2026年11月1日発刊の『印刷白書2026』について、会長網野勝彦よりご挨拶させていただきます。
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2026年も終盤を迎えようとしています。この1年を振り返ると、私たちを取り巻く社会や経済の環境は、これまで以上に大きな変化の中にあったことを実感します。
世界各地で異常気象による災害が相次ぎ、日本においても猛暑や豪雨など、気候変動の影響を身近な問題として感じる機会が増えました。また、エネルギー価格や原材料価格の高止まり、人手不足の深刻化など、企業経営における課題は一段と複雑になっています。先行きが見通しにくい時代だからこそ、自社の役割と存在価値をあらためて問い直すことが求められています。
その一方で、AIをはじめとするデジタル技術の進化は私たちの想像を超えるスピードで進んでいます。昨年はAIの活用可能性を模索する段階であったのが、今では業務の現場に浸透し、企画、制作、営業、製造、管理などあらゆる分野で活用されるようになりました。人手不足が避けられない社会において、生産性向上や新たな価値創造を支える重要な経営資源として、その存在感はますます拡大しています。
私たち印刷産業においても大きな変化が続いています。従来の印刷需要が大きく増加することは期待しにくい状況にありますが、情報発信の重要性は決して低下していません。デジタルメディアを通じて膨大な情報が流通する現在だからこそ、正確な情報を整理し、わかりやすく伝えることの価値は高まっているのではないでしょうか。
印刷産業の本質は、単に紙にインキをのせることではなく、「信頼できる情報を価値ある形にして届けること」にあります。印刷物がもつ一覧性や保存性、そして手に取ることで得られる安心感や納得感は、デジタル社会が進展するほどに、その意義が再認識されるものと思います。紙だけでなく多様な媒体や技術を活用しながら、人と情報、人と社会をつなぐ役割は今後ますます重要になるでしょう。
また、持続可能な社会への対応も欠かせません。環境負荷の低減、省エネルギー化、資源循環への取り組みなど、GXは企業活動そのものとなりつつあります。私たち印刷産業も、環境配慮型資材の活用や生産工程の改善を通じて、社会課題の解決に貢献していかなければなりません。
変化の時代には不安もあります。しかし同時に、新しい可能性も生まれます。振り返れば、印刷産業はこれまでも技術革新や社会構造の変化に向き合い、そのたびに新たな価値を創り出してきました。いま求められているのは、従来の枠組みにとらわれることなく、変化を前向きに受け止め、挑戦を続けていく姿勢ではないでしょうか。
『印刷白書2026』が、業界を取り巻く現状と将来を考察し、皆様が次の一歩を踏み出すための一助となることを願っております。本書が印刷産業の持続的な発展と新たな価値創造につながることを祈念し、発刊のご挨拶とさせていただきます。
2026年11月
公益社団法人日本印刷技術協会
会長 網野勝彦
書籍発刊のお知らせ
『印刷白書2026』2026年11月1日発刊


