アライアンスが印刷会社のビジネスを進化させる可能性

掲載日:2018年3月22日

page2018基調講演1では、ずばりpage2018のテーマとなる「アライアンスNEXT」を、実際にアライアンスに取り組む3人の経営者を迎えて講演とディスカッションを行った。

デジタル化の進展は印刷業界にも様々な功利をもたらす一方で、それによってなくなったり、縮小をされたりする部署や分野もあった。印刷会社はそうした分野などの人材を再教育しながらデジタル化に対応してビジネスを行ってきた。ところが、社会全般でデジタル化は一段と進展し、それに伴うようにビジネスのスピードがますます速くなっている。

このようビジネスに対応する人材は、従来なら社内の育成でも間に合ったかもしれない。しかし、今は自社内で1から育てようとするとビジネスチャンスどころか、ビジネス自体をなくしてしまうおそれが大きい。社会やビジネス環境変化のスピードが速い時代には、大企業ならともかく、中小企業では人材にして設備にしてもすべて自社で一からまかなうという戦略は全く適していないといえる。

そこで考えられるのが「アライアンスだ」で、自社にない得意分野や特長を持ったいろいろな会社と組むことで、新たなビジネス分野をスピーディーにものにできる可能性が高まったり、自社の得意分野と相乗効果を発揮して市場を広げたりできる。

page2018では株式会社廣済堂 代表取締役社長で、株式会社金羊社 代表取締役会長の浅野健氏とフュージョン株式会社 代表取締役会長花井秀勝氏、株式会社アドヴォネクスト 代表取締役社長井上雅博氏にそれぞれのアライアンスへの取り組みを紹介していただいた。

アライアンスを行う理由の一つとして、浅野氏は縮小していく既存の印刷市場で、企業継続と成長性を何かしらで担保していく必要があり、それには新市場の開拓が必要であるからだとする。人材や設備など限られた経営資源や情報不足を補って新市場で成功するためにも戦略性をもったアライアンスが必須だったということなのだ。また、アライアンスのあり方も役割分担型、機能強化型、補完型、BCP(Business continuity planning)型と様々なスタイルで展開している。

花井氏はデータ分析、マーケティング活用の観点から印刷ビジネスの領域を広げるようなアライアンスに取り組んでいるが、アライアンスを組む上で重要なのは自社が担当したい譲れない部分を明確にしておくことと、しっかりと契約書を作成していくことがポイントになるとしている。

井上氏は地方にある中小の印刷会社が取り組むアライアンスとして、地域の力を生かすかたちで取り組んでいる事例を紹介した。一方で地域だけでは難しい課題を全国組織のネットワークに参加し、さまざまな地域の仲間や大手企業の力を借りながら解決策を模索していく。このような取り組みは一歩を踏み出すことが重要で、特に人的余裕が少ない中小企業では経営者自らが動くことが「事」を進めるには重要だと語った。

※基調講演1の講演内容については、JAGATinfo2018年3月号で紹介しております。