業企画部)
内容:下記に記載

1.背景

A社は、静岡県静岡市、神奈川県小田原市、横浜市港北区の3拠点にて、ゲストハウスタイプの結婚式場の運営によるブライダル事業を展開している。

ゲストハウスウェディング(以下ハウスウェディング)は、海外の邸宅のような外観、一軒家貸切りのプライベート感、自由度の高い演出がかなうことなどから、2000年代以降に急速に普及した。近年では、ホテル、専門の結婚式場、レストラン・ウェディングとともに、4大タイプとも呼ばれている。
A社は、このゲストハウスを活かした夢と感動を与えるブライダルの提供を目指している。創設以来、比較的順調に新規ゲストハウスをオープンし、業績を伸ばしている。また、4~5年のスパンでゲストハウスの新設を計画している。しかし、各地域とも近隣のホテルや専門の結婚式場との競合が厳しく、安泰とは言えない。また、近年は低価格志向の披露宴を実現するプロデュース会社も登場し、業績を伸ばしているが、方向性が異なっており、その分野に進出することは考えていない。
現在のA社の成約ステップは、ブライダル情報誌やブライダル情報サイトを見てブライダルフェアに申し込み、来場して成約に至るケースと結婚式相談所からの紹介が中心である。情報誌では競合する式場との差別化は難しく、大きな効果は期待できない。自社のゲストハウスやホスピタリティの魅力が十分に認知されているとは言えない。また、成約件数を伸ばすには、各拠点で開催するブライダルフェアの参加者を増やすことが重要だと考えている。
そのため、独自のメディア展開やコミュニケーション戦略によって、その魅力を伝えたいと考えており、新たな企画・提案を求めている。

2.施策の運営と実施効果測定

  • 週単位でメディア展開の実績を確認したい
  • 可能な範囲でメディア利用者のレスポンスを把握し、活用したい
  • A社の担当者は、営業企画部を中心に2名を予定

3.想定予算

  • 印刷費、Web制作費、ハードウェア、ソフトウェア、開発費などで、総額2000万円以内を想定(初期費用のみ。以降の維持コストは別途算定として構わない)

4.施策の実施期間

  • 2017年12月1日に施策を開始し、6ヵ月後にその評価と見直しをおこないたい。

5.創業

  • 静岡県静岡市の結婚式場「北島会館」(株式会社北島会館)は1975年に創設され、地域有数の結婚式場として運営されていた。創業者は、同市の老舗料亭「山水亭」を経営していた北島家の次男、北島源治郎である。
  • 1990年代にレストラン・ウェディングやオリジナリティ志向の結婚式が増えてきたことで、社長の北島源治郎はブライダル事業の将来に危機感を持ち始めた。そこで企画部門の充実とウェディングプランナーのレベルアップに取り組んだ。
  • 1995年、源治郎の長男である浩介が同社に入社した。入社後は、営業企画部にて広報・宣伝業務などを担当していた。
  • その後、浩介が中心となってゲストハウスウェディングに特化した新会社の設立とゲストハウスの建設準備に取りかかることとなった。
  • 2003年株式会社Aを設立し、同年ゲストハウス「ハイクレア・カースル静岡」を開設した。当時、静岡県内にはゲストハウスタイプの式場も少なく、森に囲まれた英国風の邸宅と美しい庭園での結婚式は、近隣各地でも評判となった。
  • その後、2007年に神奈川県小田原市、2012年に横浜市港北区に新たなゲストハウスをオープンし、順調に業績を伸ばしている。
  • 2010年、源治郎に代わって浩介が代表取締役に就任した。
  • 結婚式場の運営で培った「おもてなし」の心でゲストを迎えること、新郎新婦が「感謝の気持ちを伝える」結婚式のプロデュースをモットーとしている。

