印刷物は10年連続の輸入超過、アジアが輸出入ともにシェアを拡大

掲載日:2021年5月14日

貿易統計で印刷物を見ると、10年連続の輸入超過で差引額はさらに拡大した。輸入先のトップは8年連続でシンガポール、輸出先は中国が不動の1位で、アジアとの取引が拡大している。(数字で読み解く印刷産業2021その5)

輸出は中国が不動の1位、輸入はシンガポールが6割に迫る

財務省「貿易統計」によれば、2020年の印刷物の輸出額は230億82百万円(前年比20.2%減)、輸入額は765億6百万円(同5.9%減)となりました。輸出は3年連続で減少幅が拡大し、輸入は前年の大幅増から4年振りの減少に転じました。

アジアが最大の取引先で、2020年の輸出額は162億26百万円(同16.8%減)ですが、美術印刷が大幅に増加しました。輸入額は611億83百万円(同1.1%増)で、シンガポール、韓国、マレーシア、ベトナム、台湾からの輸入が増えています。輸出入ともにアジアがシェアを拡大し、輸出が70.3%、輸入が80.0%を占めています。

輸出先は中国が不動の1位で、2位がアメリカ合衆国、次いで香港、ベトナム、タイ、台湾、メキシコ、大韓民国、フィリピン、マレーシアまでがトップ10で、香港とメキシコだけが前年より増加しています。

輸入先のトップ10は、シンガポール、中国、アメリカ、ドイツ、韓国、ベトナム、プエルトリコ(米)、マレーシア、アイルランド、台湾の順です。シンガポールからの輸入額は前年より14.5億円増加し、輸入総額の6割近くを占めるまでになりました。

下図は1991~2020年の印刷物の輸出入額とその差引額の推移です。1991~2004年の14年間は輸入超過でしたが、2005~2010年の6年間は輸出超過となり、2011年以降の10年間は逆に輸入超過となっています。輸出入ともに2019年に比べて減少しましたが、輸出の減少幅が大きかったことから、差引額は前年に次ぐ534億円まで拡大しました。

『印刷白書2020』では、印刷物の輸出入相手国上位10カ国の推移表や、アジア・西欧・北米などの地域別の構成比の推移なども、わかりやすいグラフで紹介しています。
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(JAGAT CS部 吉村マチ子)