【マスター郡司のキーワード解説2019】レンダリングインテント

掲載日:2019年12月26日

今回は「レンダリングインテント」について考える。

JAGAT 専務理事 郡司 秀明

レンダリングインテント

最近、デジタル印刷がらみで、漫画(コミック)・アニメ等の印刷と接触することが多く、「プロファイル変換」について考えさせられる。日本のクール文化の代表である漫画・コミックを印刷する機会が高まっており、「漫画に対して、写真と同じ再現方式で良いのか?」という疑問からそのように思ったわけである。

「プロファイル変換」とは、プロファイルに準じた色空間から別プロファイルの色空間へ変換することを言う。いわゆるCMYK変換がこれに当たるが、より正確に“RGB to CMYK変換”と言うこともある。一般用語でも通じるのだが、Photoshop用語の対比語として「プロファイル指定」がある。後者(プロファイル指定)は画像ファイルのデータはそのままにしてプロファイルだけ付け替えることを言う。従って、カラマネの効いたシステムで見たら色は変化するわけで、Adobe RGBのプロファイルをsRGBに付け替えたら「彩度」が下がることになるのだ。対して「プロファイル変換」は、プロファイルを付け替えても色が変わらないようにする。プロファイルが異なるのに、カラマネして色が同じように見えるということを言う。つまり、データを書き換えていることになるのだ。一言で表現すれば「プロファイル変換」は色が変わらず、「プロファイル指定」はデータが変わらずということだ。しかし、再現色域の大きさが異なる場合、小さな色域から大きな色域に変換する場合はよいのだが、大きな色域から小さな色域に変換する場合は、出そうと思っても出ない色(再現色域外の色)があるのだからいろいろ工夫することになる。その工夫をレンダリングインテントという(レンダリングはコンピューターで画像を生成することで、インテントは目的・意志だから目的を持った画像生成、つまりどのように色調表現するかということ)のだ。

技術的に説明しよう。レンダリングインテントは、カラーマネジメントシステムで、カラースペース間のカラー変換をどのように処理するかを設定する。レンダリングインテントによって、変換元の色の調整方法を決定するルールが異なるのだ。

例えば、「色が変換先の色域内に収まらない狭い色域に変換する」ときは、元の視覚的なカラー関係を維持するために色が調整されるのだ。レンダリングインテントを選択した結果は、ドキュメントのグラフィックの内容やカラースペースの指定に使用しているプロファイルによって異なる。レンダリングインテントを無視して変換するプロファイルも存在する。

レンダリングインテントは、種類としては何種類もあるのだが、アドビが普通使用しているのが「知覚的」「彩度優先」「相対的色域維持」「絶対的色域維持」の4種類である。図1のようなRGB画像をCMYK変換する場合には普通日本では「知覚的(図2)」がレンダリングインテントとして使用される。いわゆるきれいに再現されるのだが、欧米では「相対的色域保持(図3)」が標準で使われている。色をなるべく正確に再現されるようになっている。色域外の色は最短の色域内の色に変換されるようになっている。日本のPhotoshopでもモニターに関しては相対的がデフォルトになっている。「絶対的(図4)」は言葉からすると誤解しそうなのだが、基本的に相対的と同じである。異なるのは、グレイが変換されないようになっていることである。問題は「彩度優先(図5)」で、色の正確さよりも彩度が高くなるようなレンダリングインテントなのだが、CGやコミックなどの場合、これを選択すべきか?というと、知覚的の方が問題は少ないと言える。色調再現や色差という点では、彩度優先はグラフとか図版の場合に使うものと、割り切った方が良いだろう。

図1_Adobe RGB

図2_知覚的

図3_相対的色域維持

図4_絶対的色域維持

図5_彩度優先

(JAGAT専務理事 郡司 秀明)
(会報誌『JAGAT info』 2019年10月号より抜粋)