6.婚姻を取り巻く環境

  • 国内の婚姻件数は1972年に109万組を記録し、その後減少を続けた。90年代以降は70万組前後を推移していたが、2000年頃から再び緩やかな減少が続き、2015年には64万組となっている。
  • 離婚件数の増加とともに再婚の件数も増えている。2015年に夫婦とも初婚だったのは、婚姻数の約73%であった。以前は、再婚者は挙式・披露宴を行わない風潮もあったが、現在では抵抗がなくなりつつある。
  • 初婚年齢は1980年に夫27.8歳、妻25.2歳から2015年には夫31.1歳、妻29.4歳へと変化しており、晩婚化が進んでいる。
  • 少子化や晩婚化・非婚化の傾向に加え、大規模な披露宴をおこなわない「ジミ婚」や挙式・披露宴を行わない「なし婚」という風潮もある。

7.ブラダイル市場の動向

  • ブライダルビジネスは、リピーターがほとんどなく、ターゲットもきわめて限定されており、客単価が非常に高いという特殊なマーケットである。
  • 70年代~80年代の婚礼スタイルは、専門の結婚式場やホテルを利用したスタイルが一般的であった。
  • 90年代以降、バブル崩壊による景気の低迷とともにオリジナル志向が現れてきた。その1つが、比較的小規模で自由度の高いレストラン・ウェディングである。同時に、そのためのブライダルプロデュース企業も求められるようになっていった。
  • 90年代前半はブライダル情報誌が相次いで創刊され、その後は専門の結婚式場やホテル、レストラン・ウェディングなどの比較や費用などの情報流通も増えた。
  • 1997年に東京都立川市に結婚式専用のゲストハウスがオープンし、その後のハウスウェディングブームの端緒となった。独立した邸宅にチャペルとパーティ会場を設け、午前・午後の1日2組に限定し、貸し切りで運営するスタイルである。専門の結婚式場である使い勝手の良さと、レストラン・ウェディングの自由さを併せ持つことから、急速に支持されていった。
  • 2000年代以降、新興ブライダル企業が続々とゲストハウスをオープンし、数100億円規模の大手企業へ急成長したケースもある。
  • 2000年後半以降はブライダル情報サイトも活発化している。一方通行で情報量に限界のある情報誌から、インターネット経由の情報収集が増加傾向にある。
  • 近年は、ブライダル情報サイトにて、クチコミや地域ランキングを参考にするケースも増えている。式場や料理、スタッフの対応などの率直な評価、見積額と最終的な費用総額なども投稿されており、参考にされている。
  • 情報誌の調査によると、2003年の挙式・披露宴の総額の全国平均は約263万円だったが、その後大きく上昇し、2016年には約359万円となっている。
  • 情報誌の調査によると、2013年時点の挙式・披露宴の情報源(複数回答)は、約69%がブライダル情報誌、約58%がインターネット、約28%がインターネット(携帯端末)となっている。
  • 会場別のシェア(首都圏)では、2003年にはホテル40.7%、結婚式場20.9%、ゲストハウス5.4%だったが、2012年にはホテル26.6%、結婚式場29.9%、ゲストハウス16.1%となっている。ゲストハウスの成長が際立っているほか、結婚式場も伸びている。
  • 2009年頃から「スマ婚・楽婚」などの名称で低価格の挙式・披露宴をプロデュースする企業も登場してきた。プロデュース企業が衣装や装飾・ギフト、ビデオ撮影などを安価に提供し、式場には会場と料理の提供だけを委託する方式である。
  • ブライダルフェアとは、ほとんどの式場が実施している式場の見学・相談会である。施設見学に加え、料理の試食や衣装の試着、ギフトなどの紹介が行われ、その上で個別の相談会が実施されている。
  • 大規模なブライダルフェアの場合、模擬挙式・模擬披露宴を開催する場合もある。
  • 実際の会場を使用するため、通常の挙式・披露宴と重ならないように、平日や土日祝日の午前中に開催されていることが多い。
  • 会場を決めるために2~3件参加した人が約4割という調査もある。

