他業界から印刷業界に入った経営者が語る印刷業界の可能性

掲載日:2018年5月10日

印刷業界に限らず長く一つの業界や会社にいると、知らず知らずのうちに業界の常識や考え方、その会社の社風などに思考や行動が縛られてしまっていることがある。

情報流通が進展して、さまざまな手段でいろいろな知恵や知識、情報が取得できるようになっており、多様な見識や必要な情報を得ているつもりでも、もしかするとそこには印刷業界や社内の常識、考え方などのフィルターがかかってしまっているかもしれないということだ。これらを仮に従来の印刷業界の価値観とする。そうなると、縮小する印刷物市場に対して新たなビジネスの発想と取り組みが求められる状況では、この従来の印刷業界の価値観が発想と取り組みの邪魔になる可能性もある。

従来の価値観に邪魔されないようにするためには、自分たちとは違ったものの見方や考え方を持った人たち、異業種との交流が一つの有効な手段になる。彼らの思考や価値観を柔軟に受け入れて、自ら思考する際の参考にしていくわけである。

一方で、他業界でビジネスを経験して印刷業界に入ってきて、その経験を生かして従来の印刷の価値観を超えてビジネスに取り組む経営者もいる。

page2018基調講演3は経営シンポジウムとしは、他業界から印刷業界に入ってきた今野印刷(仙台市)の代表取締役社長の橋浦隆一氏、ディグ代表取締役の杉井康之氏、加藤製本代表取締役加藤隆之氏に登壇いただいた。他業界を経験して経営者が考える印刷業の強みとは何かを伺い、これからの印刷業界の可能性と進むべき方向性についてディスカッションを行った。

橋浦氏は第一生命保険で経済研究所の立ち上げに関わり、エコノミストとして活躍。杉井氏は東京電力でソリューション的なビジネスを経験、加藤氏は産経新聞社で記者を経験しており、それらのビジネス経験をもとに、社内改革や新たなビジネス展開に取り組んでいる。

3人の経営者が訴えるのは印刷の本質とは何か、印刷会社が顧客に提供する価値とは何かという問いである。これまでのように提供するものは印刷物でも、提供する価値が印刷物そのものであってはビジネスが広がらないということである。従来の印刷の価値観にとらわれずに、新たなビジネスを切り開いていこうという姿勢が語られた。

※基調講演3の講演内容については、JAGATinfo2018年5月号で紹介しております。