【マスター郡司のキーワード解説2018】SDGs

掲載日:2018年11月29日

今回は「SDGs」について取り上げる。

JAGAT 専務理事 郡司 秀明

SGDs

JAGATでもお世話になっている株式会社ブロードバンドタワー 代表取締役会長兼社長CEO 藤原洋氏が、IoT/AI時代におけるオープンイノベーション推進協議会を立ち上げることになり、その設立記念シンポジウム~知識産業化の推進と共創型社会の実現を目指して~に参加してきた。

2018年7月31日(水)に東京秋葉原のUDXシアターで行われ、さまざまな講演やディスカッションが行われた。最近UDXシアターはIT関係の一つの拠点的な会場になっているようである。秋葉原も「アイドルとIT」(というより「ITとアイドル」という感じ)になってしまった。藤原氏も「昔はトランジスターを買いに来た街でした」が、と懐かしんでいた。私も秋葉原には、科学少年の端くれとしてずいぶん通った。

招待講演1の「SDGsとオープンイノベーション」を、慶應義塾大学大学院 政策・メディア研究科教授の蟹江憲史氏が講演した。今回はこのSDGsについて解説したい。

招待講演2「ブロックチェーン技術がもたらすイノベーションの方向性」は、国立情報学研究所 情報社会相関研究系准教授の岡田仁志氏が講演された。既にこのコーナーでブロックチェーンについては取り上げている。ブロックチェーンは「期待されている技術だが、現在はなんとも言える状況ではない」と冗談交じりに説明していたが、藤原氏から「ブロックチェーンはビットコインばかりが話題になるが(この辺、期待はされているが正直どうなるか?分からない)、本来は知財的なことに使えばストレートに役に立つのではないか?」と力説されていたが、私もこの意見には大賛成だ。私も「電子透かし」等を研究していたことがあるが、絶対というわけにはいかず、抑止力という点ではいま二、いま三くらいの技術だった。その点、ブロックチェーンは、ビットコインに関しては問題もあるが、知財を守るという点では、広く知らしめてしまうというのは大変有効な方法である。と横道にそれたところでSDGsの話に戻したい。

2015年9月の国連総会で採択された「SDGs」。この言葉がよく聞かれるようになってきたのではないだろうか? 印刷業界では廃棄物やパッケージに関して言われることが多いと思う。

発音としては「エスディージーズ」と読む。英語の「Sustainable Development Goals」の略で、日本語で言えば、「持続可能な開発目標」である。最近はスターバックスがプラスチックストローを止めると発表しているのでご存じだと思う。CSR的なイメージもあるが、環境等をみんなで守っていくというのは悪いことではないはずだ。みんなで環境を守っていきましょうというのは、楽天的な私などは大賛成だ。国連や環境問題からは関係なさそうな美容業界も実はSDGsに関係大ありなのだ。洗顔クリームには細かいプラスチックの微粒子(マイクロビーズだが、業界ではスクラブというらしい)が入っていて、それが毛穴の汚れを取るのだ。ところがプラスチック微粒子は排水溝の網などは通り抜けてしまうので、海まで流れ出て腐ることもない。魚(鰯のような小魚が好むようだ。港湾の隅で汚くなっている場所は、このマイクロビーズが浮遊しているらしい)が食べてしまうというのである。「昔、微粒子で洗顔するのかぁ」と感心した記憶があるのだが、実に浅はかだった。自然が一番ということなのだろう。マイクロビーズには自然由来の代替材料もあるらしく、どんどん自然なものに変更してもらいたいものだ。少々汚れが落ちにくかろうが、マカロニ(スパゲッティ)ストローよりはずっと良い。欧米で喜んでいるが、とてもおいしいとは思えない。ストローは紙かそれこそストロー(straw:藁)で良い。

SDGsには、持続可能な開発のための17のグローバル目標と169のターゲット(達成基準)があり、環境問題や人権問題はもちろんのこと、健康医療や働き方改革などもこのなかに含まれてくる。VOC(揮発性有機化合物)の問題や環境問題は、印刷業界も積極的に取り組むべきだろう。

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(会報誌『JAGAT info』 2018年9月号より抜粋)