富士フイルム、富士ゼロックスを完全子会社化

掲載日:2019年11月6日

富士フイルムホールディングス株式会社(以下「富士フイルムホールディングス」)は、2019年11月5日、ゼロックスコーポレーション(その子会社を含み、以下「ゼロックス」)と、ゼロックスが保有する富士ゼロックス株式会社(以下「富士ゼロックス」)の株式の全てを富士フイルムホールディングスが取得※1 する契約を締結しました。本取引は、富士フイルムホールディングスおよびゼロックスの各取締役会において、全会一致で承認されました。本件の取引完了は2019 年11 月中を予定しています。


富士フイルムHDの古森会長

富士フイルムホールディングスは富士ゼロックスを100%子会社とすることで、富士フイルムグループ内での連携を強化し、これまで以上にシナジー創出を加速させます。例えば、富士フイルムグループが保有する画像処理技術と、富士ゼロックスの言語処理技術を組み合わせてメディカル分野の診断レポート生成に活かすなど革新的製品・サービスを展開し、成長領域で事業を拡大していきます。
また、富士ゼロックスは、新たな協業の枠組みの下で、ゼロックスへの製品供給を中長期的に継続します。さらに、富士ゼロックスの高い製品開発能力と製造技術を活かし、プリンタエンジンなどのOEM供給を欧米市場を含むワールドワイドで拡大します。さらにクラウド、AI、IoT技術を活用したデジタル化ソリューション・サービスの市場導入をスピードアップするなど、ドキュメント領域およびドキュメント周辺領域での事業強化を図っていきます。

※1 富士フイルムグループ会社による取得を含む

【本取引の背景】
富士ゼロックスは1962年創立の、富士フイルムホールディングスが75%、ゼロックスが25%を出資するドキュメントソリューションカンパニーです。富士ゼロックスは、57年に亘る歴史の中で、複写機に始まりオフィスの生産性を高めるソリューションを提供し続け、売上高1兆円を超える企業へと成長しました。クロスボーダーのジョイントベンチャーとしては稀有な成功例としても知られています。

富士ゼロックスは、日本を含むアジア・パシフィック市場で事業を展開し、大企業、官公庁等の強固な顧客基盤を有しています。また、ドキュメント業界の中でも優れた製品開発能力と製造技術を保持することで独自の地位を確立しています。
世界経済の先行きに対する不透明感が増し、ドキュメント業界での競争が激化する現在の状況において、富士ゼロックスを完全子会社化することで、ドキュメント事業の強化に加え新たな領域での事業拡大に資する施策を機動的且つスピーディーに展開していくことが最良の選択であると判断しました。

【本取引の概要】
■ 富士フイルムホールディングスによるゼロックス保有の富士ゼロックス株式25%ならびに関連持分※2の取得
■ 欧米市場を含むワールドワイドでOEM供給の拡大を可能にする新たな契約の締結
■ 富士ゼロックスによるゼロックスへの中長期的な製品供給の継続
■ 富士フイルムホールディングスによるゼロックスに対する総額2,300 百万米ドル(約2,530億円※3)の支払い

【本取引の狙いと期待するシナジー】
・富士フイルムグループが保有する画像処理、グラフィック、光学の各技術と、富士ゼロックスの言語処理技術や優れたソリューション提供力など両社の強みを組み合わせることで、メディカル分野への新たなIT ソリューション展開など、成長領域での事業拡大
・商業印刷・パッケージ印刷中心に広範な顧客基盤を有する富士フイルムのグラフィックシステム事業とデジタル印刷技術に強みを持つ富士ゼロックスのプロダクション事業の販売力、技術・製品力を組み合わせ、アナログからデジタルまでのワンストップのソリューションを展開し、業界のデジタル化を牽引
・ゼロックス以外への新たなOEM 先拡大による事業成長と、完全子会社後の迅速な意思決定に基づくドキュメント周辺領域でのビジネス展開加速: 2024 年度売上目標1,500 億円
・富士ゼロックスによるゼロックスに対する製品供給の中長期的な継続
・富士フイルムグループ内でのコストシナジー(海外拠点やバックオフィス等重複する機能の統合、共同購買やインフラ共有の促進など):2024 年度見込み100 億円

上記により、5 年後となる2024 年度のドキュメント事業の売上高1 兆3,000 億円を目指します。

なお、取引完了時に当社が2018 年6 月18 日に提起したゼロックスに対する損害賠償請求訴訟を取り下げます。

※2 主に欧米でレーザープリンター等のOEM 供給を行うゼロックスと富士ゼロックスの合弁事業であるXerox International Partners のゼロックス持分51%
※3 為替レートは110 円/米ドル前提

【富士フイルムホールディングスの今後の成長戦略】
富士フイルムホールディングスはこれまで、ヘルスケア、高機能材料、ドキュメント等の各事業分野において、強力な事業基盤を築くとともに、写真やデジタルカメラなどの既存事業においても市場環境の急激な変化に迅速・的確に対応することで事業構造転換を果たし、成長を続けてきました。

本取引によって、中期経営計画VISION2019で重点項目として掲げた「ドキュメント事業の抜本的強化」を実現し、企業価値を最大化させます。ドキュメント事業の収益力向上や富士フイルムグループ内での人的交流・技術交流の一層の活発化により、さらなる事業成長を図ります。 これらにより、キャッシュ創出力を強化し、ヘルスケアや高機能材料を中心とした成長事業への投資の継続を可能にします。

  1. 富士フイルムホールディングスの概要
    (1) 会社名 富士フイルムホールディングス株式会社
    (2) 設立   1934年1月20日
    (3) 所在地 東京都港区
    (4) 代表者 代表取締役会長・CEO 古森重隆 代表取締役社長・COO 助野健児
    (5) 売上    24,315億円(2019年3月期)
    (6) 営業利益  2,098億円(2019年3月期)
    (7) 従業員数  72,332名(2019年3月末)
    (8) 子会社数  279社(2019年3月末)
  2. 富士ゼロックスの概要
    (1) 会社名 富士ゼロックス株式会社
    (2) 設立   1962年2月20日
    (3) 所在地 東京都港区
    (4) 代表者 代表取締役会長 古森重隆 代表取締役社長 玉井光一
    (5) 従業員数  39,483名(2019年3月末)
  3. 富士フイルムホールディングスの業績への影響
    本取引は、当社連結業績に中長期的にわたってプラスに寄与すると見込んでいます。今期業績への影響は精査の上、判明した段階で開示致します。
  4. 将来見通しに関する注意事項
    本資料に記載されている業績見通し等の将来に関する記述は、当社が現在入手している情報及び合理的であると判断する一定の前提に基づいており、当社としてその実現を約束する趣旨のものではありません。

本件に関するお問い合せは、下記にお願いいたします。
報道関係 経営企画部 コーポレートコミュニケーション室 TEL 03-6271-2000