8.A社の事業モデル

  • 直営のゲストハウス「ハイクレア・カースル静岡」、「ハイクレア・カースル小田原」、「ハイクレア・カースル新横浜」におけるブライダル事業である。
  • 英国風の邸宅と緑豊かで美しいガーデン、白亜のチャペルを持つゲストハウスは、レストラン営業を行わない結婚式専用施設として運営している。結婚式でなければ入場できない特別な空間に徹することで、競合する結婚式場との差別化を図っている。
  • 親会社の調理部門とも提携し、人材交流や交換研修を通じて調理部門のレベル向上に務めている。そのため、披露宴料理の評価・満足度は高い。
  • 専任のウェディングプランナーが企画する新郎新婦の個性やゲストへの感謝を表現するオリジナル演出が感動を呼んでいる。
  • サプライズ入場、デザートビュッフェ、バルーンリリース、プールサイドなど、施設の特徴や季節に応じた演出も好評である。
  • 新郎新婦の想いやこだわりを反映するため、結果的に比較的高価となることもあるが、満足度はきわめて高い。

9.A社の販売促進

  • 首都圏、および各ゲストハウス地域のブライダル情報誌と主要なブライダル情報サイトには、定期的に広告を出稿している。
  • 主だったブライダルカウンターや結婚式相談所と契約し、紹介およびブライダルフェアへの申込み取り次ぎを委託している。
  • 自社のWebサイトでは、各ゲストハウスの基本情報と空きスケジュール、ブライダルフェアの告知・申込み、その他の問い合わせ窓口を用意している。
  • 情報サイトのクチコミやランキングを通じて関心を集め、自社のWebページに誘導し、ブライダルフェアの申込みしてもらうことを狙っている。
  • 自社Webページへのサイトの流入経路は、検索エンジンよりもブライダル情報サイト経由が中心である。
  • FacebookやtwitterなどのSNS連携は実施していない。
  • ブライダルフェアは、土日祝日の午前と平日(水・金)に実施し、完全予約制としている。内容は、施設見学と試食会や試着会と相談会である。年に8回ほど、模擬挙式・模擬披露宴を含む大規模フェアを開催している。
  • ブライダルフェア来場者の成約率は65~75%である。一般に、70%以上なら優良で、50%以下は低調とされている。

10.利用者の評価・満足度

  • ウェディングプランナーへの評価は高く、利用者の満足度も高い。
  • 当事者である新郎新婦から、直接、感謝の言葉や礼状をいただくことも少なくない。その際、両親や参列者からの「良い結婚式だった」「感動した」という賛辞を伝え聞くことも多い。
  • ゲストハウスウェディングに慣れていない年配の参列者への配慮も、好評を得ることも多い。
  • 料理や式場、運営のホスピタリティも概ね好評であり、ときには絶賛されることもある。
  • 情報サイトのクチコミでも、式場の素晴らしさやプランナーやスタッフへの高い満足度を表す言葉も少なくない。
  • クチコミサイトの地域別ランキングでも中~上位と高評価を得ている。

11.人事体制・スタッフ教育

  • 新郎新婦とゲスト(招待客)が結婚という幸福を分かち合うことで、幸せな人生をスタートすることができる。夢と感動を与えるブライダルを提供することが使命であり、それをサポートするのが、おもてなしの心、ホスピタリティである。このような理念を共有できるスタッフの育成・教育に努めている。
  • ウェディングプランナーやその他営業スタッフの評価は、顧客アンケートの結果を重視している。アンケートは挙式・披露宴実施後に本部へ直接送付する仕組みを採用している(担当スタッフを経由しない)。
  • ウェディングプランナーには「ABC協会認定ブライダルプランナー検定」、「BIAブライダルコーディネーター」などの資格取得を奨励している。受験費用の補助や社内勉強会を開催しており、多数の有資格者が在籍している。

