デジタル時代に印刷メディアが新たな役割を担うために

掲載日:2018年12月17日

今年度のJAGATは年間を通したテーマとして「デジタル×紙×マーケティング」を打ち出しており、page2019もこのテーマのもとに開催される。「デジタル×紙×マーケティング」といっても、何を目指そうということなのかイメージできない人も多いかもしれない。それは一言で表せば、「印刷の新しい価値」の創造であるといえよう。そのために、デジタル時代の印刷メディアは新たな役割を担わなければならない。

JAGAT大会2018では、デジタルマーケティングを知悉した本間充氏、消費者動向の調査からデジタル消費の実態を把握する博報堂DYメディアパートナーズの吉川昌孝氏、紙とデジタルの雑誌制作に関わってきた主婦と生活社の有山雄一氏の3人が、デジタルメディアが伸長し、生活者の行動が変わる中で印刷メディアはどのようにして生き残るかについてディスカッションを行った。

最初にデジタルメディアと紙メディアは本当にvs(バーサス)の関係だったのかということで議論が始まった。インターネット接触時間やPV数が急速に伸びたことが、メディア全体のデジタル化が進むように捉えられたが、実際には従来のメディアとデジタルではメディアパワーの捉え方は違っており、横並びで比べることできないし、すべきではないとの指摘があった。

吉川氏からは男子大学生のメディア接触行動を調査する映像が流されると、タブレット端末でドラマを見ながら音楽を聴き、さらにスマートフォンで友人とLINEでやり取りしつつ、大型テレビで録画したドラマを見ている。ここに紙メディアが入っても不思議ではないわけで、若い人たちはメディアを色分けせずに、それぞれのメディアの価値を実感しているという。従来の「ながら試聴」などの行動と違うのは、今の若い人たちは情報の選択権を持って情報処理量の段階が上がっていることを指摘。

生活者は紙かデジタルかを選択しているわけではなく、実際には紙もデジタルも接触しており、重なる部分があって、その境目はない。そのことを前提にすると、全部がデジタル、全部が紙ということはあり得ないわけで、紙もデジタルもやっていく必要がある。

ただし、デジタルはコンテンツレベルからサービスレベルになっている。例えば情報を得てから行動するということでは、そのまま予約する、購入するなどサービス設計まで必要なっている。だから情報体験と生活体験が一緒になった行動を考える必要がある。

そのためにも、印刷会社は一度自社の強みを棚卸して、それをどのようにデジタルと連携してより強化していくかを考える。その時に大切なのは、「紙ありき」の視点で考えないということが重要になる。

JAGAT info12月号ではこの3人よるディスカッションの模様を詳しく紹介している。2月に開催されるpage2019の前に、改めて紙メディアとデジタルメディアの関係をどのように捉えてビジネスを組み立てていくかの予習としてご一読してほしい。

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