pageに見る過去・現在・未来

掲載日:2017年12月4日

2017年11月28日(木)にpage2018の記者発表会を開催した。今年のテーマは「アライアンスNEXT」である。pageの過去を振り返りながら、今後どのような方向を見ていくのかを探りたい。

過去のpage

pageはJAGAT創立20周年の記念事業として、page’88として開催したのが最初である。当時はバブル真っ只中の展示会が華やかし頃で、雨後の筍とまで言わないにせよあらゆる業界、業種のイベントが数多く開催されていた。その意味ではpageは後発イベントであるともいえた。

当時はホームページなどなく、朝から晩までよく問い合わせの電話がかかってきた。「案内が来たんですけど、ピーエージーイーってなんですか?」といったものである。ブランドとして浸透する前にはこういうことがあるが、それにしても今のように自ら検索できるWebはつくづくありがたいと思う。

pageの語源は、paginationからきている。つまり1ページにまとめ上げて出力することである。ページを構成するテキストや画像、表や図版の類は、それまで処理が別々であり、コンピューターを使って合成処理する。WYSIWYGなる言葉が当時話題になったが、今の若い人にはピンと来ないだろう。これはWhat You See Is What You Getのことである。「あなたが画面上で見たものがそのまま出力される」といったニュアンスである。文字と画像を一つの画面上で組むことが画期的だった。

『JAGAT50周年記念誌』を参考にしていただきたいが、pageの歴史は、DTPの歴史でもある。DTPの出現は、アルダスPageMakerが発売された1985年だとよく言われるが、その延長線上でpageを開催した。当時DTPを牽引していたのは、なんといっても春と秋にボストンとサンフランシスコで開催していたシーボルトカンファレンスである。しかし、いまではシーボルトカンファレンスも開催されなくなった。

出展内容も電子組版機、電算写植機、ワークステーション、CEPS、イメージセッタなどが数多かった。DTPの普及で出展社の顔ぶれや出品内容に変化が起きている。しかしpageは当初から単なる機器展示にとどまらず、来場者が知見を広める場としてカンファレンス、セミナーなどを充実させてきたのである。。

現在の状況

現在、先行きが見えない状況が続いているというのが正直なところであろう。単純に設備導入=仕事が増える時代はもう来ない。世の中の技術の進化(イノベーション)と環境変化によって生活者のライフスタイルが変わってきている。

現在はとにかくメディアに関する知識が必要とされる時代である。この社会の動きの速さ、イノベーションを考えるとデジタル印刷の普及も一気に進むかもしれない。印刷以外の仕事が売り上げに占める割合が増えていく可能性だってある。

ソリューション提案のためのビジネスモデル型サービス提供といった色合いが濃くなってきている。またIT革新により業界の壁がどんどん低くなり、融業化が進んでいる。

今年のpage2018では「アライアンスNEXT」をテーマとしている。JAGAT塚田司郎会長は、「大手企業は経営資源が豊富で、人材もあり、BPOサービスができたりするが、中小一般企業は経営資源が限られており限界がある。他社と結びつき、一緒にサービスを提供していくことが必要だ」と述べた。

未来に向けて

pageは今後どのような方向に行くのか。pageはおそらく機材展といったハードの要素ではなく、今後ますますソリューションや付加価値といったソフトを提供するイベントに向かっていくことだろう。もちろんビジネスの変化に伴い、pageの方向性も変わっていく。

かつてのように紙メディアVSデジタルメディアとかアナログVSデジタルといった議論は意味がなくなる。そして、新しいテクノロジーやサービスが生まれては陳腐化し、やがて消えていく。しばらくするとPostScriptなんて言葉を知らない人がオペレーションしているかもしれない。

それは技術や設備がコモディティ化していくからである。テレビを例に出すまでもなく、普及すれば価格が低下するのは自然な流れである。それと同じ運命をたどっているのが、ワープロであり、PCである。

今話題になっている技術やトレンドは、必ずしもすぐに役立つものではないかもしれない。しかし、自社ビジネスには関係ないと思われているようなことでも思わぬヒントが見つかることもある。具体的なビジネスに落とし込むには、自社だけでできない場合もあるだろう。そのためにより良い企業とアライアンスを組むことも必要になる。

情報をシャワーのように浴びて、必要なものを取捨選択していく。それもまたリテラシーの一つである。そのためマーケティングやブランディングが必要になってくるのである。今までは印刷物がメディアであるかどうかを考えてこなくてもよかった。顧客に言われたことを言われたとおりに刷っていればそれでよかった。でもこれからは自社から情報を発信する、自社のブランドを作ることも必要になってくるだろう。

届けたい情報を届けたい相手に的確に配信する。それがメディアの役割である。印刷も今までのように受け身でばかりいるのではなく、自社の得意な分野を積極的に発信していくべきなのかもしれない。

これまで培ってきた技術やノウハウを強みとしていく。JAGATではこれからも各事業を通じて、有益な情報をお届けしていく所存である。目の前のこと、自分の足元を見ることも大切だが、3年先や5年先の中長期的なビジネスをどのように描いていくのか、pageではそのヒントがつかめるようなイベントを目指したい。

(JAGAT 研究調査部 上野寿)