12. A社の競合

  • 近年は、大手ブライダル企業が地方にも進出し、ゲストハウスを新設している。静岡市、小田原市、新横浜においても、他社のゲストハウスが相次いでオープンしており、近隣の結婚式場、ホテルなどとの競争が激化している。
  • 大手ブライダル企業は、総じて検索エンジン広告やSEOを活用している模様である。
  • 自社Webサイトの顧客レポートとして、結婚式の写真と氏名を公開している例もある。
  • 他社では、Facebookページを開設しているゲストハウスもある。

13.今後の方針

  • ブライダル事業は顧客の満足度がビジネスに直結している。近年はクチコミサイトやランキングの動向が、業績へ影響することも多いと考えられる。
  • 夢と感動を与えるブライダル提供を続けるには、優秀なスタッフの存在と企業としての健全な発展が不可欠であり、それを目指している。
  • 顧客満足度の高いフルサービスと、夢と感動を与えるブライダル提供を志向しており、パッケージサービス、低価格路線への対応は考えていない。
  • ブライダル情報誌・結婚情報サイトの広告では差別化が困難であるため、自社メディアで魅力を伝え、関心を持ってもらうことを目指したい。
  • 利用者の満足度は高く、それを活かす方法を模索している。
  • 各拠点で開催しているブライダルフェアの成約率は良好である。フェアの参加者を増やすことで、成約件数の増加を図りたい。
  • そのための、顧客との関係性を重視したコミュニケーション手法やプロモーションを模索しており、実現に向けてのコンテンツやメディア展開案を求めている。

A社の概要

法人名:株式会社A
設立:2003年
従業員:65名
資本金:1億4千万円
売上:18億6千万円(2016年3月期)
所在地:静岡県静岡市(本部)
役員:代表取締役 北島 浩介 専務取締役 瀬戸 広也
事業:ブライダルの企画・運営事業
店舗数:結婚式場(3会場)
関連会社 株式会社北島会館

企業沿革

2003年 株式会社北島会館のゲストハウス部門として、株式会社Aを設立
2003年 静岡県静岡市にゲストハウス「ハイクレア・カースル静岡」をオープン
2007年 神奈川県小田原市にゲストハウス「ハイクレア・カースル小田原」をオープン
2012年 横浜市港北区にゲストハウス「ハイクレア・カースル新横浜」をオープン

経営理念

お客様や世の中の人々に感動と元気を与えられる企業でありたい

社長プロフィール

北島 浩介(きたじま こうすけ)(45歳)

  • 学歴
    1995年にK大学の経済学部を卒業
  • 職歴:
    1995年 株式会社北島会館に入社し、営業企画部門にて広報・宣伝業務に従事
    2003年 株式会社Aの設立に伴い、取締役に就任
    2005年 専務取締役に就任
    2010年 代表取締役に就任
  • 家族構成:妻(40歳)、長女(12歳)、長男(10歳)、次女(5歳)
  • モットー:「一期一会」
  • 趣味:ゴルフ、乗馬

A社損益計算書(2015年度、2016年度)

単位:千円
  2015年度 2016年度
売上高 1,688,105 1,867,652
売上原価 756,379 844,593
売上総利益 931,726 1,023,059
販売費・一般管理費 711,386 791,321
営業利益 220,340 231,738
営業外収益 1,709 2,588
営業外費用 3,884 3,951
経常利益 218,165 230,375

設問

問1 A社の顧客コミュニケーションにおける課題を優先度の高い順に3つ記述しなさい。

問2 問1の課題を解決するための具体的なコミュニケーション施策を箇条書きで記述しなさい。
ターゲット、コンテンツ内容、使用するメディアと選定理由についても記述しなさい。

(1)コミュニケーション施策 (2)ターゲット (3)コンテンツ内容 (4)使用するメディアと選定理由

問3 A社に提出する提案書を問1、問2の内容を踏まえて記述しなさい。  記述形式:A4縦・横書き・3枚

問4 A社から提案書を提出する際に、その内容を簡潔に整理した要旨(サマリー)の添付を求められている。
 問3の内容を踏まえた提案書要旨を記述しなさい。

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