事業創造のオープンイノベーション ~『大廃業時代の町工場生き残り戦略』から~

掲載日:2020年1月15日

新たなサービスを生み出すには、社外リソースの活用が求められる時代だ。工場をラボとして人と情報が集まる連携拠点にし、結果的に仕事をも引き付ける事例が増えている。工場は仕事をも生み出すことができる。ラボ化と連携による革新で復活した経営者が語る。

板金を祖業とする浜野製作所は社屋の全焼によって社員2人になってから60人まで復活。金型、量産、組立まで事業領域を広げて成長した。潜水艇「江戸っ子1号」などの開発を通して地元下請け企業ネットワークによる産学官連携を構築、墨田区の地域一体型オープンファクトリー(工場見学)「スミファ」の立ち上げと運営も主導した。もはや社内の経営資源だけで差別的な新規事業を創出することは難しい。社内外連携によるアイデア創発と価値創出が求められる時代である。

そこで本セッションは『大廃業時代の町工場の生き残り戦略』の著者である浜野慶一氏を招き、経験とノウハウを伺う。そして社屋を共創拠点に仕立てた印刷会社のサンコー。墨田区と台東区の両方で地域一体型オープンファクトリー(工場見学)に取り組む望月印刷。新たな価値を生む組織のあり方、社内外ネットワークの構築手法、サービス開発体制、工場見学の手法はどのようなものか。壊滅しかけた東京下町のものづくりはなぜ復活したのか。東京下町の3社が事例発表する。

 

【登壇者】

浜野慶一 

浜野製作所 代表取締役CEO

著書
『大廃業時代の町工場の生き残り戦略 浜野製作所奮闘記』
出演作
『ガイアの夜明け』「崖っぷち“町工場”の逆襲!」

1962年東京都墨田区生まれ、1985年東海大学政治経済学部経営学科卒業、同年都内板橋区の精密板金加工メーカーに就職。1993年創業者・浜野嘉彦氏の死去に伴い、株式会社浜野製作所代表取締役に就任、現在に至る。「おもてなしの心」を経営理念とし、設計・開発から多品種少量の精密板金加工、金型設計・製作、量産プレス加工、装置・機器の組立まで、幅広い業界業種の課題をサポート・解決している。また、電気自動車「HOKUSAI」、深海探査艇「江戸っ子1号」をはじめとする産学官連携事業やものづくり支援工房「Garage Sumida」を通じた多数のベンチャー企業、大学・研究機関の開発支援を推進している。そのユニークな経営スタイルは「新たな先端都市型のものづくり」として、国内外から大きな注目を集めている。

関信行

望月印刷 執行役員生産本部長

大学卒業後、40年以上にわたり印刷業界に携る。入社後は、業務管理部に配属され18年間勤務したのち製版部に異動する。印刷のデジタル化の波に乗り遅れないように、製版部内にデジタルメディア室を立ち上げる。先陣を切ってDTPエキスパートと情報処理の国家資格を取得し、部下をデジタルに強い人材に育てる。2011年に立ち上がった「台東モノマチ」(台東区南部一帯で「モノづくり」の街を、日本・世界に広めるイベント)に翌年から運営側に参加し、7年間地区のリーダーとして街のまとめ役を務める。また、工場がある墨田区では、街のイベント「スミファ」(オープンファクトリー)に参加し、弊社において地域貢献の中心的な役割を果たす。

有薗悦克

サンコー 取締役社長

大手小売企業にて店舗開発、経営企画などを経験した後、上場企業の企業再生に経営メンバーとして参画。2013年に家業である株式会社サンコーに入社。事業ドメインを「おもいをカタチにする仕事」と再定義し事業領域を拡大。ものづくりの「職人」と「クリエイター」が出会い、化学反応が起きる場。をコンセプトとしたクリエイター専用のシェアオフィス”co-lab墨田亀沢:re-printing”を2015年にオープン。印刷業の新しいカタチを作りあげるべく日々奮闘している。

藤井建人

JAGAT 研究調査部長 主幹研究員/中小企業診断士/早稲田大学メディア文化研究所招聘研究員

1995年から出版流通グループで経営企画。経営計画、経営分析、管理会計、M&Aなどに携わる。2003年からJAGAT。印刷産業・印刷会社の分析・地域活性化などの研究調査に従事。共著に「印刷白書」「印刷産業経営動向調査」「印刷会社と地域活性1・2・3」「『ニュース』は生き残るか~メディアビジネスの未来を探る」など。研究論文に「地域社会においてCSV/CRSVを実践するビジネスモデルとその成立要件」。

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