収音とマイクの基本、オンラインセミナー配信のトラブル回避

掲載日:2021年11月16日

理にかなったマイクを使おう

オンラインによるコミュニケーションは、アフターコロナでもデジタル化の潮流は加速し、様々な手法や手段が進化すると考えられる。ライブも含めた映像配信では、印刷メディアとは異なり、時間軸の概念や音声収録などの難しい部分がある。特に音声の品質は、充実したコミュニケーションを行うためには重要だ。例えば、Zoom等のオンライン配信や面談では映像はさておき、音声の乱れは、コミュニケーションが成り立たず、致命的でお手上げになった経験を持っている方もいるだろう。筆者も経験がある。音の収録で厄介なことは、取り込んだ音声データはデジタルでも音声の入口(入力)はアナログだということだ。思いがけないトラブルも多い。機材では、「マイク(マイクロフォン)」が大きな役割を担う。当JAGATでも配信内容に応じてマイクを使い分けている。例えば、オンラインセミナーでは、感度の高いコンデンサー型のマイクを使い、会場受講者もいるハイブリッド配信では、ダイナミックマイクやラベリアマイク(ピンマイク)を使うこともある。理にかなったマイクを使うことがトラブル回避にも繋がる。

コンデンサーマイクは、価格が高く品質が良いと覚えてはいけない!

一概にマイク(マクロフォン)といっても様々種類がある。マイク特性を理解する上での二つのポイントは、「感度」と「指向性」だ。カメラの設定にもISO(感度)と画角があるように各マイクにも感度と指向(収音角度、範囲)の特性がある。指向性は、マイクがどの方向から音を収音できるかという特性のことだ。その上で、ざっくりとダイナミックマイクとコンデンサーマイクの2種類に分けられる。

・ダイナミックマイク:電源不必要、丈夫で比較的湿度に強い、感度が低い。

・コンデンサーマイク:電源必要、振動や湿気に特に弱い、感度が高い。

間違っても、「ダイナミックマイク→価格が安い→音質が悪い」、コンデンサーマイク→価格高い→音質が良い」と覚えてはいけない。基本として重要なことは、マイクの特性を覚えることだ。ダイナミックマイクは、感度は低いが音質が悪いわけではない。感度が低い分、高い音には弱いが、音源に近づけて使えばシッカリとした音を拾い、余計な音を拾わない。講演会やライブイベントに向いている。一方、コンデンサーマイク(ショットガンタイプなど)は、感度が高く、繊細な音を拾い、高音域にも強いが、ノイズも拾いやすく指向性にも注意を払う必要がある。特性を知っていれば、マイクから1メートル程度離れていても一定のレベルで収音できるので会場受講者のいないオンラインセミナーなどでは、反響音に注意を払いながら使えば、音質も良く、使い勝手も良い。意外と難しいのがコンデンサー型のラベリアマイク(ピンマイク)だ。付け方や使い方によってはノイズが入ることがある。付ける位置やケーブルの巻き方にコツがある。更に、無線タイプになると電波の乱れや長時間の収録になればバッテリー切れのリスクもある。ちなみに、ピンマイクにも指向性のあるもの(指向性タイプ)と無いもの(無指向性タイプ)があることを覚えておこう。一般的な使い方では、無指向性型が自然な音質で収録でき使い易い。

オンラインコミュニケーションは、場所を選ばない、時間や経費の削減につながるなどのメリットがある一方で、相手の感情や話の意図が伝わりづらい、対面時よりコミュニケーションのテンポが悪くなるなどの課題もある。円滑に進めるためには、伝える内容と伝える方法にも意識を向ける必要がある。音声の伝達も大切な要素になる。マイク選びや使い方を理解するには、複雑に知識を増やすことより、用途を考え、理にかなった使い方を覚えることだ。

(CS部 古谷芸文)

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