ROIを求めているマーケッターへ提供できる付加価値はあるか?

掲載日:2019年3月14日

page2019基調講演報告

「デジタル×紙×マーケティング」をテーマに行われたpage2019の基調講演1は、そのものずばりのタイトル「実践!デジタル×紙×マーケティング」で、企業で実際に活躍する気鋭のデジタルマーケッターを招いた。

まずは大手消費財メーカー勤務時代にデジタルマーケティングを手掛け、マーケティングに精通するモデレーターの本間充氏が、現在のマーケティングの状況について解説した。現在は市場拡大を目的としたマーケティングから購入顧客にふさわしいコミュニケーションを提供して、購入を続けてもらうシングルマーケティングになりつつあると指摘。印刷会社は再度、自分たちがお客様に提供する価値の本質とは何かを考えるべきで、その一つがマーケティング支援サービスであり、いかにそれを実践していくかということが課題であるとした。

その後、デジタルマーケッターとして活躍するIDOM(中古車のガリバーなど運営)の目黒友氏から同社のマーケティング構造とともに、お客様との継続的な接点を維持する取り組みが紹介された。そのなかでさまざまな顧客データを分析することでパーソナルDM作成して効果を上げた施策事例が解説された。

続いて、ITサービスを提供するHENNGEの水谷博明氏がセールス伴走型デジタルマーケティングを紹介した。同社はBtoBビジネスであり限定されたターゲットに、いかにマーケティングによって営業に向けて質の高いリード案件を提供できるかが求められる。その課題に対して、同社独自の顧客のリアルデータベースを構築して、タイミングを逃さない質の高いリード案件の提供を実現している。

両社ともデジタルマーケティングとデータベースを活用して、絶好のタイミングで、質の高いOne to Oneの情報提供を実現することで効果を上げている。

その後、長年デジタルテクノロジーと紙をコネクトするサービスを追求してきたグーフ代表取締役CEOの岡本幸憲氏を交えた4人でパネルディスカッションが行われた。

多くのデジタルマーケッターはデジタルに比べて紙は価格が高いという単純な思い込みがある。それは紙・印刷の可能性を知らないからである。しかし、先進的なマーケッターはデジタルと紙を区別せずに、お客様に情報、メッセージを伝えるために最適な手段を考えている。そこで求めているのはROIで、単価が1万円の印刷物だとしても、ROIが見合えば採用するという。岡本氏は価格ではなくROIを求めているマーケッターに印刷会社をはじめとしたサプライ側がどんなモノ、コトを提供できるかが問われると指摘した。

印刷会社は、効果があれば1万円でも構わないと言われたときに、それだけの付加価値を提示できる会社にならなれければならない。それには製造手段のデジタル化だけにしか目が向かないようではダメで、しっかりとお客様と向き合ってサービス型のマインドを持った企業へ変わっていく必要があるということだ。

JAGATinfo3月号では、特集としてpage2019基調講演「実践!デジタル×紙×マーケティング」の報告記事、バリューマシーンインターナショナルの宮本泰夫氏がpage2019展示会をレポートしているので、ぜひご一読ください。

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