第25期クロスメディアエキスパート 論述試験の出題意図と講評

掲載日:2018年6月1日
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第25期クロスメディアエキスパート認証試験は、2018年3月18日(日)東京・大阪を始めとした全国4会場にて実施し、104名の方が受験した。
本試験第2部の論述試験は、架空の企業に関する与件文を読み、顧客の課題を解決するコミュニケーション戦略の提案書を140分の制限時間内に作成するものである。

出題テーマ

「農産物直売事業を運営するA社」にコミュニケーション戦略の提案をおこなう。

背景

1993年に国土交通省の「道の駅」事業がスタートし、その中核として農産物直売所に人気が集まるようになった。その後、道の駅以外でも農産物直売所が増えていった。直売所の設営者は、生産者グループの法人、地方自治体が参加する第3セクター、JA(農協)などである。
農林水産省の2011年発表によれば、全国で16,816ヶ所存在している。現在、全国トップクラスの直売所は1店舗だけで年間20~30億円程度の売上を上げている。

直売所は、近隣の農家(会員)が商品を持ち寄り、委託販売する方式が一般的である。生産者は、売れた商品の代金から販売所の手数料を差し引いた金額を受け取る。
市場経由の農産物と比べると、生産者との距離感が近いこと、流通コストが削減され、消費者の手元に届く時間が短縮されるという特徴がある。その結果、新鮮さ、リーズナブルな価格設定、安心であることから、消費者に支持されている。

概要

A社は、茨城県と千葉県において、比較的大規模な農産物直売所3拠点を運営している。1991年の創業時から、大規模な農産物直売所の先駆けとして注目され、メディア等で紹介されることも多く、業績を伸ばしてきた。

農産物直売所の業績は、地域の農産物をどれだけ集約できるかに依存する部分が大きい。A社は、生産者にとって安定した農業収入の確保を第一の目標として、高品質な商品の提供を求めてきた。その結果、価格面では割高でも他にはない新鮮で美味しい農産物を入手できる直売所として人気になり、経営基盤を築いてきた。

また、初期段階から消費者会員制度を導入し、購入額の10%を割引することによってリピーターを育成する仕組みを整備してきた。

近年は大規模な直売所が各地に誕生し、直売所間の競争が激化している。スーパーマーケットやショッピングモールでも、直売所対策としてインショップ形式の直売コーナーや朝市を設置するという動きも増えている。

A社は、安売りによる販売拡大は一切行わず、従来どおり高くても選ばれる直売所を目指している。そのためには、ファンを育成し、リピーターとなる消費者会員を増やしたいと考えている。
顧客とのコミュニケーション手法を確立し、関係性を構築するためのプロモーションを模索しており、それに伴うコンテンツやメディア展開の提案を求めている。

出題意図と判断基準

・出題企業の課題を解決するコミュニケ―ション提案となっているかどうか。
・ターゲットに応じたメディア選定が出来ているかどうか。
・Webサイトへの集客増を図るコンテンツ提供や仕組みを実現しているかどうか。
・起点となるメディアから他のメディアへの連携や誘導を想定しているかどうか。
 (一方通行の発信ではなく、メディア連携やメディア誘導を実現できるかどうか)
・顧客との双方向コミュニケーションを想定しているかどうか。

講評

今回の出題事例は、誰にでも必要な農産物であるためターゲットを絞り込みにくいこと、競合先を限定しにくいという特徴がある。したがって、ファンやリピーター(優良顧客)を育成する仕組みやWebへの集客のための方策がポイントとなる。

解答における施策の中心は、「Web(コーポレート)サイトのリニューアル」「SNSの活用」などであった。さらに、農産物を活かした料理のフォトコンテスト、生産者紹介動画の配信、イベント動画の配信などもあった。既存の会員データを活用したDM送付も有効と言える。
InstagramやFacebookなどのSNSを活用し、双方向コミュニケーションやファン作りを意識したものも多かった。
AISAS、AISCEASなどの消費行動モデルを反映したシナリオがあると、さらに完成度が上がると思われる。

一部にはECサイトの構築(ネット通販)の提案もあったが、与件のビジネス規模に見合ったものとは言えず、完成度に欠けるものであった。

全体としては、以前よりまとまった提案が多くなり、レベルの向上が見られる。今後も引き続き、このようなレベルの高い提案を期待したい。

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