印刷ビジネス転換期を乗り越える戦略とは

掲載日:2019年8月19日

「2018年度印刷産業経営動向調査」の結果がまとまった。『JAGAT info』では7月号で概要を報告したが、8月号では戦略分析編として、9月末に刊行が予定されている『JAGAT 印刷産業経営動向調査2019』に先がけて、経営戦略と業績の相関関係、業績良好な会社の思考特性について概要を紹介している。

デジタル化社会になって印刷会社のビジネス環境が大きく変わっており、品質の高い、あるいはすぐれた印刷物を低価格で提供できれば、売り上げ拡大につながるということが難しくなっている。そういった従来どおりのビジネスのやり方で生き残ることができる印刷会社もあるだろうが、それはごく一部の会社だけだろう。となると、自分達の印刷ビジネスのあり方を変える必要があり、そういう意味で転換期であり、次世代に向けた戦略が必要になる。それは、前号の紹介で印刷ビジネスの本質が変わりつつあるようだと言及したことにつながる。

そのことは、ビジネスの現場のところでは当然のように意識されているようで、「2018年度印刷産業経営動向調査」の設問「強化したい工程」では、今回から調査項目に加えた「企画・マーケティング」は、いきなり2番目となり55%の会社が強化したいという結果になった。これからの売り上げを作っていくために、顧客の期待に応えるサービスをビジネス化していく上では企画・マーケティングが重要な役割を担うという表れだろう。

なお、強化したい工程でトップは、7年連続で「デザイン」となっている。いくら素晴らしいマーケティング企画があっても、その施策を実施するにあたっては、説得力のある表現が不可欠である。例えば、さまざまなデータ分析に基づいてピンポイントのターゲットが選定でき、的確なコンテンツを提供できる素晴らしい施策だったとしても、最終的にはターゲットを動かくすだけの表現ができないとならない。そういう意味でもデザインは重要な訳である。

また、最近は「働き方改革」ということで、人手不足対応を含めて、社員の労働環境の改善も課題になっている。これらの問題に対してどのような制度を作ろうとしているのか。ほかにも、財務視点、顧客の視点、内部プロセスの視点や組織や人材の視点などさまざま調査項目から、経営者が次代の戦略をどのように考えているのか、また業績の良い企業はどのような経営視点を重視するのかを探っている。自社の時代の経営戦略を考える上で参考にしてほしい。

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