印刷業定点調査 各地の声(2021年4月度)

掲載日:2021年5月27日

2月の売上高は△10.3%。12月から3カ月連続のマイナス10%前後で横ばい。

地域別では、首都圏(△11.7%)と大阪圏(△15.9%)の落ち込みが大きい。反面、名古屋圏(△4.2%)は1月に続いて着実な回復傾向を歩んでいる。

業種・業態別では、商業印刷(△14.0%)のかつてない低迷が続く。落ち込み幅の大きさも低迷期間の長さも、金融危機・東日本大震災のときとは比べ物にならない。出版印刷(△6.7%)はいち早く昨年10月にプラスを回復して以降は、△7~△3%で推移。回復しきらないが、印刷製品の中では相対的に堅調な部類に入る。総合印刷(△2.1%)は12月(△14.4%)を底に2カ月連続の持ち直し。紙器・事務印刷(△3.4%)は11月(△9.1%)を底に持ち直し。

規模別では、29人以下(△22.3%)の回復が遅れている。30~49人(△0.7%)、50~99人(△10.5%)、100~299人(△9.1%)、300人以上(△4.2%)。月ごとの変動幅が大きく、現時点で一定の傾向を見出しにくいが、全体的に少しずつ戻りを試みているように見える。

【印刷会社経営者の声】

東京:事務

『JAGAT info』2月号掲載の「トランスレーションズ展-『わかりあえなさ』をわかりあおう」はNHKデザイントークス+でも取り上げられていました。コミュニケーションの一端の理解につながる良い展示会です。業績好調な印刷会社の経営者の話から「ドリルを売るには穴を売れ」を思い出しました。顧客にとっての「価値」とは何かを考えて、提案やサービス開発をアジャイルで進めたいものです。顧客になくてはならない存在であれば、業績が良いのは当たり前だと。

岐阜:総合

2月の決算月は久し振りの売り上げ前年同月比プラスになりましたが、年トータルでは大幅なマイナスに。3月からの新年度はコロナやオリンピックなど不透明要因が多く、業績も読みにくい一年になりそうです。

愛知:出版

3月決算予測は減収、利益は前年よりも改善。「企業体質」の強化が進む。2021年度は中期計画を再始動させて事業戦略の再構築に取り組みます。

山口:事務

1月は昨年割れで心配していましたが、2月はどうにか昨年並みに回復。3月もワクチン関連の特需で、どうにか昨年並みを見込めそうです。ですが、半年~1年後の見通しが立ちません。誰か新しい商売ネタを教えてください。

熊本:商業

12・1月の受注減から売上高が大幅に減少した。去年の3・4月もそうだったが、コロナ融資を受けられていなかったらとゾッとする。2回目の緊急事態宣言開けは、1回目に比べると回復幅が小さいように感じる。コロナ禍が終息すれば必ず反発して好景気となることを願い、それまではガマンに徹する。

(『JAGAT info』 2021年4月号,印刷経営ウォッチング,p64-65より抜粋して要約)