「デジタル×紙×マーケティング」の実践力を磨く

掲載日:2020年3月2日
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先般のpage2020は「デジタル×紙×マーケティング for Business」をテーマとして開催し、たいへん多くの来場者を迎え、盛況のうちに終えることができた。カンファレンス・セミナーも過去最高の参加者を数えた。「印刷物の価値を高めるために何をすべきか」というヒントを見つけた方も少なくないだろう。

中でも基調講演1では「デジタル×紙×マーケティング」を実践している事例として、札幌圏のキャッシュレス決済のデータを集めて分析し、エリアプロモーションに活用した活動が報告された。人の流れと購買データを掛け合わせることで地域経済を活性化し、新たな印刷需要を生み出す仕組みを実現しているという。

「デジタル×紙×マーケティング」を一言で言い換えると、デジタルと紙を「良いとこどり」して、顧客のマーケティング活動に貢献することである。

それを実現するには、顧客が考えているマーケティングとはどういうものか、デジタルの強みと紙の強みとは何か、まず知識として身に着けなければならない。さらに、実際に「デジタル×紙×マーケティング」ビジネスをスタートするは、企画・提案力が重要となる。
つまり、このようなビジネスは相談や依頼があって始まる受動的ビジネスではなく、自ら企画・提案することで始まる能動的ビジネスである。能動的に取り組むことができなければ、ビジネスは始まらないし、他社と差別化することもできない。

クロスメディアエキスパート認証試験を通じた学習

JAGATでは、「デジタル×紙×マーケティング」の実践力を磨くために、クロスメディアエキスパート認証試験を実施している。

ここでは、最新のデジタルマーケティング知識を含めた「マーケティング」、デジタルの強みと紙の強みを把握しているかどうかを問う「メディアとコンテンツ」、デジタルメディアで表現するための「デジタルメディア技術」の3分野に関する知識が問われる。

また、第2部の論述試験は、架空の企業に関する与件文を読み、コミュニケーション戦略の提案書を作成するものである。制限時間内に与件文を理解し、一人で解決策を考え、企画・提案として整理する能力が求められる。

したがって、この試験に取り組むことで、「デジタル×紙×マーケティング」を実践するための基礎的な知識や理解力、企画・提案の実力を習得することができる。

2019年8月のクロスメディアエキスパートの論述試験は、「富士山麓の観光牧場」をテーマとした出題であった。

ファミリーや若者向けに自社の乳製品ブランドを浸透させ、来場者を増やすにはどのようなメディア、コンテンツを用意すべきか。SNSや動画配信をどのように活用するか。来場促進イベントとして何ができるか。これらを提案書の要素として記述することが求められる。

実際の答案には、ファミリー層にアピールするための「牧場祭り」「マスコット牛の選挙」などのイベント開催、WebサイトやSNSを通じた動画発信、クーポンの発行など通じて、認知度を高め、来場促進を図る施策などを記述したものが多かった。顧客から見て、「やってみたい」と思える期待感のある提案内容が多くなっている。

クロスメディアエキスパート認証試験を通じて学習することが、「デジタル×紙×マーケティング」の実践に役立つことは疑いないと言える。

(研究調査部 千葉弘幸)

※クロスメディア 記述試験 【過去問題と解答例】