クロスメディアエキスパート論述試験 提案書作成のポイント

掲載日:2018年7月3日
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論述試験では、架空の企業に関する与件文を読み、課題を解決するコミュニケーション戦略の提案書を作成する。提案書作成のポイントを紹介する。

■テーマは農産物直売所

第25期クロスメディアエキスパート認証試験は、2018年3月18日(日)東京・大阪など全国4会場にて実施された。

論述試験のテーマは「農産物直売事業を運営するA社にコミュニケーション戦略の提案をおこなう」であった。
農産物直売所は、新鮮さやリーズナブルな価格設定、安心であることから消費者に支持されており、全国各地に大規模な店舗も増えている。

A社は他の直売所やスーパーよりも新鮮で美味しい農産物を揃え、高くても選ばれることを目指している。そのためには、ファンを育成し、リピーターを増やしたいと考えている。
顧客との関係性を構築するプロモーション施策とそれに伴うコンテンツやメディア展開の提案を求めている、という設定である。

■提案書作成における重点ポイント

試験では優秀な提案書も提出されているが、以下については不十分なものも少なくなかった。これらのポイントは実務上でも有効である。
今後、取り組む際には、このような点に留意するとさらに完成度が上がるだろう。

コンテンツ

Webサイト、冊子・フリーペーパー、チラシなどどのメディアを使用するにしても、どんなコンテンツを発信するかが重要である。
ターゲットに対して訴求力のあるコンテンツを提案しているかどうか、コンテンツの企画・編集、制作費用を見込んでいることも必要である。
まれに、冊子の印刷(製造)費だけを見込んで、企画・編集や配布費用を見込んでいない答案もある。

メディア選定理由が不明確

メディア選定理由を問われる設問がある。なぜそのメディアが適しているかを回答することが求められている。つまり、メディアの長所を正しく認識し、それを活用しているかどうかが問われている。

提案書の挨拶文

挨拶文であるため、分析・評論するような文体は避けるべきである。例えば、顧客の業績や状況に関する認識を表現する場合、リスペクト感が伝わるような記述が望ましい。

提案内容は消費行動モデルを意識する

ターゲットとなる消費者・生活者の心を動かすには、代表的な消費行動プロセスモデルに即したものが有効だと言える。
インターネット時代に有効とされるAISASモデル(注意・関心・検索・行動・共有)やAISCEAS(注意・関心・検索・比較・検討・行動・共有)に即した施策は効果的と言えるし、説得力が高い。
また、SNSやコンテンツマーケティングの動向に即した消費行動モデル(SIPS、DECAX)も有効である。

採点基準にはリピートを誘導しているか(関心を高める)、双方向コミュニケーションがあるか(共有・拡散を促す)も含まれている。これらも加点ポイントとして意識する。

コミュニケーション施策の全体設計

例えば3つの課題に対して、バラバラに施策を立て、それらを並列で実施するだけでは大きな効果を期待できない。全体設計があり、複数の施策が連携して一つの目的に向かっていくような記述があると相乗効果も期待できる。
概要として全体設計を示し、施策のまとめとして、全体の流れや効果を記述すると良いだろう。

スケジュールと費用

スケジュールは費用算出の根拠ともなる。実務上でも、工数配分をベースに費用を算出することが多い。スケジュール上の規模感が、結果的に費用に反映されていると提案の妥当性が増すと言える。
例えば、企画・設計の期間や費用を適切に見込んでいるか、Webサイトの維持・改善の工数を見込んでいるかどうかなども、妥当性を示すポイントだと言える。

競合他社との差別化

コミュニケーション施策において、提案先とその競合他社との差別化はたいへん重要である。差別化ポイントを強調することが望まれる。

提案書のまとめ

施策全体により何を実現でき、どんな効果が期待できるか。特に施策の連携による全体効果が記述されていると良いだろう。

(資格制度事務局 千葉)

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